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乳がん闘病記(17)EC療法開始(後編)

前編はこちらです。https://note.com/yuka_1123/n/nfffc9231d674?sub_rt=share_b

そしてこんなことがありましたっけ。

このとき、うっすら感じてはいました。
お昼から予兆はありました。

きっとお疲れなんやろ、と思ってました。


午後10時消灯。
とはいえ、せっせと抗がん剤を流すために温かいお茶をごくごく。
夜中に目が覚めるのは折り込み済みのこと。
(例の赤い悪魔が入ったあとの尿が赤いというのをこの目で確認したかったのに、ここのお手洗いは座って数秒で流れるので未確認)

この日のために用意した、例の夏にはあつすぎるパジャマも、この季節にはいい感じで、ただ、枕が低いってことくらい。
次回入院の時はマイ枕持ち込みやな、これは。

寝る前に乾燥対策のシートパックしながらメールチェック。
ここまで何も副作用らしきものがなくて済んだことに感謝しながら入眠💤


気がつくと12時をちょっと回った頃でした。
私の睡眠を妨げたもの、それは

お隣さんの

IBIKI!

実は、お昼寝してはる時のすごいのが聞こえてきてたんです。
たまたま、ベッド周りの動画を家族に送ってたらその音がうっすらと入っている程度にはかなりの音でした。

その時は
「お父さんのいびきみたいやから、うちにいるみたいで落ち着くよ!」
とLINEしていたノーテンキな私。

深夜のそれは相方のそれも、更にその上を行く下の弟のそれも遥かに凌駕するものでした。

目が覚めてしまったのでお手洗いに行くと、廊下にも鳴り響いてました。
(四人部屋はドアは常時開放されてます)

いつもなら抜き足差し足忍び足でベッドに帰るところだけど、ここは一つ
「ちょっとお静かになさって!」
という意味を込めてちょっとだけ音を立てて帰りました。

無反応

というか、相変わらず。

相方の場合、「ぐぅおおお ぐわああああ」の応酬が続いたあと、数秒呼吸が止まってその後に「プフー」が来ます。

めちゃ睡眠時無呼吸症候群やん!

だったので、かかりつけ医に診てもらい、睡眠中に何かを測る機械を着けて計測したところ、睡眠時無呼吸症候群というレベルでは有りませんでした。

でもやっぱり心配なので、「いびきがうるさいよ」と言って体を揺り動かしてます。

そんな事があるので、気になってしばらくきいてました。

が。

「プフー」が来ない。

常時「ぐわあぁぁぁ」「ぐおぉぉぉぉぉ」

これ、どうしたらいいんやろ。

眼科入院したときのこと。
入院に関してのレクチャーのときに「いびきをかきますか」という質問。

「自分ではわからないけれど、家族には時々いびきかいてると言われることがあります」
「では、そういう場合は看護師が来て注意することもあります」

と言うことが有りました。

ここでは日常動作が自分でできるか、とかのチェックはありましたが、いびきに関しては何もなし。

持参したいびきシールを渡してもなぁ。


看護師さんから渡してもらう?

でも、「ステント云々」って言うてはったから、心臓の手術してはるんやろし、現状、私よりハードな感じやろしなぁ。
ここは私ががまんするとこやろな。
うちに帰って寝ればいいわけやし。

そんなふうに悟りを開き、眠れないまま2時間。

ようやく台風の目のような、静かな時間が訪れました。

今や!今しかないで!寝るで!

Twitterで見た、入眠のためのストレッチを、いや、お手洗い行こう!

と、お手洗いにいって、またお湯を飲んで、さぁ寝るぞ、と心静かにベッドに横たわること数分。

そうやった、抗がん剤入れた夜は寝られへんのやったわ。

もう流れに任せて眠気が来るのを待ってました。


イタイ…

イタイ…

は?

この声はどこから?

こ、このベッドから旅立たれた方ですか??

脳裏に現れる、頭に三角の布を巻いた足のない…

まじか、勘弁してくれぇ

浄土真宗だけど、何故か唯一唱えられる般若心経を念じながら
「私にはあなたを救う力はありません、どうか元の世界にお戻りください」

でも聞こえてくる「痛い」

あ、これ、なまみの人?

そういえば、一つ空いていたベッドに夕方急遽(?)入ってこられました。
多分私より10歳以上年上の方。

「夕食は食べられません」と看護師さんが言ってらしたので、午後手術されたのでしょうか。

もしかして、内疾患患者の多い病棟で、角部屋かつナースステーションに一番近い四人部屋って、手術した人とか、外科系患者のためなのかな。

ちなみに斜向かいのベッドの方は、手術はされてない感じの、でも車椅子移動のシニアの方でした。

いびきのあとは蚊の鳴くような「痛い 痛い」で、今度はそちらがめちゃ気になる。

ナースコールを押さないのは何か事情があるの?
押さないんじゃなくて押せない?
なら私が代わりに押す?

逡巡の丑三つ時

と。

今度は話し声が聞こえてきました。

電話してるの?
それくらい元気になった?

