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数学と私

いきなりポエムっぽいタイトルですが、大学院で必修科目だった「ビジネス数学」のコースが無事に終わったので、修了を記念して(?)数学について書いてみようと思います。ちなみにこの数学コース、必修科目と書きましたが、数学のテストで一定のスコアが取れれば、免除されます。とは言え、約90%の生徒が履修していたので、そんなに簡単なテストではないのかな、と(私は全く解けませんでした・・・)。

最初の数学の授業のテーマは「関数」だったんですが、そんな言葉、20年以上ぶりに聞きましたよ、まじで。その次が「確率と統計」、そして「微分」、「行列」と続きました。2時間半の授業の中で、60ページくらいあるテキストを一気にバーーーッと説明されるのですが、そんなん、わかるわけないやん!という感じで、嫌な汗かきました(笑)。さすがに大学院の授業なので、ベーシックな部分はみんな理解してるよね!?という暗黙の了解が胸にグサグサ刺さりまくり。はい、高校3年生からずーーーーっと数学を避けてきた私のせいです、すいません。ちなみに、「私の数学のできなさ」は、一般的に「私、数学が苦手でして」とか言ってる人の30倍くらいできないと思ってください。それくらい出来ません。

どうしてこんなに数学が苦手なのか。それは30年も前のこと。第一志望の大学の受験科目に数学がないとわかった時点で、もう完全に捨ててしまったんですね、数学を。そもそも高校1年から3年の5月までバイト三昧で、学習塾にも通ったことがなかった私が、当時の偏差値が多分50くらいだった私が、上智大学外国語学部英語学科を目指すこと自体、なかなか高いハードルでした。今のようにインターネットで情報を集めることもできなかったので、とにかく参考書と赤本で勉強するしかなかった当時。上智の外英に関係ある科目以外は一切やらないと決めて、関係ない科目の勉強を本当に止めました。英・国・世界史以外の授業中は、英・国・世界史のいづれかの勉強をしていました。先生たちに呆れられながら。

1ミリも勉強しなかった数学は、もちろん定期テストでは点数が取れません。200点満点中0点だったこともありますし、全国模試では偏差値30くらいでした。数学って積み上げの科目なので、一発逆転とかできないし、わからないことが溜まっていくと、もはやどこがわからないのかわからなくなるんですよね。そんな状態をずっーーーーっと放っておいたまま、なんと30年という月日が経っていました。でも、特に困ったこともなかったし、なんなら仕事でもある程度成果出したしー、なんてヘラヘラしてたら、47歳にもなってまた数学に取り組まなければならない状況に・・・。

確率・統計の授業があまりにもチンプンカンプンで、どこがわからないかもわからない状況で、慌てて購入した本がこちら。

でも、これを読んでも確率・統計の宿題はできないわけです。中学数学の基本的な考え方は(多分)理解できましたが、1週間後に締め切りが迫る宿題には役に立たない。そこで、切羽詰まった私が取った行動は、高校時代の恩師で数学の先生だったT先生に教えを請う、というものでした。岐阜の公立高校で3年生の時に担任だった先生です。高校の先生たちの中で唯一、自分の授業(数学)の時に、私が堂々と他の科目の勉強をすることを許してくれた先生でした。「今の君の成績じゃ、上智大学なんて到底無理だよ」と面と向かって言う先生もいた中で、「目標があるんだから、頑張れよ」と優しく見守ってくれたT先生。東京に出てきてからは、数年に一度会う機会があるかどうか、という感じでしたが、数学のテストで0点だった時も、限りなく優しくフォローしてくれて、私の受験勉強を心から応援してくれたT先生は、ずっと私のヒーローの一人です。

高校の教え子に30年ぶりに数学を教えるという、よくわからないミッションを与えられたT先生は、もう70歳になるというのに、本当にお若い。特に気持ちがヤング!50歳過ぎてから大学院に通われて、その時の研究分野について、現在は岐阜の大学で教鞭をとっていらっしゃいます。私がMBAに挑戦しようかどうか迷っていた時も、「絶対にトライした方が良い。勉強はいつだって楽しいんだから、」と背中を押してくれました。そして、背中を押した元生徒に、いきなり召喚されてしまったT先生(笑)。こんな風に自分に戻ってくるとは想像もしていなかったでしょう。

先生が教えている大学の授業もzoomに移行していたそうで、「メールや電話よりも利便性が高いので、zoomで教えて頂けますか?」とお願いしたら、快諾頂きました。それを聞いた13歳の息子が「俺も70歳になって、じゃあ新しいツールを使ってみようか、ってフレキシブルに言えるような人になりたいわ」とボソッと。「ね、ね、そうでしょ!ほんと、T先生はすごいんだって。お母さんも先生みたいに歳をとりたいのー。」と前のめりで伝えたら、圧倒的にスルーされました。中二病め!

