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パリのクレッシュ 2019-2020

11月の終わりぐらいになると、パリの街角ではもみの木が売られます。
皆さん持ち帰ってお家に飾るわけですが、これめっちゃ重いんですよね。一度、もみの木がカートの荷台からずり落ちて立ち往生しているムッシュに出くわし、体勢を立て直すのを手伝ったことがあったのですが、尋常じゃなく重かった。

 道端でドサドサ売られるもみの木


家庭に飾るのがもみの木なら、教会ではどんな飾りをするのでしょうか? 教会では「クレッシュ」というキリスト降誕シーンを再現したミニチュアを飾ります。

家庭用の小さなクレッシュ。中央で寝ている赤ちゃんがイエス・キリスト。それを見守る聖母マリアと夫ヨセフ。東方の三博士(偉くて頭が良い!)や天使が駆けつけて誕生を祝っています。画像はWikiより


私はミニチュアが好きだったりすることもあって、クレッシュが大好き。しかし、日本ではあまり見かけることはありません。2019年のパリ滞在とクリスマスシーズンが重なったので、色々なクレッシュを見て回れるのを楽しみにしていたのでした。

もう4年も前になってしまいましたが、2019年に私がパリ(と、ちょっとだけストラスブールとブルターニュ)で見たクレッシュを振り返りたいと思います。

サクレクール寺院

Basilique du Sacré-Cœur de Montmartre
35 Rue du Chevalier de la Barre, 75018 Paris, フランス

パリ北、モンマルトルの丘にそびえ立つ教会。いつ見ても白く美しい! 1914年に完成した、パリでは比較的新しい教会です。この界隈はパリ随一の観光地でもあるため、いつでも人で賑わっています。

西日を浴びて輝くサクレクール
オフシーズンの冬でもまぁまぁ人がいます。
天井はけっこう金ピカ

さて、サクレクール寺院のクレッシュはこちら。

色は控えめ。記憶がおぼろげで申し訳ないのですが、ちっこくもなければ大きくもないクレッシュだったと思います。ヨセフが50センチぐらいだったような……。

クリスマス前に行ったので、まだイエス・キリストの姿がありません。イエス・キリストはクリスマスを迎えると中央に置かれます。


マドレーヌ教会

Église de la Madeleine
Pl. de la Madeleine, 75008 Paris, フランス

パリ8区にある、一見ギリシャっぽい外観の教会。フランス革命やナポレオンの台頭&失脚で工事が中断したり再開したりで、80年かけて完成しました。
ガブリエル・フォーレがオルガニストを務めたり、フレデリック・ショパンの葬儀が行われたりと、パリの音楽史を間近で見つめてきた教会でもあります。

さて、クリスマス前に訪れたマドレーヌ教会のクレッシュはこんな感じ。

「なんだこれ?」

祭壇のすぐ脇にあったのですが、パッと見何かの作業中なのかと見間違えてしまいます。しかし、他にクレッシュっぽいものは見当たらず、「マドレーヌ教会にはまだクレッシュは飾られていないのかな」と、ちょっとがっかりしてお家に帰ったのでした。

しかし、クリスマスを迎えたあとマドレーヌ寺院に行くと……。

赤ちゃん(イエス・キリスト)が浮かび上がっている!
こちらは天使
東方の三博士っぽい

ただの白い紙の塊だったものが、クリスマスを迎えたあとはイエス・キリスト降誕シーンの登場人物たちがランダムに浮かび上がるようになっていました。

浮かび上がる絵画にはそれぞれ元ネタがあるよう。

クレッシュの前に佇んでいたら、後ろに順番待ちの列ができていたのであわてて譲りました


サン・トゥスタッシュ教会

Eglise Saint-Eustache
2 Imp. Saint-Eustache, 75001 Paris, フランス

地下鉄5路線と、近郊電車3路線が集結するレ・アール駅前広場とショッピング街に囲まれて、デデンとたたずむサン・トゥスタッシュ教会。このあたりはパリの中心地。観光客よりも地元の人たちで賑わうエリアです。

Wikiより。お城みたいでかっこいい!

ステンドグラスや小さな礼拝堂がたくさんあり、内部をぐるっとまわるだけでも十分見ごたえがあります。

そしてクレッシュはこんな感じでした。

紙に水彩絵の具(たぶん)で描かれています。結構大きくて120センチぐらいはあったと思います。
クリスマス前だったので、まだイエスはいません


サン=ジェルマン=デ=プレ教会

Eglise Saint‐Germain‐des‐Prés
3 Pl. Saint-Germain des Prés, 75006 Paris, フランス

その起源はなんと543年にまでさかのぼる、歴史ある教会です。近くにはドゥ・マゴ・パリやカフェ・ド・フロールといったパリの名カフェがあり、ゴヤやモディリアーニもこの周辺にアトリエを構えていました。

大きなステンドグラスはありませんが、パリで一番色鮮やかな教会だと思われます!

