「組織30人の壁」ツクルバ成長の裏側に学ぶ with ツクルバ共同代表 中村真広氏
要点
・「30人の壁」を迎える前にやっておくと効果的な打ち手がある
・企業理念は言語化するだけでなく、行動や評価制度とセットで考えよう
・組織拡大前に採用広報・コーポレートに専任担当者を配属しよう
・オフタイムを含めてグルーヴ感を作ろう。そこからカルチャーが生まれる
・自分たちの未経験領域は、社外取締役やアドバイザーを積極活用しよう
背景
こんにちは。Heart Driven Fund 熊谷です。
2020年7月下旬にツクルバ共同代表の中村真広さん(以下、まーくん)を招いて、スタートアップ組織「30人の壁」にまつわる組織お悩み相談会を実施しました。
参加メンバーは、Heart Driven Fund投資先でシリーズA前後の経営者たち。インタラクティブに濃い議論ができるよう、少数に絞りました。
ツクルバ社は2011年創業、2019年に東証マザーズ上場。2020年7月時点で従業員約150名。
僕も親交の深い共同代表の村上浩輝(以下、ひろき)とまーくんで立ち上げてから、150名の組織になるまでの変遷を実例交えて語ってもらいました。
組織の問題は「30」「100」「300」で起きるとも言われますが、本記事では特に”30人”手前の話を中心に要点をピックアップしたいと思います。
今は数人〜10人で戦っているスタートアップ経営者の皆さんに有益な情報になれば、まーくんも熊谷も嬉しい限りです。
ツクルバ
https://tsukuruba.com/
ツクルバ・代表メッセージ
https://tsukuruba.com/company/message/
従業員数による組織フェーズ分類
ツクルバの成長における組織のフェーズをまーくんはこのように分類しました。
組織を考えるスタートは、15-30人の「サークル感!グルーヴ感!」時代。
ツクルバがこの時期にやったこと&他社にもオススメしたい施策をまとめていきます。
企業理念の言語化(MISSION / VISION / CREDO)
こちらは言わずもがな企業理念の制定です。
熊谷もベンチャー投資をやっていて多くのスタートアップのプレゼンを聞きますが、企業理念に言及しないスタートアップの方が少数になってきた感があります。
ツクルバもミッションドリブン、かつ独自カルチャーが根付いてる会社だと思いますが、その裏には組織が小さいうちに企業理念を制定し、言葉だけでなく、行動レベルに浸透させてきたことが大きいようです。
とりあえずのビジョン・ミッションなのか、本気で信じて言動が一致してるのか、従業員はもちろん、取引先や投資家も見てますし、何よりも将来の自分たちに跳ね返ってくるので、起業家・経営者の皆さんは改めて企業理念と言動の一致は大切にしたいですね。
採用広報・コーポレートの設置
社長や創業者のうち、その領域が得意ではない誰かが、採用広報などバックオフィス業務を兼務してる会社も少なくないと思います。
シード期はそれでいいとしても、10人を超えてくるあたりから片手間にやっているようでは強い採用・広報ができないし、コーポレート業務が後手後手になってしまうケースが見られます。
ツクルバでは早期に採用担当者を登用したことで、その後100人レベルまで順調に採用できたようです。
広報は目的に応じて誰に届けたいか、が変わってきますが、どのスタートアップにおいても「採用のための広報」は最重要です。
理念に基づいた評価・賞賛(属人的でいい)
これは事業を優先しすぎるあまり、後回しになりがちなことNo.1です。
そもそも評価制度がなかったり、なんとなく不満が出てきて社長の独断で給与が増減する、もスタートアップあるあるですね。
会社業績、個人成績だけでなく、"理念に基づいた"評価・賞賛というのがポイント。
例えば360度評価ひとつとっても、「Aさんは弊社のクレド”xxxxxxxx”に沿った行動ができてると思いますか?そのエピソードを教えてください」のような質問があり、それが評価されることです。
属人的でいい、というのは少し気が楽になりますね。
ガチガチの評価システムを考えるのではなく、クオーター毎に評価する機会を作る、また日々の業務のちょっとしたことでも企業理念に基づいたGoodが垣間見えたら、みんなで賞賛する、そんな組織になれたら素敵です。
オフタイム含んだグルーヴ共有
ちなみに、まーくんはグループを”グルーヴ”と表現するタイプの人です(笑)
オンタイムなら朝会、夕会、表彰制度、合宿、自社イベントなど、オフタイムなら飲み会、(事業に直結しない)イベント系、お祝い系(誕生日・結婚等)などでしょうか。
企業理念と相まって、これってウチっぽいよね、ってのが感覚的に共有できるイメージ。
ツクルバでは毎月の全体会、打ち上げはもちろん、イヤーブックの発行、ニュー不動産展の開催など文化祭ノリでみんなで楽しめる場を作っていたようです。
個人的にもツクルバメンバーは仲良い人が多いですが、全体会の後に毎回みんなの笑顔の集合写真がFacebookに溢れてるのが印象的でした。
既存メンバーはもちろんですが、こういうの見てると「いい会社だなー」って直感的に理解でき、採用も強くなっていくと思います。
親父を仲間にする
これは珍しいアドバイスです。
ツクルバでは2015年に高野慎一さんが社外取締役に就任してます。
高野さんは1958年生まれ、リクルート時代は江副さん直下で人事・広報を担当、その後リクルートコスモス(現コスモスイニシア)の執行役員も務めてます。ツクルバ共同代表の2人とは30歳近く歳の離れた大ベテラン。
まーくん曰く、高野さんのおかげであらゆる組織の問題を先回りして考えることができたり、なにか問題が発生した時の良き相談役になってくれたそう。
ただし、まーくんも言ってましたが、それで全てが解決するわけではなく、頭でわかっていてもうまく行動できないことも多く、現場では組織の問題がいろいろ勃発していた、というのは正直なところ。
最後は自分たちで真摯に取り組み、血肉にしていくしかありません。
最近ならエンジェル投資家やベンチャーキャピタルでも人によってはこういったサポートをしてくれるかもしれません(高野さんの場合はかなり深いコミットメント)。
いずれにせよ、こうした経験ある方に組織相談できるのはものすごく心強いというアドバイスでした。
注:ツクルバのケースで"親父"と表現しましたが、もちろん性別にこだわる話ではありません。
最後に
今回は創業まもない時期から30人以下までの企業が早めにやっておくといいことを、まーくんの言葉を借りてまとめました。
それに続くは、「30人以上の壁」です。(スライド1枚のみ紹介)
続編を望む声が多ければ、また時期を見てまとめたいと思います。
スタートアップはプロダクトが1番、それは間違いないと思います。
ただし、プロダクトを作る過程においても多くの試行錯誤があり、少数であってもチームの強さが不可欠です。
組織について考えたことのない起業家の皆さんにおいても、知っておくだけで効果的だと思いますので、twitter等のシェアはもちろん、皆さんの大切な友達にシェア頂けると、まーくん・熊谷ともに喜びます。
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