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1年半でアメリカ14往復することになったわけ(3)

前回から間が空きましたが、やっと少し本題に近づいてきました。

絶好のタイミング

夢に見たロルフィングのトレーニングに初めて参加したのは、2010年の夏でした。
東京での開催、しかも小学校の夏休みに重なるという絶好のタイミングでしたから、この機を逃すわけにはいきませんでした。頼み事をするのは超がつくほど苦手でしたが、家族と実家の両親に必死で頼み込んだのです。得体の知れないボディワークに熱を上げた挙句、夏休み中、月〜金で孫たちを預かって欲しいと本気で言いだした私に呆れた両親も、預けられることになった娘たちも、夫も協力してくれることになりました。

当時の私は「自分のしたいことを声に出して人に助けを借りる」ことをめちゃくちゃチャレンジだと感じていたのですが、「言わなくてもわかって欲しい」という甘えだったのが潜在意識を学んだ今ではわかります。そして、それを受け止めてもらえてどれだけ恵まれていたかも。

憧れのトレーニング

さて8月、ブラジルから来たハケルという女性インストラクターを迎えて、年齢も来歴もさまざまな20人が集まり、いよいよトレーニング開始。
解剖学、生理学という知識に加えて、人の身体に触れる基礎テクニックとマナー、人とのニュートラルで安心安全な距離感など、ボディワークをするための土台づくりに必要なあらゆることを学んでいきました。
憧れて追いかけてきたものを、実際に学ぶことができるというのは、想像以上の喜びでした。毎日増える新しい知識や体験で頭も身体もパンパンでも、家に帰ると鶏肉の皮をめくって「筋膜がある」とか、身体の使い方でカボチャがめちゃくちゃ楽に切れるとか(笑)…我ながらテンションがおかしかったのを覚えています。

「今、ここ」にいること

ある日の講義でハケルが話してくれました。
「心を患っている人はまるで深海に沈んだエレベーターの箱にいるようなもの。だから、周りがどれだけ気づかせようと話しかけても中に声は届かないの」
「中の人のことは変えられないけれど、周りの人ができる最善は自分のプレゼンス(presence)を保つこと。『今、ここ』にいて、自分の呼吸に意識を向けて気づいていることなのよ」

彼女の言葉を聞きながら、涙が溢れて止まりませんでした。ハケルには直接夫のことを話したことはありませんでしたが、頑なに当てつけポジティブだったのが心底緩んだ瞬間だったと思います。
”Be present”、”Keep your presence"=「今、ここにいなさい」
クラスの中で何度も聞いたこの言葉が、その後もずっと私の土台となり、屋号にも入っています。

中断

秋の初めにクラスは終わり、日常が戻ってきました。同期の殆どが数ヶ月後の第2段階に進むことを決めていましたが、家族の事情を考えると私は断念せざるを得ませんでした。

2011年3月11日、娘たちが小学校から帰ってくるまでとウトウトしていたところにあの揺れが来ました。同期たちは第2段階のトレーニングの最中でした。

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