見出し画像

笑いの世界で『地方出身者』が上に立ち始めた理由

サッカーで言えば『関西は南米、大阪はブラジル』
ナイツの塙さんが著書の中で記述している。

笑いにおいて、大阪が王国であり絶対王者。
大阪、または関西にそのイメージを持つ人は一定数いるだろう。
ちなみに私は大阪生まれ大阪育ちだが、多少その自覚はある。
関西が笑いにおける地肩が強いのは確か。

ゆえに、当然のことながらプロのお笑いの世界にも関西勢が多く、メディア等々で関西弁が飛び交う場面は日常化している。

吉本の東京本格進出で西と東が分断されていた時期は、とうの昔に終わりを告げた。

そして、大阪の笑いの波が次々東京に押し寄せ、笑いの文化を喰らい尽くすほどの勢いを持っていた時期もある。

明石家さんまさん、島田紳助さん、ダウンタウンさん、などなど、東京発の全国ネットのド真ん中に君臨し続けた関西から襲来した覇王たち。

なんとなくだが、関西の笑い=正解。
そんな時期も存在していたと記憶している。
明らかに関東勢は関西の笑いによって劣勢に立たされた時代があった。

北野武監督作の映画、アウトレイジビヨンド。
ストーリーの中で関東と関西、極道同士の抗争を描くが、昨今のお笑い文化のメタファーにも見えた。

関東お笑い界の頂上に君臨し続けるビートたけしさんの笑いにおける危機感、昨今のお笑い勢力図などが描かれていたようにさえ思える。

それは単なる憶測だが、少し関東のお笑い勢には忸怩たる思いや、少し気にせざるをえない何かがあったのでは…と想像できる。
なぜ、関西がそこまで幅をきかすのかと。

そもそも、関西が笑いにおいて強豪となる理由を私なりの見解で言うならば…

大阪は商人の町だったがゆえ、言葉巧みに人の心を開かせ、サービス混じりに冗談を入れ込むクセがついている。
『口が上手いことで得をする』という思考が根本にあり、その名残から面白いことを言う習慣に繋がっていると私は推測している。

さらに、笑いの能力は伝染していく部分がある。
面白い人やセンスのある人と接する頻度が多く、その中で自ずと競い合いになれば、小学生くらいの頃には笑いの筋トレができている。
面白い友達、家族や親戚ふくめ周囲の環境など、無意識のうちに笑いのセンスを鍛える環境が整っている場合が多い。

そして、関西ローカルの週末のお昼はお笑い番組も多く、テレビからも自然と笑いを学ぶ。
小さい頃から漫才や新喜劇などを目にし、お笑い芸人という存在も身近に感じやすい。

関西は笑いの実践教育と通信教育を両方受けていると言っても過言ではない。

あと、これは自分だけの話である可能性が高いが、他の地方の人たちと初対面から交流するとき…
私の出身が大阪だと分かると、ハードルが上がっているような気がするのだ。

自意識過剰だよ!と言われそうだが、「面白さを求められているのか?」「この期待を裏切りたくない」という謎の使命にかられる時がある。

実際に、「やっぱり大阪の人だから面白いね〜」みたいなことを言われた回数は2回や3回ではない。
その類のことを他の地方の人に言われると毎回思う。
「頑張って面白い人でいなければ」と。

この自意識過剰気味とも言える謎の使命こそが、大阪人がムリヤリにでも人を笑わせようと頑張るサービス精神に繋がっている…

きっと、私だけではないはず。と思いたい。

ちなみに、関東と関西の笑いにおける笑いの文化の違いに関しては、こちらの記事を参照してください。

まあ、なんにせよ…

そういった様々な理由から、たくさんの売れっ子芸人、人気芸人を関西圏から輩出するのは当然の話と言える。

しかし、今はどうだろうか…?
正直、大阪一強とは呼べないだろう。

もちろん、今なお天下人として頂点に君臨している関西出身の芸人さんもいるが、そこに追随する人たちから関西出身の芸人さんは減っている。

例えば…
サンドウィッチマンさんは仙台。千鳥さんは岡山。博多華丸大吉さんは福岡。
現在、テレビの世界で真ん中を取っていくお笑い芸人は地方出身者が多い。
千鳥に大阪芸人のイメージを持つ人は多いかもしれないが、千鳥の大悟さんは岡山の中でも人口1000人に満たない北木島出身である。
学校のクラスメイトが6人とも言っており、それを関西出身芸人とは当然呼べない。
大阪で活動していた時期が長いだけであり、大阪のお笑い文化など届かない出身地なのは間違いないだろう。

大阪に笑いを学ぶ基盤があり、大阪が笑いの能力を伝染させていく土地だとすれば、地方出身の芸人さんが次々真ん中を陣取っていく現状には多少の違和感を覚えるはず。

子供たちが、みんな街中の至る所でストリートサッカーをしている境遇からブラジルはサッカー王国になった。

その文脈から考えれば…

笑いの文化が届きにくい場所で生まれ育ったとして…一体どうやって面白くなったのか?

そして、どのようにして地方出身者が笑いの世界の勢力図を塗り替えたのか?

ここからは完全なる持論に入るが…

その理由は3つある。

ここから先は

3,340字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

サポートも嬉しいですが、記事やマガジンを購入していただけたほうが嬉しいです。読んでくれた人が記事の内容を覚えている文章を心がけております。