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あなたが『著者』になったら。(本を書いた後にきっと役に立つ内容)

本を出版するための講座はあっても、出版した後に何があるのか&やるべきなのかということは、あまり語られていない事に気がつきました。私自身、そう多くの本を出しているわけではありませんが、複数の書籍を出版した経験から、誰かのために役立つであろう(自分の備忘としても役立つであろう)内容を簡単にまとめます。

原稿を書き終えて、なんやかんや他の作業も終えて、刊行が決まったら、一安心。ではありません。むしろそこからが本当の勝負の始まり。1冊書くことはチャンスさえつかめば不可能ではありませんが、そこで失敗したら(商業出版なら)次はありません。そう編集者の方から聞いて、本は書くだけじゃないというのを知り実践しています。

刊行が決まったら、実に多くのことをやる必要があります。次のチャンスがやってくるようにするために。それを以下にまとめます。


0.好き勝手な行動はNG。常に見られていると心得る。

 著者になって一番変わるのは、多分ここです。本が出ると分かりますが、自分の名前を検索したときに表示されるサイトがガラッと変わる&増えます。Amazon、紀伊國屋書店、三省堂書店など、名だたるサイトが出てきます。(こういったことから、SEO的な効果もあると思われます)
 こうなるともはや、自分だけの自分ではありません。世に出ているコンテンツの一部になるわけです。万一トラブルや不祥事があれば、その影響は出版社にも及びます。そうでなくても、どこに自分を知っている読者がいるか分かりません。私の場合は「先日、○○あたりで先生らしき人をお見かけしたのですが、声を掛けられませんでした。」と言われたことがあり、実際にその時間帯にそこにいました。どこで見られているか分かりませんので、通常の社会人としての言動以上に、一層注意した言動が求められます。

1.刊行の告知

 刊行前後は特に、またその後も継続的に、著書の告知で販売促進に協力しましょう。どれだけ売れるか、また話題になるかは非常に重要。出版社にとっては、作るのは準備段階で売る部分がビジネスの中心。著者個人にとっては「次」につながるかどうかの分水嶺です。
 告知し続けるのは節操ないと思われるかもしれませんし、そう言ってくる人も出るかもしれません。それは仕方のないことと割り切りましょう。著者の立場を理解してもらおうと思っても、難しいものです。でも、本を出したことのある人なら分かってくれています。告知して告知して告知しまくりましょう。最初は自分でも抵抗があると思いますし、周りも戸惑うかもしれませんが、徐々に自分も周囲も慣れていきますので、継続しましょう。
 書店を回り、置いていただいている部分を写真撮ってシェアするのもアリです。その際は、書店員の方へ確認してから写真を取らせていただきましょう。著者であること、置いていただいている部分を撮らせて欲しいと申し出れば、割と許可頂けることが多いです。その際も、他の方が写り込まないようにするのはもちろん、迷惑にならないように撮影しましょう。


2.書籍の感想を日々検索&コメントなどアクションする

 本が出れば、それを手に取ってくれる人が出ます。ただ、自分から情報を探しに行かないと、そういった人に巡り会えないことも。そこで積極的に本の名前、自分のフルネーム、○○先生などのキーワードで、日々書評などをチェックしましょう。私の場合、いくつかのキーワードで毎日、また少し前に出た本の名前でも定期的に、SNS上やネット上の検索をしています。見つけた感想などには、お礼のコメントなどでアクションしましょう。自分の投稿で、感想などをご紹介するのも一案です。


3.レビュー依頼

 素敵な感想を見つけたら、そのままでも良いのでレビューに入れていただけないか、お願いしましょう。レビューを積極的に入れてくれる方もいますが、ごく一部です。
 特にレビュー数が少ない初期の段階で、ネガティブな意見や評価が入ると、全体(平均)に及ぼす影響は大きく、なかなかの痛手となります。刊行直後に良い評価が多く貯まれば、その後に及ぼすプラスの影響も大きいです。こうなれば多少ネガティブな評価が後で入っても、むしろその評価が他と大きく違う異常値のように見られるでしょう。
 本を執筆すると「献本」といって一定部数(10部とか)が店頭発売前に出版社から送られてきます。これを友人知人へお渡しして、感想を発信してもらったりレビュー登録してもらったり、協力を依頼すると良いです。くれぐれも、この献本を自分だけで専有して何にも活かさないということがないように。
 なお、書籍の感想やレビューには、どうしても批判的なものも出ます。ただ、多くの場合は根拠がない嫉妬や書いてあることを十分読んでくださっていないといったもの。著者が頑張って書いた後に、編集者や校正者など出版社のチェックを経て世に出る(商業出版の場合)わけですから、一定の質が担保されていることはほぼ間違いありません。あまり、批判に落ち込まないようにしましょう。(露出が増えれば、そういった意見などを目にすることも増えますので、慣れていく必要があります)


