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第百二十四話:繰り返される歴史

 前回付き合っていた際に別れの原因となったのは、ジェームズがカジノでほとんど時間を使っていたために一緒に時間を過ごせず、すれ違いが起こっていたこと、そして私自身がそんな関係の中自分に自信を持てずネガティブな発言を繰り返し、疲れてしまったことだった。

 コロナも少し落ち着き、私の労働許可証もおり少し落ち着いた頃、再度付き合うことになったのだが、そのときに同じ過ちは繰り返さないようにしようと話し合った。とはいえ、人は簡単には変わらないものだということを思い知らされることになる。

 再会したころは、約束の時間を守ってくれていて、自分の気持ちも彼なりに言葉にしてくれていた。しかし時が経つにつれ、素の彼に戻ってきて、約束の時間から1-2時間経っても来ず、呆れて私が帰るということも増えてきていた。愛情表現ももう一度言ったんだから分かるだろ、と一喝される。
さらに遅刻して現れたくせに、携帯でひたすらオンラインポーカーをしながら、耳だけで人の話を聞いているような状態が多かった。そのことを指摘しても、よく分からない屁理屈(子供のときに同時進行で色々進めるように教育されたという話を永遠と聞かされた)をこねるばかり。
 
 会いたいという気持ちはあるものの、デートの後はいつもモヤモヤしてしまい、自虐的なメッセージを送り、長文で説教されるという繰り返しだった。
 家に来ると言いながら来なかったり、朝の3時に急に電話があり家の外にいるから門を開けろと言われたり、会いたいなら俺は毎晩カジノにいることを知っているんだから、会いにくればいいと言われたりで、私の心はどんどん荒んでいった。

 もちろん辛いという気持ちはあるのだが、「この人に愛されたい」「きっといつか私の大切さに気付いてくれるはず」という期待がどうしても捨てられない状態で、毎日毎日苦しんでいた。
 
 沢山の恋愛指南書を読んだり、意味不明な占いにも頼ったり、少し距離を置いて様子を見たり、他の男性の影を匂わしてみたり、思い付く限りのことは何でもした。少し効果があったりしても、最終的には自分のネガティブさに勝てず、すぐに不満を言ってしまって元に戻ることが続き、ただひたすら自分を責めていた。

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