IBSA柔道アジア選手権・アスタナ2023
4月28〜30日にカザフスタン・アスタナで開催されたアジア選手権に出場するため、4月24日〜5月1日で遠征に行ってきました。
今回はその振り返り試合編です。
今回の大会はアジア選手権ということで、アジアの選手しか参加しません。またポイントもグランプリに比べると小さく、さらに先日のエジプトでのグランプリからさほど日が経っていないことから、私にとっての戦略的重要度は低い大会でした。
しかし、これもパリへの予選のひとつであり、またアジアで勝てなければ世界でも勝てないため、表彰台は絶対条件、かつ先日のエジプトでの課題解決のための良い試験の場と言えます。
今回のテーマは楽な気持ちでかつ動ける状態で試合に臨むこと。
前回のエジプトでは「脱スロースターター」ということでアップに力を入れてみましたが、体は動いたものの力みすぎたのか気負いすぎ、また疲労が抜けない状態で試合に臨むことになりました。
今回はその反省からアップはしっかり行いつつも、楽しく動いて気持ちを楽にすることを心がけました。
体重は前回ほど少なくもなく、かと言って減量に気を使うほどでもなくといった具合でした。体調も悪くなく、遠征出発時こそ風邪気味でしたが完全に復調。
万全とは言えませんがそれが逆に肩の力を抜くことができて良かったかもしれません。
組み合わせは、なんというか、まぁ、さすが俺といった具合。
大会前のランキングは4位でアジア2位。アジアで警戒すべき高ランカーはカザフのオラザリウルイ選手とイランのジェッディ選手。ありがたいことにこの2人はアジアでは1位と4位なのでトーナメントの反対側。
しかし出場選手8人のリストを確認すると、台湾のチャン選手、ウズベキスタンのサイドフ選手の名前が!
チャン選手は4年前のアジアオセアニアで2位に入っておりその後は結果こそ出ていませんが、事前練習を見る限りなかなか手強そう。サイドフ選手は説明不要、73kg級の東京パラ金メダリストです。
ノーシードのこの2人がどこに入るかが非常に重要でしたが、なんと2人ともこちら側。しかも、私の初戦はサイドフ選手。一番嫌な抽選結果でした。
初戦、対ウズベキスタンのサイドフ選手。東京パラ以降大会への出場はなく、今回が復帰戦です。
組手はケンカ四つ。お互い組方でなかなか妥協しない展開でした。一歩も引かなかったのはまず良かった点です。そして何よりこの試合で良かったのはかなり積極的に仕掛けることができたこと。サイドフ選手に対しては比較的技に入りやすかったこともありましたが、やはり気持ちの面で落ち着いていたために硬くならずに攻められたのだと思います。
ところどころ相手の技に対して危ないところがあったり、こちらの強引な背負を潰されて見方によってはポイントかという場面はありましたが、互角のまま試合中盤へ。この辺りで相手は既にスタミナが切れかけていたようでした。
組方を右に変えてきたところを得意の背負投。技あり。
そのまま攻め続けますが、残り1分になろうかというところで内股から隅返への変化に捕まり技あり、並ばれます。正直先に技ありを取った時点でこのまま勝てるだろうと安易に思っていただけに一瞬焦りましたが、ここは気楽に。相手もバテてるし技も効いてるし、まぁ大丈夫だろ。そんな気持ちで組み直そうとすると足の裏に鋭い痛みが! なんと棘が刺さったようです。畳の上に棘が落ちているなんて…。非常に恐ろしいことなので審判には後ででいいから掃除をしてくれと伝えておきました。実際に掃除されたかは不明です。聞けば試合場外にもところどころ棘が落ちていたようで、今回は畳の目の前まではサンダルを履いていくようにコーチに言われていました。
試合再開。内股に少し危ない場面もありましたが、その直後大内で追ってからの横方向の背負投。一本。
金メダリストに勝ちました。なかなか爽快です。
しかしこの時点でなかなか消耗。休み明けとはいえやはり金メダリスト。かなり疲れました。
2試合目は予想通り台湾のチャン選手。しかし、ここは書くことがあまりありません。
序盤に相手のヘッドダイブによる反則で試合が決まってしまいました。
消耗していた体にはありがたいですが、初対戦なので苦手意識を植え付けたかったというのもありますし、普通に不完全燃焼です。
正直言って、アレでヘッドダイブが取られるとは思いませんでした。おそらく反則が宣告された瞬間、勝ちが決まったにも関わらず私はアホ面を晒していたと思います。
決勝までは昼休憩を挟みます。が、それほど時間があるわけでもなく。
とりあえず空腹だったので昼食会場に行って弁当に少し手をつけました。
毎度のことながらそれほど美味しいものではありません。
J2,73kg級の決勝ということで、今回もこの日一番最後の試合。
相手はイランのジェッディ選手。去年の世界選手権からの参加でその時は初出場で優勝。今回が2度目の大会出場の選手です。
この試合もケンカ四つ。組方も互いに妥協はなく、またはじめの後も互いの頭を下げ合う展開で、互いに有効打は出ない硬直した状態が続きます。
初戦からの疲労もあり私も腰が浮いてきて息が上がり始めました。
試合展開としては依然、私が背負を撃ってはかわされ、相手の内股を私が耐えるといった感じ。
そんな状態で3分経とうかという時、相手が背中を持ってきたことに対しての対処が遅れてしまいました。というか対処できていませんでした。そのまま隅返で半身に落とされ技あり。
その後の寝技はなんとかギリギリで耐えるも残り40秒を切っています。
ここからは相手は完全に逃げの態勢。もともとその節はありましたがここからはさらに増して、「はじめ」のコールの前から体を右前方に傾けて防御姿勢に入っています。
少なくともこれでは開始際の背負は撃てませんし、その後も自分の形に持っていくことは難しくなります。
終わり際苦し紛れに練習中の左一本背負を撃ってみますが回りきれず効果なし。残り1秒のところで指導がひとつ相手に与えられましたが時既に遅し。そのまま優勢負となりました。
先日のエジプトで4年ぶりの優勢勝を得ましたが、今回は約5年ぶりの優勢負。やはり階級が変わり、かつ相手も自分自身も競技レベルや相手の研究が充実してきているからか、前ほどスパッと決まる試合が多くありません。正直なところこれは非常に面白くないのですが、こういう泥試合を制してこそ実力者だと言われれば、その通りだとも思います。
今回は準優勝に終わりました。
試合内容としてはやれることは全てやったし、現在の自分の実力はまさにこのくらいだと納得しています。ただ、ジェッディ選手に勝てないとは微塵も思いませんし、今回の結果が満足だなどと、そんなはずはありません。
今回の試合では遠征全体を通して気持ちを楽にというところにテーマを置きました。そのテーマはおおよそ達成され、また効果も絶大でした。今後も同様に取り組んでいきたいと思いますし、さらに良いコンディショニングの方法を追求していきたいと考えています。
やや駆け足になりましたが今回の試合の振り返りはここまで。時間的な都合により今回は旅編はお休みです。
次回の遠征は6月のフランスです。
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