Polar Warriors 「双極症、職場で開示する?」
https://www.youtube.com/watch?v=Msotew7yNQs
Polar Warriors
Disclosing Bipolar Disorder at Work
「職場で双極症について開示するべきか?」がテーマの動画です。
Polar Warriors の動画をつくっているRob さんは、アメリカ人ですので、主に、アメリカでの状況、法律をもとに提言しています。
日本にお住まいのみなさんは、参考までにお読みください。
では、どうぞ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私(Rob)は、過去に何度も仕事を失った経験があり、私の苦悩に対して全くサポートを得られなかったり、差別的だった雇用主のもとで働いたこともあります。一方で、非常に協力的だった人たちもいました。このトピックは、個々の状況によって非常に異なるため、簡単な答えがないことでもありますが、いつものようにできるだけ多くの情報を提供し、それが双極症を抱えるみなさんの役に立つことを願っています。
双極症を患っている20から50パーセントの人たちが、有給の仕事を持っていないという調査もあります。仕事をしている人たちの中には、症状が原因で、さまざまな問題を抱えている人も多くいます。未だに多くの偏見が存在し、敵対的な職場環境で働くことさえありますが、これは決して容認できることではありません。
かなりの人から、同僚に話してもネガティブな反応や偏見を感じないという話を聞きますが、皮肉なことに、同じ人たちが症状に対処するために仕事休むと、職場に戻ったときに扱いが急に変わることがあると言います。ある人はこう述べています。「一度レッテルを貼られると、もう腹を立てたり、自分の意見を言ったりすることが許されないことがあるのです。プロジェクトを完了できないことを訴えたり、医者の予約のために早退する必要があると伝えたりすると、『またか』という態度を取られることも珍しくありません。まるで仕事を休むための策略だとか、こうした不便を楽しんでいるかのように扱われるのです。」
興味深いことに、私たち(アメリカ)の文化では、薬物依存症でリハビリに取り組んでいる人へのサポートの方が、メンタルヘルスの問題のためのサポートより手厚いということです。また、法執行機関や軍、政治職に就いている人たちが精神疾患を公表すると、キャリアが崩壊してしまうという現実もあります。これは本当に悲しむべきことです。
同僚が、あなたの健康維持にあまり協力的でない場合、具体的なことを伝えずに、「今日は大事な予定がある」とか、「個人的な用事がある」と言うのが無難です。また、長期間仕事を休んで新しい仕事を始めようとするとき、その期間のギャップを説明するのが難しいことがあります。履歴書に空白期間がある場合、ボランティア活動、職業訓練、家族の手伝いなど、「次の仕事の準備をするために有意義なことをしていた」と伝えると良いでしょう。それ以外のことは、他人の関知するところではありません。
率直に伝え過ぎることは、時には逆効果になることがあるので、自分自身の状況を正しく評価して、戦略的なバランスを見つけることが大切です。これにはタイミングということが非常に重要で、病気を開示するかどうか決める際に考慮するべきです。双極症を抱えていることは他人の関与するところではないので、準備ができるまで圧力を感じたり、義務感を持ったりする必要はありません。特に履歴書や一次面接で双極症に言及すると、その先の面接に進めないことすらあります。これは実にひどいことですが、だからこそ私のように、情報を広め、精神疾患に対する差別と戦うために、一生懸命取り組んでいる人たちがいるのです。
ポジティブなことを言えば、法律が私たちの味方であることです。したがってそれは、病気を開示することが必要な医療的配慮を確保するための鍵となることがあります。アメリカ障害者法(American Disability Act 略称ADA)によれば、配慮が必要になるまで障害を開示する必要はありません。また、採用プロセスで雇用主に診断について話す義務はありません。
同僚に自分が抱えている問題を話すことが、特定の行動の背景を説明し、サポートや共感を促すことにつながることもありますが、逆に人々が距離を置いたり、警戒心を持って接したりすることもあります。もし同僚に話すことを決めた場合、一定期間、安定している時期に話すのが良いでしょう。戦略的なタイミングは、特に仕事で良好な状態であるときには、ポジティブな印象を与えることができます。
上司や監督者に対して不安を感じる場合、人事部に相談し、上司が状況を適切に対処してくれるかどうか不安であることを、伝えると良いでしょう。人事担当者が上司に最適な方法でアプローチする責任を持つことになり、これによりあなたのプレッシャーが軽減され、プライベートな医療問題が公になることを防ぐことができます。常に、彼らとの話し合いを記録し、次のステップが明確にされていることを確認してください。
