見出し画像

見知らぬおばさんが自宅にいる恐怖

先日、約10年ぶりに友人のRちゃんが札幌に帰ってきた。
Rちゃんは結婚して道外へ行っていたが、なんやかんやあってまたご家族で札幌に住むこととなり、友達のいないわたしにとっては本当に嬉しい限りである。
札幌にいない間は大体年1ペースで一緒に旅行に行ったり、彼女が帰省する時には会うようにしていたが、昨今の情勢によりそれもままならなくなっていた。
今はそれを取り戻さんとばかりに会っており、今日も昼間は休みだったので遊んできたところだ。

最近彼女とのデートで一大ブームになっているのは映画だ。
午前中に映画を見た後、ランチをして彼女のお宅にお邪魔する。
今日も同じコースをたどり彼女のお宅へとお邪魔したが、なんでも今日は多忙で、①まずお家に業者の人が来て作業をし、②お子さん(彼女は2児の母)の用事をこなしに学校へ行かなければならないのだという。
分刻みのスケジュールをこなすなんて、プロのママって感じがしてカッコイイなぁ。と思っていたが、業者の人が思いの外手間取り、作業が終わらぬうちに②の時間がきてしまった。

R「ちょっと行ってくるから留守番頼むわ!!
  下の子帰ってくると思うから!!」

そう言って颯爽と出て行くRちゃん。
正気かな…?

というのも、わたしとRちゃんのお子さんとはほぼ面識がないと言っていい状態だからだ。
まだ子供達が乳幼児の頃会ったことはあるが、あまり記憶ははっきりしていないだろう。
つまるところ何を心配しているのか?というと、

子供の立場からすると、帰宅してみればママは居らず、よく知らんおばさんがいきなり在宅して我が物顔でリビングでテレビ見てるみたいな恐怖を与えかねない状態にならん…?

ということだった。
怖。怖くないですか?わたしは怖い。
とりあえず少し慎みを覚えるか…、と思ってテレビを消してランチの時に使った食器を洗った。
これで、よく知らん図々しいおばさん→よく知らん皿洗いおばさんくらいにはジョブチェンジできたのではないだろうか。

ワンチャン、Rちゃんと一緒に帰宅してくれないだろうか…と淡い期待を抱いていたが、普通に一人で帰ってきてしまった。
ドアを開ける。

わたし「お、おかえり」

通報、という単語が脳裏を過ぎる。
自宅のドアを開けたら知らないおばさんが居ておかえりと言う状況。
防犯ブザーの刑に処されても全く文句は言えないだろう。
どぎまぎしながらママは用事で学校に行っているよ。と言うと、すんなり「知ってるよー」と言われた。
どうやら第一関門は突破したらしい。

おわかりかと思うが、わたしは子供と接するのがあまり得意ではない。
子供は嫌いでは全くないのだが、常に末っ子のポジションに居たので、接し方がよくわからないのだ。
油断すると敬語で接してしまいそうになるし、子供に対してこれでいいのか?というくらい淡々と接してしまう。

リビングの端っこで携帯を見て大人しくしていよう…
子供に対してもコミュ障を遺憾なく発揮し、しばし無言の時を過ごす。
ふと、視線を感じて子供の方を見ると、ぱっと視線を逸らされた。
その手元にはノートPCがあり、ふと画面を見るとネットに繋がっていませんという真っ白な画面が繰り返し表示されていた。
困っている様子がありありと窺えた。

繋がらないの?見てみてもいい?
恐る恐る声をかける。
オタクのおばさんがPCのことで役に立てなくてどうする、という一大決心のもと声をかけ、PCを見せてもらった。
ただWi-Fiが繋がっていないだけだったので、Wi-Fiを設定してパスを入れれば済みそうだった。
よかった。わたしでもなんとかなりそうだ。
そう思ったのも束の間、わたしは気づいてしまう。

Wi-Fiのパスは…?

Wi-Fiにはパスが設定されている。
大抵の場合そのパスはルーターに記載されているので、パスを知るためにはまずルーターを探さなければならない。

わたしは家探しを始めた。

家主のいない家に居座り、その子供に話しかけ、今日で訪問2回目の家を家探ししている。
一発アウトの犯罪を何度も犯している気分になったが、幸いリビングですぐルーターを見つけてWi-Fiの設定をし、インターネット接続の設定が完了した。
PCを手渡し、お礼を言われる。
達成感を得たところで、漸くRちゃんが帰ってきたのだった。

あの子の中でわたしは、不審な知らないおばさんから、Wi-Fiを繋いでくれた不審な知らないおばさんくらいにはなれたのだろうか。
不審ではあるがWi-Fiを繋いでくれたちょっとだけ親切なおばさんくらいになれていたなら、嬉しいと思う。

最後に、Rちゃんとの思い出の写真を貼って締めさせていただく。

真冬に外で一緒に牛タンを焼いたね。
薬味も完備、頭おかしいんか

おわり

この記事が参加している募集

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?