さて、クレッシュはこんな感じでした。

聖母子像の前に設置されているのが素敵


サン・シュルピス教会

Eglise Saint-Sulpice
2 Rue Palatine, 75006 Paris, フランス

ノートルダム大聖堂に次いで、パリで2番目に大きい教会。『ダ・ヴィンチ・コード』にも登場しました。

寒かった〜

クレッシュはこちら。

お人形が衣装を着ていて凝っています。絵画みたい!
人の目線ぐらいの高さに設置されていました。


17区の教会

2019-2020のカウントダウンを17区に住む友人カップルの家で迎えました。その帰り道、1月1日の朝に見たクレッシュです。
「クリスマス過ぎてるじゃん!」と思うかもですが、こちらはクリスマス関連のオーナメントは1月の1週目ぐらいだったら、どこでもまだ飾っている印象でした。

教会の名前は確認していなかったので不明ですが、クレッシュはこちら!

ハリボテで素朴な感じの絵柄
イエス・キリストも2D
教会は閉まっていました。新年のミサとかないのかな……? 教会の外に飾ってありました。


サン・ピエール・ド・モンマルトル教会

Eglise Saint-Pierre de Montmartre
2 Rue du Mont-Cenis, 75018 Paris, フランス

モンマルトルの丘にあり、すぐ隣がサクレクールという観光客でガヤガヤしているところに立っているのですが、中は静かで厳かな空気に満ちています。

モンマルトルで活躍した画家、ユトリロの葬儀も行われました
3枚とも2023年秋撮影

クレッシュはこちら。

か、かわいい……!
これまで見た中で最小人数の登場人物

サクレクールよりも800年前の1134年に建てられたパリ最古の教会だそうですが、クレッシュはとってもおしゃれで現代的でした。


サントーギュスタン教会

Église Saint-Augustin
8 Av. César Caire, 75008 Paris, フランス

19世紀、多くのブルジョワジーが生まれ、パリの街全体が大改修によって整備されました。そんな19世紀に、ブルジョワジーが暮らした界隈に建てられた教会です。

パリ最大のドームを持つ教会。2023年秋撮影

クレッシュはこちら。

表情や体勢がリアル……! 子羊が丸っこくてかわいい


ブルターニュ&ストラスブール編

パリを離れてブルターニュとストラスブールにも行ってきました。ブルターニュはフランス南西部のケルト海に面した地域で、パリから車で5時間ほど。アーサー王伝説の舞台となった地域です。

ブルターニュ 中世の面影を残す町に立つ教会

町の名前も教会の名前も分からず…。アラドンという街に滞在しており、そこから車で20分ほどの場所だったことは覚えているのですが……。中世の面影が残る町並みでした。

RPGに出てきそうな街の入口
この日はクリスマス・イブで、街はお買い物の人たちで賑わっていました。日本でいうと大晦日に市場が賑わうような感じかな?
こんな木組みのお家がちらほら
教会はこちら。これはロマネスク様式かな?教会の名前がわからないので調べられず…)
中には結構人がいて、オープンなところで告解をしている方の姿もありました

クレッシュはこちらです。

教会の壁が素敵な背景になっています
もみの木と蝋燭がかわいい


クリスマスマーケット発祥の町 ストラスブール

ストラスブールはドイツ国境近くの街で、TGV(高速鉄道)で2時間ほどの場所にあります。フランスではクリスマス近くになると広場で小物や屋台などが立ち並ぶクリスマスマーケットが見られ、ストラスブールはその発祥の地としても有名です。

川が綺麗な町でもあります。どんよりしてますが、フランスの冬はだいたいこんな感じです。


ストラスブールを訪れたのは2020年1月3日。クリスマス・マーケットは撤去されていましたが、ツリーはまだ残っていました。大きい‼

サン・トマ教会

L'Eglise Saint Thomas
Place Saint-Thomas 67000 Strasbourg

モーツァルトが弾いたオルガンが残されている教会です。

教会内部
モーツァルトが弾いたオルガン

クレッシュはこちら。

クリスマスを過ぎているのに飼い葉桶にイエスがいない! 吹き出しに、「小さなイエスはどこ?」「彼は天使と一緒に高いところにいるよ」と書かれています。イエスは上の方に飾ってあったのかな……? 
衝立に「キリスト生誕の洞窟 入場料2ユーロ」って書いてある!?!? 微妙すぎるジョーク……。


ストラスブール大聖堂

Cathédrale Notre-Dame-de-Strasbourg
Pl. de la Cathédrale, 67000 Strasbourg, France

正式名称は、ストラスブール・ノートルダム大聖堂。ノートルダムと言えばパリが有名ですが(2019年に火災で一部が燃えてしまい、この年は見学ができませんでした)、ノートルダムとは「私達の婦人=聖母マリア」のことなので、その名を冠した教会はあちこちにあるのです。

教会内部。パリのノートルダムと同じく、円形のステンドグラス(バラ窓)があります

こちらのクレッシュはすごかった! さすが"ノートルダム"という感じでした!

なんと受胎告知のシーンから始まるのです!
聖母マリア(左)がいとこのエリザベス(右)を訪ねた「聖母の訪問」のシーン
降誕①
降誕②
降誕③ 
大きくて写真一枚では収まりませんでした。
降誕後①
降誕後②
どういうシーンなのかキャプションを撮り忘れていたのでわからず……

以上が2019‐2020に私が見たフランスのクレッシュでした。
クレッシュは同じ教会でも年によってデザインが変わるそうです。毎年「今年はどんなのにしようかな」と教会の方が考えたり、意見を出し合ったりしている姿を想像するとなんだかほのぼのとした気持ちになります。

いつかまた、フランスでいろいろなクレッシュを見られる日が来ると良いなと願っています。

それではJoyeux noël !






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