まず、はっきりさせた上で強調しておきたいのですが、多くの人が「開示」という言葉を聞くと、自分の診断について具体的に話さなければならないと思っていますが、それは誤解です。1973年リハビリテーション法およびADAの下では、具体的な内容を伝えることと、単に障害があることを明かすことには大きな違いがあります。具体的な詳細に触れる必要はありません。ただし、例外としては、法的代理人があなたにとってそれが最善の利益をもたらすと助言した場合や、また、極めてまれな状況として、高レベルのセキュリティクリアランスを必要とする、政府の仕事に応募することがあげられるでしょう。
障害を開示した場合、雇用主にはあなたに対して配慮する方法を模索する義務があります。実際に、職場でのパフォーマンスや行動に問題が出始めた場合は、できるだけ早く行動を起こすことが有利になることもあります。あまりに長く待ってしまうと、雇用主はネガティブな業績評価、懲戒処分、さらには解雇などを再評価する必要がなくなる可能性があります。特に、障害が関与していることを知らなかった場合にはなおさらです。また、自分を弁護する能力は、深刻さを示した文書と障害の重症度によって左右される可能性があります。ADAは、重症なタイプの双極症を持つ人の方を、つい最近診断を受けた循環気分症(サイクロタイミア)を持つ人々よりも真剣に扱うことがあるかもしれません。不公平に感じるかもしれませんが、大きな決断を下す前に、自分の権利についてよく調べておくことが重要です。
ADAの手続きに関する情報は非常に多岐にわたり、動画でカバーするには多過ぎますが、概要欄にウェブサイトのリンクを含めておきます。
職場での「配慮」とは、生産的な労働環境を維持するために、合理的な範囲で提供される支援のことです。たとえば、医師の予約がある場合や、症状が深刻な場合に、柔軟な勤務時間が与えられることがあります。重度のうつ状態や、躁状態によって思考がまとまりにくい場合、作業中に使う耳栓を要求したり、ヘッドホンを装着したりして、外部の刺激を減らすことができます。配慮は常識的なものであり、合理的でかつ現実的である必要があります。
法律は、特定の差別から私たちを守るために作られていますが、すべての状況で最高の待遇や結果が保証されるわけではありません。もし、あなたが極端に乱暴な怒りを爆発をさせたり、職場の誰かを、いかなる状況下でも受けいれられない方法で扱ったりした場合、それは双極症があるからといって、何らかの免除を受けられるというわけではありません。
実際に、破壊的な行動のために解雇されたケースが多くあり、雇用者側が正当とされることがあります。私たちは依然として、障害と、破壊的な行動や反抗的な行動を区別する薄い線を越えないように、一定のレベルのプロフェッショナリズムと行動を維持する必要があります。
「特別」な配慮を求める場合、職場は医師の診断書や障害を示す何らかの書類を要求するのが一般的です。しかし、ほとんどの場合、実際の診断名を開示する必要はありません。先ほども述べたように、面倒でも、雇用者の「配慮に関するポリシー」について、時間をかけて学ぶことを強くお勧めします。そうすることで、上司にアプローチする前や、最終的に苦情を申し立てる場合に、自分ができることや、できないことについてのアイデアが得られます。
「診断名を共有しなければ配慮を受けられない」と誰かが言っても、それは事実ではありません。必要なのは、障害があることを示す何らかの書類だけです。それだけは、覚えておいてください。もし時間が必要なら、同僚に「個人的な問題」や「個人的な医療問題」に対処している、と伝えることができます。それ以上の情報は必要ありません。
自分の状況に応じて、障害を開示することに対するサポートがある環境かどうかを見極めることが重要です。もし、職場で何かに本当に腹を立てた場合、反応する前に少し時間を取り、冷静になるように強くアドバイスします。個人的な経験から言いますが、タイミングを誤って苦情を申し立てたために、仕事を失ったことがあります。怒っているときは、物事をはっきりと見ることや、アプローチすることが難しいのです。感情的になり過ぎて、上司や監督者と話すと、災いのもとになるかもしれません。
特に誰かの発言があなたの症状をさらに悪化させるときは、それについて考えてみてください。たとえば、同僚や上司に腹を立てていたのに、次の週には何も問題もなくいつも通りになっていたことがありませんか?私たち(当事者)は、内部の苦しみと、外部の状況を混同しやすいのです。私も何度もそういう経験をしてきました。この動画で語っている多くのことは、「タイミング」に関わっています。できる限り話し合いの場を持ちたいと伝え、建設的な提案をして、あなたが経験していることに対して雇用主がどのように対応できるかを伝えるよう努めてください。
