第百二十七話:どんどん発覚する隠し子

 もともと最初に出会い付き合い始めた頃に、ジェームズから結婚はしていないが子どもが一人いると聞いていた。ただ付き合っている最中に、共通の友人から他にも子どもがいるよと告げ口があり、隠していたことで揉めたが二人いるということで落ち着いていた。

 今回、再度付き合い始めるにあたりお互いの近況を話していた訳だが、そのときに特に子どもが新しくできたという報告はなかったので、そのまま二人なのだと勝手に理解していた。ただ、二番目の子どもの母親が文字の読み書きもあまりできない人であるため、同じ敷地内に住み自分が子どもの面倒を見ているということだった。正直、素直に納得できる話ではなかったのだが、私はその事実を理解し受け入れるように努めていた。

 ただ今回付き合っている最中に、他の人から聞いたり、ひょんなことから発覚したりで、子どもは二人ではなく、(私が把握した範囲で)三人の女性から総勢五人の子どもがいることが発覚した。発覚するたびに揉め、隠していたことを責め、「お前と付き合ってたときの子どもではないから、そもそも報告する義務はない」等と逆切れされることが何度もあった。
 
 何度もこの人から離れたいし、私に見合った男性ではないと思い苦しんだ。それでも、「この人から愛されたい」「絶対プロポーズされたい」「いつか私という存在に感謝する日が来るはず」という執着を捨てることができずに藻掻き続けた。

 ある日共通の友人から「っていうか、ジェームズの何がそんなに言い訳?」と直球の質問をもらった。
「顔?」
『いや、顔全然タイプじゃない。むしろかっこ悪いと思ってる。デブ嫌いだし!』
「えっ?じゃあセックスがいいとか?」
『いや、ワースト3に入るくらい良くない。』
「あっ?じゃあプレゼントとかくれるとか?」
『いや、一度もプレゼント今まで貰ったことない。』
「お金の支援してくれてるの?子どもの学費とか?」
『いや、してくれてないし、逆にこっちがお金貸してる。』
「は?じゃあ、何が言い訳?短気ですぐ誰彼かまわず怒鳴りつけて、性格だって良いとは言えないと思うけど…」
『いや、でも性格かな。博識なところとか、困ってる人を助けるとことか。』
 こんなやり取りをしながら、改めて何がこんなまで私を夢中にさせてるのかと考えるきっかけになった。昔は、自分でビジネスをして異国の地であるタンザニアで生きてる姿がかっこいいと思っていた。だが現状はカジノがほぼ唯一の収入源で私を含めた沢山の人から借金をしている。
 博識なところを尊敬していたが、約束を守らず嘘をつきまくるのを見ていたら、知識をひけらかす薄っぺらい人間のように思えてきていた。

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