相槌には9つの機能があるというお話。
会話する中で何気なくしている相槌って、どんな機能があるか、知っていますか?
「うんうん」
「へえー」
「なるほど」
「あー」
「ほう」
大学院のとある授業で、相槌のバリエーションをたくさん持っている人に出会って、「こんなに相槌ってあるのか」と驚いたと同時に、「相槌ってどんな機能があるんだろう?」と気になって、調べてみました。
今回は相槌の機能についてまとめていきたいと思います。
参考文献
論文名:大学教育におけるコーチングと言語学の接点を考える「あいづち」を例にして/饒平名尚子さん
相槌の定義
そもそも相槌は下記のように定義されているそうです。
シンプルにまとめると、話している人に対して聞き手が反応する表現、と言えるかもしれません。
相槌の9つの機能
Schegloff(1982)、メイナード(1993)などによって指摘されたあいづちの機能をまとめると次のようなものがあげられます。
これを見ると、相槌には本当に多くの機能があることがわかります。私はこの論文を読むまでは、「⑤会話への関心の合図」「⑥聞いているよという合図」くらいしか想像していなかったので、こんなに多くの機能があるのか、と驚いたのが正直な所でした。
関連する理論
相手の話への関心を示す合図、聴いているよという合図、そして肯定的に聴こうとしている態度の表明として、あいづちが用いられるとき、あいづちはポライトネス(人間関係を円滑にするための言語ストラテジー)とも深く関わると言われています。
つまり、他者に「近づきたい欲求」が、ポジティブ・フェイスで、他者と「距離を置きたい欲求、進入されたくない欲求」が、ネガティブ・フェイスといえます。
コーチングにおけるあいづちの位置づけ
この論文が、「コーチング」という視点も含んでいるので、最後にコーチングにおけるあいづちの位置付けを整理しようと思います。
コーチングの代表的な 7 つのスキルとして聞く、ペーシング、質問、アクノレッジメント、フィードバック、提案、要望をあげていますが、「聞く(傾聴)」スキルの項目に、聞くためのポイントとして「『聞いている』というサインを送る:タイミングのよい相づちやうなずき、また、表情や目線で相手を安心させることで、より多くの情報を共有することができる」と述べていいます。(コーチエイ(2009,p,141))
この相槌が、コーチングにおいて実務的にどう活きるかを整理したのが、下記となります。
相槌が対等な関係になりうる、という実務的インプリケーションは、なるほどなと思いました。確かに、面接で全く相槌打たない面接官をたまに見かけますが、あの態度って対等とは言えないですよね。(そういう態度でも堂々としていられるかを見ているのかもしれないですが…..)
相槌を適切なタイミングで打つことは、「あなたのことを大切に思っていますよ」というサインにもなる、というのが私の学びでした。
これからも相槌はバリエーションを意識しながら、大切にしていきたいコミュニケーションです。