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読書記録:「スマートファクトリー構築ハンドブック」

デジタル化が叫ばれる中、ものづくりの現場でどのようにツールを導入したら良いのでしょうか。答えを探る上で参考になるのが毛利大・神山洋輔著の「スマートファクトリー構築ハンドブック」です。フレームワークと実践事例を交えて工場の構築方法を教えてくれます。

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この工場で何を実現したいのか?

本書はまず「この工場で何を実現したいのか」を明確にすることが重要だと指摘しています。ゴールが不透明のままデジタルツールを闇雲に導入するとかえってコストが膨らむ懸念があります。例えばデータを可視化するにしてもどのデータをどれだけ可視化すれば良いのかを見極める必要があります。まずは「何を目指すのか」を議論し尽くすことが重要だそうです。ですのでデジタルトランスフォーメーションを推進する上では、目指すべきゴールを設定し、それに向けて課題を突破する「デザインアプローチ」が推奨されます。

事業プロセス全体を俯瞰した課題設定

本書はまたベストな工場をデザインするには、現場だけの視点では不十分とも指摘しています。事業プロセス全体を俯瞰した課題設定が必要になります。以下の4つの視点でものづくりの役割を考えます。

  • デマンドチェーン・・・消費者や営業部門の要求

  • サプライチェーン・・・原材料調達や物流機能との関係

  • エンジニアリングチェーン・・・製品競争力の強化

  • サービスチェーン・・・アフターサービスなど製品ライフサイクル全体

TAKUETSU PLANT

本書はさらに、生産システムの実力値は理論スペック、オペレーションの良否、リソースの揺らぎで決定すると定義しました。その上で必要な能力を持つ工場を作るなど「卓越したフィジカルの追求」、重点化した課題に有効なデジタルツールを選択する「卓越したオペレーションの追求」、実績データの蓄積・分析により運用能力を高める「卓越したマネジメントの追求」が重要だとしています。この過程で情報が見える化され人の役割の変化にも言及しています。つまり単純労働や工数作業が改善され、より思考的な役割に割ける時間が増えるとのことです。

感想

ツールありきでは無く、まずはゴールを設定するのを常に意識しなくてはいけないと感じました。また現場だけではなく、サプライチェーンや環境などの社会的課題を踏まえるのが重要だというのもこれまでとの変化を感じました。工場をデザインする上で、わかりやすいイメージセルも豊富なのでいつも手元に置いておきたい一冊です。



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