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<旅行記>クラフトビールとTV取材

ブカレストには良い中華レストランがないと思う。それは,マレーシア(ペナンとコタキナバル)に長く暮らしたためかも知れないが,アメリカ(マイアミ)やヨルダン(アンマン)と比較しても,通いたくなるような中華レストランはない。

それで,たまたまルーマニア語を専門に学んでいる人からの紹介で,市街地の中心から少し外れたところにある,比較的長い歴史を持っている店を尋ねてみた。

20210801香港飯店2

しかし,そのかつての共産主義時代に建てられた無味乾燥な住宅の一角にある小さな店は,出てくる料理もまた,共産主義時代から変わらない無味乾燥な,ただ食べられさえすれば良いというレベルだった。

もう二度と行かないだろう。

こういう時のために,プランBを奥様は用意している(いつも,こうした「レストラン探検」の主導権を握っているのは,料理が趣味でもある奥様だ)。

そこから,ぶらぶらと人気の少ない日曜午後の市街地を中心街に向かって歩いて行くと,大規模なレセプションにも使える大手のホテルがあり,その近くにはクラフトビールを売り物にしている洒落た店があった。

そして,その店は小さな一方通行の通りに面しているのだが,日曜ということもあって,通行止めの歩行者天国にしていた(といっても,自転車や電動スケートボードは,歩行者などおかまいなしに走りまわっていたが)。

もちろん,歩行者天国であるか否かは関係なく,どこの店でもそうであるように,このクラフトビールの店も,歩道にテーブルと椅子を出して,夏の空気とともに美味しいビールを楽しめるようになっている。

20210801クラフトビール室内1

私たちは,ちょうど空いている2人用のテーブルに座って,ちょっと面白そうな,これまで飲んだことのないビールを頼んでみた。

私が頼んだは,芸者が描かれた缶に入っているもので(自家製じゃなかったのが,残念だが),煎茶風味を混ぜているものだった。珍しさゆえに頼んでしまったが,二度と頼みたくない味だった。これはビールというよりも,サイダー(日本で言ったら,チューハイか?)に近い。

20210801クラフトビール煎茶

それで2杯目は,正統派というか,店で製造しているビールを頼んでみた。これは正解だった。やはりビールは基本を押さえていることが重要なのだろう。

20210801クラフトビールインド

そんなことを考えていたら,歩行者天国に面した席の客へ,地元TVのスタッフが取材をしていた。たぶん,日曜のニュースがあまりないから,街中に出て適当にインタビューをしてネタにしようということだろう。日本もルーマニアも,考えることは同じだ。そういえば,女性キャスターの雰囲気も,どこか似ている。

20210801クラフトビール取材

幸い,一目でアジア人とわかる私たちには取材が来なかったので,余計な心配をしないで良かった。TV局も,長く厳しい冬とは対照的に,楽しい夏は格好のネタがある季節なのだろう。そして,ルーマニアの楽しい夏は,こうして毎年過ぎていくのだろう。

私たちが味わうルーマニアの夏も,これが最後となる。

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