ほな、寝ましょ。

twitterでみた入眠ストレッチを思い出しながら

あ。まただ。

痛い…痛いって。

思わず、「だいじょうぶですか?」と声をかけたものの、返答なし。

そういえば、こういうときは
「だいじょうぶですか?」というより「どこが痛みますか?」のほうが返事をしやすいとか。

私は医療従事者ではありません。
感染防止の観点からも、カーテンを開けて具体的な行動はできないので、ナースステーションへ。

「私の向かいのベッドの方が、ずっと「痛い痛い」とうわ言を言ってます」

即行動の夜勤看護師さん。

「ベッドを起こしますね」

.。o○(あ、自分で起こすのは禁止やけど、看護師さんが起こすのはOKなんや。リモコン故障じゃなかったのね)

「はい、体を起こして痛み止めを飲みましょう」

からの〜
お手洗いにいけますか?
からの〜
行けそうにないのでおむつにします。
ちょっと横向きに云々

わりとしっかりとした
コール&レスポンス。
そして!
呼応するかのような

いびきアゲイン!

もうはっきり目が覚めて、こりゃ、家に帰って寝るしかないわ。

痛み止めがきいたのか、向かいの方の寝息(というか、控えめないびき)が聞こえてきて、一安心。

と思ったところで今度は

「いやあぁぁぁぁぁ!ママじゃないと嫌あぁぁぁぁぁ!!!」

南側にある小児病棟からの絶叫。

午前3時半に、こんな時間に泣き叫ぶなんて、どんなにつらい症状なんだろう、怖かったやろね、かわいそうに。

うちの長女が小児喘息で、同じように夜中に救急病院に連れて行ったことも何回かありました。

ママから引き離されて処置室に連れて行かれるのね。どうか、どうか早く良くなって!と祈りつつ。
でも割と長い間泣きじゃくっていて、お子さんもだけど、ママさんもお気の毒で、できることなら背中をさするなり抱きしめるなりしたいくらいの衝動に駆られました。


小腹がすいたので持参のスープを飲むなどしてやり過ごし。

いつの間にか眠りに落ちたようで、気がつくと6時。

バイタルチェックの時間。
「眠れましたか?」
の問いには
弱々しく首を横に振るしかなくて。
「おうちでゆっくり休んでくださいね」
と。

吐き気なし、痛みなし。
36度5分。
血圧 105/57
ただ、足がだるい。

朝食


5枚切りくらいの厚さのホカホカの食パン
マーガリン
ブロッコリーとウィンナの炒め物
牛乳

温かいのはパンだけ。
なので、持参のスープを飲んで、牛乳は持って帰ることに。

手術は冬なので、冷たい牛乳はちょっと辛いかな。
レンチンできるカップを持ってかないといけないと学びました。

そして、食後のデザートに吐き気止めのデカドロンを服用。

ここで一つの重大な事実に気がつきました!

まだ出てないやん!!

そう、1日2、3回はあたりまえの

快便女王


の異名を持つ私が、
昨日の点滴後、
一度も

ない

これが今後私を苦しめることになる最大の副作用になるなどとは、このときの私は考えもしませんでした。

なにせ、前日の回診のときに主治医から
「今回、便秘のおくすりは…いりませんね?」
といわれたくらい、ドセタキセル中は絶好調だったので。

とまぁ、こんな具合で入院生活が終わりに近づき、着替えてウィッグ装着し、荷物をまとめたところで再び看護師さん。

退院後の生活についてのレクチャー。
「食生活」の欄にチェック有り。
「入院食のような食事をしてください」と。

えぇ?

5枚きりくらいの食パン→全粒粉の6枚切り1枚が精一杯
ブロッコリーとウィンナの炒め物→加工肉食べません、あんまり
マーガリン→トランス脂肪酸は極力排除してます
冷たい牛乳→チンしてます

こと朝食(パン食)に関しては全く参考になりません。
朝はバナナとヨーグルトとプロテイングラノーラ、納豆、目玉焼き、しじみスープです。
パンは普段からほとんど食べません。
選べるなら朝食はご飯が良かったな。

前日の昼・晩ごはんは、おかずの量が控えめだったけど、アレくらいの量で十分栄養が摂れるということだろうから、普段の私は多分食べ過ぎ。
これは参考にしないとです。

続けて
「今日は土曜日で、会計が開いていないので精算は後日になります」
「月曜にジーラスタを打ちに来るのでその時でしょうか?」
「それも間に合うかわかりませんので、後ほど請求書がご自宅に届くということになります」

ということでした。
なので、その請求書が届くまで診療内容もわからないまま。


ベッドの都合もあるでしょうから、用が済んだらさっさと退院。

と、ここで土曜日の罠。
土曜休診なので、病棟の出入り口は封鎖されてました。
別の棟にある外来入口しか開いていないということを知らされてませんでした。
しかも、地下通路で行く感じらしい。

エレベーターを上り下りして、ようやく地上に降り、相方の到着を待ってました。

その時、再び気が付きました。

なんだか、息があがってない?

そう、これもまた、後に私を苦しめる2大副作用の一つなのでした!

ドセタキセル、お前はなんて優しかったんや(しみじみ)

そして、自宅に着くなり
「と、とりあえず寝かせてくれないか!」

仮眠という深い眠りののち、めっちゃお腹が空いたのでしっかり昼食を食べ、
そしてまた眠りに。

眠れる森の豚

ほんま。我が家はよう眠れるわ!

という、EC療法1クール目初日、二日目でした。



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