見出し画像

短歌の推敲がわからなすぎて沼っています。という話

すてきな短歌はたくさんある。
すてきな短歌はどうやって生み出されるの?
一発勝負とか頭に思い浮かんだそのまま、
なんてことはないと思う。

なんかいいかも?このシチュエーション、このテーマ。
こんな雰囲気で詠んでみるか。



きらきらな短歌できました!

『いや、その間って、どうなってるの???』
短歌にまじめになったら、その問題にぶちあたりました。


わたしはひっそり短歌をやっており、
周りの人にみてもらうとかの手段を取れないので
とにかくひとりでぐるぐる推敲を
試行錯誤してやってみました。
今回はそのプロセスを備忘録で書いてみます。

結果から言うと、
4稿までやってなんとなくこれでいいかな、   
ってなりました。

4稿がこちら↓

「逃げ水のずもつかめずにかえりみちゆだるじめんに海老がたのいし」


第1稿:はじめに

いちばん最初に繰り出した元の短歌が
こちらになります↓

逃げ水を追いかけることいのちのいみを探すこと美しき過程


ああ、ここでさらしておくと
当方、いわゆる審神者でして。
二次創作、「刀剣短歌」なるものになります!
(どこかで言おうと思ってた。言った!!)

ですがこの記事は、
ふつうの短歌についての読み物としてみてもらえると
思って書きます。
アウトプットのかたちはたしかに、
広く一般のみなさんにああ、そうだね。わかるわかる。
って共感してもらえるようなものではないけれど。
デバイスはまぎれもない短歌ではあると思ってます。
(でもやっぱり苦手な!な方は、       
ごめんなさい回れ右ください)


今回の短歌は、『逃げ水』というお題で
詠んだものです。

逃げ水とは、風がなく晴れた暑い日に、アスファルトの道路などで、遠くに水があるように見える現象のこと。「地鏡」ともいう。夏の風物詩の1つ。   
※Wikipediaより            

  


人って、
むだなことだとわかっているけど
好奇心が先に動いて
手足を動かしてしまうことってありますよね。
社会のものごとの判断基準に照らすと
時間的なもの・身体的なもののむだづかいに
なるようなこと。
でも、当人は妙な高揚感がある。
(きっとそれは刀も、というおたく心はかっこにしておきます…笑)

結果はもちろん大事だけど、
なんであれ「うごいたプロセスはすごい」
ということがわたしが大事にしている
価値観です。
なので、このテーマを思いついたとき
きっといい短歌にしたい、
お守りになるようなものをつくりたいと思いました。

が、
第1稿の歌をTwitterにあげたんですが
反応がいまいち!!
そもそも、自分でも読み返してみて
いまいち感が否めず。
反応がないのも納得はしました笑

いまいちすぎるので、
こちらの解説はとくにしません!
〜こと、〜ことで音が合ってるぐらいですね。

次からは、修正稿をあげて、
もともとのどの部分をなぜ直したか
短歌の書き方に触れながら
わたしがたどった短歌を推敲したプロセスを
ひとつづつ書いてみたいと思います。


第2稿:言いたいことはトルツメする

一部改修した2稿が↓

逃げ水のことも追いかけてみたかった血が湧くだけの過程夏日の


まず、1稿で上の句と下の句跨ぎになっていた
「いのちのいみを探すこと」
というフレーズがとにかく
くどいし、固いし、わざとらしい
と思いました。

短歌のひとつのセオリーの中に
「言いたいことはあえて歌の中に詠まない」
というのがありますね。

短歌って、読み手の想像を掻き立てて、
その方なりの読み方とかを引き出して
深く読み込んでもらうことが大事、
そのことを思いだしました。

(刀に宿るものの心が励起され
人の形を与えられたのが刀剣男士なので
じぶんたちのいのちに対するギモン、ギネン、
反面、尊さやよろこびは
彼らの根底に拭えない感じでずっとあるはず…
と推したちへの悶えが前面に出過ぎました。反省。)


なので、そのフレーズの代わりに
「逃げ水『も』」としました。

●副助詞 「も」
「~も」を含むことがらに、「他のことがらと同様にこのことがらが成立する」という意味(並立・付加)を付け加えます。

暗に他のことがらもあるよね、
と示すだけにして
他の徒労に終わることは、
読み手の想像に任せてみようかなと思いました。

また、大幅に文字数をカットできたので
その分で、もっと具体的な描写ができました。
短歌でピックアップしている時間時点で、
どんな気持ち・状態でいたのか、を
イメージできるような言葉を入れてみました。


そうやってできた2稿。
ですが、次の日改めて読み返して、
やっぱりスッキリしない感がありました。
なので、また直し!です。


第3稿:音のリズムを整える・おもしろさをつける

さらに、何日か置いた3稿が↓

逃げ水のずもつかめずに足どりはまぶしさめまいのみこみ軽し


2稿を五・七・五…を意識して
声に出して読んでみると、

逃げ水の/ことも追いかけ/てみたかった/
血が湧くだけの/過程夏日の

となるのですが、
上の句の歯切れが悪い
リズム感にいまいち乗れない
かくかくかく、って感じ。

かつ、
逃げ水を追いかける部分で
31音の半分以上を使っていてもったいない。
と思いました。

詠みたいテーマは、
追いかけた結果、その行動が
無意味だったことが証明されるのだけど
それでもいいや、たのしかったし。
っていうこと。

「追いかけた」はただの前提なのに
そこで上の句ぜんぶつかってるじゃん!
ほんとに言いたいことに使える文字数が
ぜんぜんないじゃないか!
ということに気が付いたんでした。

なので、
"逃げ水を追いかけたけどだめだった"
ことを短く伝えられて、
語感がいい感じのフレーズになるように、
したいと思いました。

…あったんです!!これが!

「逃げ水のずもつかめずに」

なんとなく、
“ある行動がぜんぜん、お話にならなかった“
ことがこのフレーズだけでわかりますね。
で、ここだけで『ず』が3回も出てくるんです。

短歌は音が大事ですね。
音を反復するとか、共通する母音を並べるとか。
声に出して読んだ時に
舌触りがいい短歌はとてもすてきだなと思います。

少し、話それますが、
この推敲をしているときに
あたまの中で流れていた作品があります。

えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい
笹井宏之/ちくま文庫『えーえんとくちから』

えーえん、
完全に音を繰り返しているんですけどね。
言葉のパワーがすごいなあと思いました。

ありきたりの、どこかから借りてきたような
フレーズじゃないですよね。
泣いているように聞こえる。
ふつうはえーえんって永遠って漢字に閉じてしまいたくなる。


すごい短歌に触れたおかげで、
オリジナリティがあって(たぶん)
なにそれ?ってちょっと立ち止まるような(たぶん)
フレーズ「逃げ水のずもつかめずに」
が生まれました〜!

このあたりまで来て、
うん、なんか悪くないかも!って気がしてきました。

でも、まだ続きます!

・・・・

続くのですが、すでにだいぶ長いので
最後の4稿は別の記事につなげます。

作成中なので、後からリンク貼ります。

まずはここまで。
ありがとうございました!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?