さて、先生との授業は、私が大学院の授業を受ける→先生に授業で使った教材と宿題を送る→先生との授業前にネットや本で調べて一生懸命復習する(まじで一生懸命やりました!)→大学院の授業から4日後にzoomで先生の授業を受ける、という流れで行われました。私が事前に質問事項だけまとめて、それを確認するというフローで、なんとか1時間以内で収めようと思っていたものの、結局毎回2時間半の長丁場・・・。わからないところが次から次へと湧き出てきて、終わらない・・・。でもT先生は、最後まで根気強く付き合ってくれました。私のMBAコースが英語なので、私が送る教材も宿題も英語だったのは、先生も大変だったはずなのに、きっと自分で色々調べてくださったのだと思います。また、私が何か質問すると「あー、そういう質問も出るかな、と思ってこういうのを準備しといたんだけどー。」と言って、数学に使えるツールを教えてくれたり。私に教える前に、色々と調べてくださっていたことが伝わってきて、先生の神っぷりに感動しっぱなしでした。宿題も事前に解いて、「解答例」としてメールで送ってくださり、「問4はあまり自信がないから、一緒に考えましょう」とか書いてくれたり、もうね、ほんと、先生ありがとう!!!

ちなみに、私が数学の勉強のために使っていたのは、Khan Academyという無料サイトです(日本語版もあります)。以前から存在は知っていたものの、利用するのは初めてだったのですが、もう控えめに言って超絶最高です(語彙力)。”こんなサービスあったら、学校の授業いらんやん!”と本気で思いました。超ビギナーにもわかるように、噛み砕いてわかりやすい説明がされており、こんな私でも理解が進みました。あまりに感動したので、Khan Academy創設者のこんなTED Talkも見て、さらに感動。

勉強ってね、点数を取ることが目的じゃなくて、わからないことがわかるようになる、っていうことなんですよね、ほんとに。そんな当たり前のこと、頭では理解していたつもりだったのですが、自分がもう一度勉強してみて、心底そう思うようになりました。このトピックだけで夜通し話せるくらい(笑)。ものすごくお世話になった&気づきをくれたKhan Academyには、少額ながら寄付させて頂きました(NPO団体なので、収入源が寄付しかない)。Khanさん、こんな素晴らしいサービスを作ってくれて、本当にありがとうございます。

Khan AcademyとT先生のおかげで、1ミクロンたりとも理解できていなかった微分が、少しだけわかるようになりました。少なくともコンセンプトや、どんな時に役立つか、ということは理解しました。これは、私にとってはとても大きなことでした。絶対に出来ないと思ってたんですよ、数学なんて。今までずっと全力で避けてたんです、本当に。そもそも考えること自体を放棄していた、ということなんですけど。それがですね、超初心者レベルから紐解いていったら、わかるようになってきたんですね、少しづつですが。そして、ピシッと答えが決まると、結構気持ちいい、ということも実感しました。数学自体、私の人生において今さら何の役にも立たないかも知れないけど、絶対に無理だと思うことでも、コツコツ自分のベースでやれば人並みには出来るようになる、ということがこの歳で体感できただけで、数学ありがとう!という気持ちです(笑)。もはや、この感覚を体験するために、今まで数学を避けてきたのではないか、という運命まで感じます(大げさ)。

とは言え、私一人でこのMBA数学コースを乗り切るのはものすごく困難だったと思います。T先生の温かい指導があったからこそ、途中で挫折することなく、なんとか宿題もできました。今回のMBA数学騒動のおかげで、正しく温かい指導がどれほど大切か、ということも学びました。T先生は、圧倒的に「待つ」ことができる先生です。どんなに下らない低レベルな質問をしても、絶対にバカにしないし、何度でも根気よく教えてくれました。おかげで私も、どんな質問もできたのです。学ぶ上で、そういう安心感はすごく大切だということにも改めて気づきました。

とまあ、なんだか数学から話が飛躍しましたが、大学院の授業に恐怖の数学があったおかげで、沢山の気づきをもらいました。学びの本質に立ち返り、教えるとはどういうことか、についても改めて考えさせられました。一見、ものすごく複雑に見える問題も、分解して考えれば、打つ手が見えてくる、という人生やビジネスに通じる感覚も実感できました。学び直しは、何歳になっても可能、ということも再認識しました。もうこれだけでも、大学院入って良かったー、と感じています(単純すぎ!?)。ありがとう、数学!こんな言葉を発する日が来るとは、夢にも思いませんでした。

最後に。T先生、本当に本当にありがとうございました!今後また、統計とかファイナンスの授業でお世話になる気満々ですので、引き続きよろしくお願いします!先生の授業が楽しかったのはもちろんのこと、授業終了後の雑談からも色んな気づきを頂きました。T先生のような素晴らしい恩師に巡り会えたことに感謝しつつ、先生から頂いたご恩は、必ずや周りに還元していきます。




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