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<芸術一般>バレエ、韃靼人の踊りとアラビアの踊りの共通性について

先日、TVで「くるみ割り人形」の「アラビアの踊り」を見たら、「?」と思うことがあった。

20210226アラビアの踊り2

この衣装と振り付けは、ボロディンの「イーゴリ公の城」の白眉である「韃靼(ポロベツ)人の踊り」とそっくりではないかということだ。

「韃靼人の踊り」

これは、もともとは20世紀初頭にパリで一世風靡した、ディアギレフ率いるロシアバレエ団のうち、夫婦で振り付けをしていたバレエダンサーのフォーキンとフォーキナのものを、韃靼人もアラビア人も同じ文化と理解して踏襲したことが背景にあるのではないかと思う。

この韃靼(ポロベツ)人は、中央アジアを蹂躙してロシアへも襲撃した、モンゴル系の騎馬民族であり、セム・ハム系のアラブ民族とは似ていないし、文化も異なる。しかし、現在のトルクメニスタンに住む騎馬民族が西進し、オスマントルコを形成した経緯からすれば、中世ヨーロッパに住む人々にとっては、中央アジアの騎馬民族もアラブと同じ、文化的な先進地域「オリエント」として理解しても不思議ではない。

また「韃靼人の踊り」の持つ強烈な異国情緒は、「アラビアの踊り」の異国情緒にも通じるものがあるので、同じ振り付けにしたことは案外正しいのかも知れない。

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