見出し画像

【無料】笑いの守破離は感謝と謙虚とリスペクト

武道の世界などにある概念「守破離」

「守」
先人から基礎を学び習得して型を守る。

「破」
他流も研究しながら工夫と共に型を破りにいく。

「離」
己を理解し独自の道を極め、型から離れる境地。

大きく時代は変化しようとも、お笑いの世界の根源にも守破離がある。

ここの手順を無視して売れる人は皆無。
一瞬間違って売れてしまっても、売れ続けることは絶対にない。

なぜか、時代を超えて「笑い」は正直者である。
誰も語らずとも一流の芸人さんは守破離を踏襲しており、ここだけは未来永劫変わるとは思えない。

超一流は台本を読み、作家の書いた文言をきちんと見ている。
台本の中には何かしらボケっぽい文言が含まれている場合が多い。
そのまま台本通り本番で使う人は少ないのだが、仮のボケ案として一応書いてある。

一流は読み飛ばしているフリをするが、きちんと頭に叩き込む。ボケ案を叩き込んでいるのでなく、基本の型をインプットしている。
いわゆる、台本にあるものがゼロ地点であり1つの最低ライン。
ゼロ地点を把握した上で遥か上を狙って超えに行く。
使える文言があれば使うし、その文言をヒントに上位互換を狙いにいく場合もある。

そこから本番では台本を破り捨てたような動きに出る。
ゼロ地点を知っているからこそ、はみ出しかたの塩梅が分かるのだ。
経験値から導き出される感覚も大きいので、現場での臨機応変な動きも多種多様。

結果的にオリジナリティ溢れる唯一無二の表現が出来上がり、完全に台本や演出の世界からは離れたものになる。
圧倒的ハイレベルな守破離が瞬時に繰り広げられ、1つの高度な作品を生み出す。

最高峰の根源には何十年にも及ぶ中で掴んできた守破離が隠れている。
型破りな人ほど誰よりも基礎がしっかりしている。

例えば、マヂカルラブリーのネタが爆発的にウケる根底には笑いの守破離が色濃く存在する。
強靭な地肩がベースにあるので型破りが型破りたりえる。
だからこそ、ラジオで繰り広げる真っ向なフリートークの力もズバ抜けているのだ。

守破離は笑いの中身だけの話でもない。

私は随分前から「本当におもろい人、裏では腰低い説」を唱えている。

実際、めちゃくちゃおもしろい人ほど礼節を重んじている印象がある。
どれだけトリッキーな芸風だろうと毒舌を武器にしていようと、裏では相当礼儀正しい。
きちんと先輩を立て、真っ直ぐ戦う人間をリスペクトし、堂々と普通の日常会話をする。

普通のやりとりをロートーンでされるので、最初は驚くことも多かった。
えっ…おもろいこと言う気ある…?と裏で思わせる人が板の上で爆発するのは"あるある"だと私は思っている。

しかも、自信があるのか平場でも全く焦らない。
普通に返す時は驚くほどシンプルな返しをする。
ガッついて笑いを取りにいこうともせず、来るべきタイミングでバットを振って真芯を捉える。
仕留める時は一撃で仕留め、全く邪魔はせず役割をまっとうする。

腰の低い人は相手への敬意から腰を低くしているので、その生き様が芸にも直結する。
ペコペコマンは自分が得をするための戦略として腰を低くしているが、礼節を重んじる人は対面する相手への敬意から腰が低い。

大抵、おちょけたノリでオンに近いツッコミを裏で入れてくるような人は板の上で鳴りを潜める。
もしかすると、守破離の「守」を通らずに「破」から始まっているのかもしれない。

きちんと守るべき線を守れる人間が破ることを許される。
その空気感は観る側にも伝わってしまい、スベる以上にウケる土壌を失わせる。

「守」を踏まずに「破」が始まると、客が「離れる」

どこの地域でも変わらないと思いますが、本当に強い番長ほどイキがらずに淡々としている。

つまり、先人たちが築き上げてくれたルーツに敬意を払える人間の中に本物が混ざっている。

様々な過去に感謝できる人の元に未来からのプレゼントは降ってくる。


サポートも嬉しいですが、記事やマガジンを購入していただけたほうが嬉しいです。読んでくれた人が記事の内容を覚えている文章を心がけております。