また、記録をつけることも非常に重要です。具体的な事柄や状況を覚えておくのは難しいことがありますし、特にそれが法的な問題に発展する場合はなおさらです。たとえ今の仕事が夢の仕事に見えても、同僚や上司との不利な反応や、やり取りを記録するための何らかの日誌を持っておくことをお勧めします。使うことがなくても、状況が悪化した場合には、仕事を失うことかどうかの鍵になるかもしれません。何かが起こった日について、具体的な記録をもっていることは、数週間や数か月前の出来事を思い出そうとする雇用主よりも、はるかに重みがあります。
できる限り、何らかのミーティングを持つ場を作ってもらい、建設的な提案をもって雇用主にアプローチするよう努めてください。具体的に、要点を外さずに、症状に関する情報を最小限に抑えて伝えるのが良いでしょう。また、友人や同僚を同席してもらうのも非常に良い考えです。証人がいるだけでなく、その場にいるだけで冷静さを保つ手助けをしてくれます。リコーダーを持参して、「話した内容を忘れないように録音したい」と伝えるのも良い方法です。
もし問題を提起する必要があったり、医療休暇のような配慮を求める場合、どうすればあなたがより良く、仕事の生産性が向上するかを強調するのがベストです。法的に義務付けられているとしても、それがあなたの立場を大いに助けます。また、ビジネスにとっても可能な限り配慮を行うことは、財政的な利益につながります。私たちが健康であればあるほど、仕事においても優れたパフォーマンスを発揮できるのです。
さて、仕事に多くの時間を費やさなければならない場合、それをできるだけ快適でトリガーのないものにすることが重要です。快適な椅子を使ったり、仕事の前に瞑想をしたり、机のそばに光療法のライトボックスを置いたり、トイレで一休みして静かな音楽を聴いたりすることが考えられます。家族や友人、好きな場所の写真を置いておくのも良いでしょう。私たちは私生活においては症状に対処するために多くの工夫をしていますが、仕事での小さなことも忘れないでください。なぜなら、私たちは仕事で多くの時間を過ごすからです。
病気を開示するかどうかを考えている場合は、まず職場の環境や上司の態度を見てみてください。一般的な健康促進を推進しているか、他の人が病気になったときや、障害を負ったときの態度などを確認してください。雇用主によって双極症を開示する際の対応は異なりますので、自分の状況を慎重に評価する必要があります。
雇用主を十分に信頼しているのであれば、冷静で建設的、かつ計画的な会話を心がけてください。自分がより生産的になるための方法や、症状が出たときに何をすべきか、またはすべきではないかに焦点を当てましょう。彼らが自殺という問題の危険性を真剣に受け止め、その後の適切なフォローアップ方法を知っていることは非常に重要です。もし抵抗がなければ、雇用主に医師や信頼できるサポーターの連絡先を伝えることもひとつの方法です。それは、あなたと雇用主の関係次第です。
また多くの人たちが、双極症の範囲や、発達障害と心理的障害の違いをまったく理解していないことを覚えておくべきです。もしあなたの雇用主が学ぶ意欲を示すのなら、学んでもらう良い機会となるかもしれません。
これらのことを踏まえて、この病気と戦っているすべての人たちのために、良い例を示すように努めてください。
次に考慮すべき大切なことは、双極症の症状に合った仕事を見つけることです。私は、これまでに多くの、勤務時間が9時から5時の会社や、政治的な要素が多く、刺激が強すぎる仕事をしてきましたが、いつも極度に苛立ったり、不安が増大して健康に影響を及ぼすようになりました。多くの人にとって、従来の仕事は、健康的な職場環境を提供したり、必要な時に自己管理を行う柔軟性を持たせてくれないのです。
私にとっては、自宅で働く必要があり、理解のある雇用主と柔軟なスケジュールがないと健康を保つことができません。ただし、自営業や在宅勤務、出来高払いの仕事にはいくつかのジレンマがあります。仕事が安定していないことが、ストレスの引き金になる可能性があり、大企業が提供する貴重な医療福利を利用することができないことがあります。また、一貫したスケジュールを持つことが、私たちの健康に非常に良いこともあります。私にとって、スケジュールの一貫性は非常に重要で、自宅で働くためには毎日同じ時間に起きる規律が必要です。規則正しいスケジュールを維持する必要があるのに、軌道から外れやすいです。また、孤立し過ぎないように、何らかの社会的つながりを持つことも必要です。結局のところ、すべては個人のバランスを見つけることにかかっています。
さて、この動画の最後の部分では、開示すべきか否かを決める前に、
・いくつかの質問を自分に問いかけるべきだと思います。
1.どれくらいの期間、その職場で働いているのか考えましょう。
長く働いていればいるほど、支援を求める際に周囲が過剰反応する可能性は低くなります。
2.これまでの業績評価はどうだったでしょうか。
良い評価は、スティグマと戦う際の助けになります。
3.上司や監督者との関係は良好ですか?
