医師国家試験におけるカンニングの誘惑 第102回 月刊中山祐次郎

皆さんこんにちは、医師・作家の中山祐次郎です。

今回は私が連載している南日本新聞のエッセイを、許可を得て転載致します。今回は前回に続いて、医師国家試験の試験中の話ですよ。

朝の文箱 中山祐次郎

2007年2月17日。ついに6年間の医学生時代の集大成である、医師国家試験が始まった。熊本県熊本市の崇城大学に集められたのは鹿児島大学と熊本大学の医学生、約200名。5人がけの長い机に、一人分あいだを開けて着席する。教室の前のホワイトボードには、「受験地 北海道 宮城県 東京都・・・」と国内10か所の受験地が書かれ、「熊本県」にピンクで印がついていた。僕の席の机には、右前に青字で「受験番号 00163」とあり、その倍くらいの大きさで「厚生労働省」と書かれたシールが貼ってある。そう、これは日本国家が行う試験なのだ。

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