これには、彼らを信頼できるかどうかや、他の従業員が困難に直面した際に共感を示しているかどうかも含まれます。
4.あなたの会社全体の理念は何でしょうか。
上司たちは、従業員を貴重な資源と見なしているのか、それとも、結果を出すためには、どんな手段も辞さないと考えているのかを理解することが重要です。
5.最後に、あなたの個人的な目標や理想の結果は何でしょうか。
共感してくれるサポーターがいることを期待している場合、それがうまくいかないと失望したり、脆弱に感じるかもしれません。
一方で、双極症で苦しんでいるすべての人々のために、正義を貫くことを目指している場合、結果にかかわらず、満足感を得られるかもしれません。
自分が何を求めているのか明確にして、そのために準備を整えることが大切です。
・次に診断や障害を開示することのメリットとデメリットを考えると良いでしょう。
・メリットについては、次のようなものが考えられます。
1.開示することで必要なサポートを受けやすくなります。
履歴書に空白期間がある場合、その理由を説明しやすくなるかもしれません。また、仕事のサポートだけでなく、上司や同僚が問題を起こした場合に介入してくれるジョブコーチや雇用スペシャリストを職場に招くことができるようになります。
2.症状が現れたときに、医療休暇や合理的配慮を雇用主に求めやすくなります。
特に雇用主を長い間知っている場合、障害を理由に解雇されることを防ぐことができます。同僚との良好な関係がある場合、彼らを教育し、症状に気づいたり、助けてもらうことで、職場でより成功するための味方をを増やすことができます。
3.開示することで、周囲の人々があなたの特定の行動をより理解しやすくなるかもしれません。
たとえば、いきなり過剰に努力するかと思えば、次にはうつ状態で孤立するような行動です。それが、どこからくるのかを知ってもらい、これらの症状を見たときに何をすれば良いかを伝えることができます。最後に、自分自身をもっと自由に感じることができ、苦しんでいるときに自分の気持ちを隠さなくてすむようになります。
・デメリットしては以下のようなものが考えられます。
1.まず挙げられるのは、ネガティブな結果です。
キャリアに影響を与えたり、そもそも仕事を得るチャンスが減ったり、昇進の機会を奪われたりする可能性があります。これは非常に不当なことですが、まだまだ偏見が存在するため、大変現実的な懸念です。多くの人がキャリアを発展させるための昇進や、機会を逃してしまうことが悲しい現実です。
2.パフォーマンスではなく、診断に基づいて評価されることがあります。
精神疾患について理解しておらず、共感性が低い人たちのもとで働いていれば、そういうことが起きがちです。同僚から他の人とは異なる扱いを受けたり、偏見によって危険人物や信用できない者と見なされて、避けられる可能性もあります。
3.同僚たちが発達障害や精神疾患の違いを理解していないために、知的障害があると誤解されることも考えられます。
4.同僚から嫌がらせを受けたり、からかわれたりすることもあり、これが多くの人にとって大きなトリガー(引き金)となります。
以上のことを考慮したうえで、職場で双極症を開示すべきかどうか、開示する場合にはいつ、どのようにすれば良いかについて、考えてみてください。
☆ この動画を気に入られましたら、👇のリンクから「高評価」をよろしくお願いいたします。動画を作成したRobさんの励みとなるとともに、より多くの人にこの動画が届くようになります♬
精神疾患に対する認識が不十分な国では、双極症がうまく理解されていなかったり、他の精神疾患と混同されたりすることがあります。
また、文化や言語の違いによって、双極症に相当する病名や概念が存在しない場合もあります。
このような環境にいる人たちにとって、POLAR WARRIORSは、貴重な情報源です。
ご協力をお願いいたします♬
https://www.youtube.com/watch?v=Msotew7yNQs