4.サイン

 「自分がサインなんてとんでもない!」と著者本人は思っても、本を買った方やお渡しした方から、サインは求められます。もはや自分もコンテンツの一部です。割り切って準備しましょう。あまり凝ったものでなくても問題ありませんが、スムーズに書けるように。サインに必要な要素としては、
・ペン(私はメッセージ入れたりするので、気に入っている万年筆とインクでサインしています)
・書く位置(中の表紙、タイトルのページの前に通常は白紙のページがありますので、その位置が良いでしょう。写真を撮った場合に、サインとタイトルがちゃんと写ります)
・宛名(○○様、○○さんへの部分。毎回しっかり確認し、くれぐれも間違えないように。宛名を確認するためにメモ用紙などを持っておくと確実です)
・サインの内容(使うペンによっても書ける量が変わります)
・日付(こちらも宛名とともに間違えないように。)
 このように、思いの外けっこう気にするべきポイントがあります。そのため、あまり知られてはいませんが、けっこう神経を使い疲れるもの。なお後述のイベントでまとめてサインする場合などは、ちゃんとその時間もスケジュールの考慮に入れましょう。(サインして写真撮ってとやっていると一人ひとり時間がそれなりに必要で、あらかじめ予定しておかないと時間が足りなくなります)


5.出版記念のイベント

 出版記念のイベントは、特に最初の1冊では、しっかりと行いましょう。自分で記念イベントを手配するというのはこれまた違和感のあることでしょうが、これもまた必要なこと。できればホテルなど格式のある場所で。ただ、そうなると会場費も掛かりますので、1万円程度の会費制になるかと思います。お祝いとして参加頂ける方を募り、盛大に。
 司会や、受付、当日の様子の撮影など、運営そのものは一人では到底無理なので、手伝って頂ける人も必要です。お花やお祝いのギフトを頂いたりしますので、当日は帰りの荷物が大変です。タクシーなど交通手段の確保も忘れずに。
 細かく書いていけばこれだけですごいボリュームになりそうです(笑)。こうしてかなり大変ではありますが、意外に喜ばれます。自分の記念にもなります。刊行が決まったらすぐに企画して、あまり遅くならないタイミングで開催すると良いでしょう。


6.出版記念セミナー

 動画やリアル開催で、出版記念のセミナーを行うのもアリです。無償や定額の講演料でも、自分の露出機会を増やしましょう。対象などの方向性が同じコンテンツを提供している所に相談してみると、やらせてもらえたり喜ばれたりするものです。お声がけを頂くこともあり、その際はもちろん積極的に協力しましょう。

(以後とりあえずメモ。徐々に補足していきます↓)

7.告知記事

 各所で記事執筆をする機会があれば、またそういった媒体とのつながりがあれば、書評の記事を無償でも提供しましょう。広告ができると思えば助かりますし、それにより閲覧が伸びれば媒体側も助かる。Win-Winです。記事の内容は、出版社が作ってくれるAmazonなどの紹介文を元にしつつ、少しボリュームを増やしたものを作成しましょう。


8.書籍を写真に写り込ませて投稿

 SNSやブログの投稿、写真に書籍を写り込ませてひたすら投稿しましょう。意外にウケたりします。書籍の存在に触れるパターンも、一切触れず他の主題とともにしれっと投稿するのも、アリです。

著者自身だからこそできる、ちょっとふざけたパターンも面白いかもしれません。

最近は、複数の書籍を持ち歩くのがキツくなってきたので、撮影用のアイテムをアクリルで制作。特殊な例かもしれませんが、こういった物があるとサッと写真が撮れて非常に便利です。


9.ノベルティ

 しおり、シール、アクキーなど。予算次第ですがイベント参加やサイン本の特典にするなど、用途は結構あるのでオススメです。ある程度こういったことに慣れてきたり、素材のデータが揃ってくると自分でも出来ると思いますが、最初は詳しい人に手伝ってもらったりしたほうが良いと思います。せっかく作るのだから良いものにしたいですし、差し上げるモノであっても手を抜いたものではいけません。むしろ、力を入れてディテールにこだわり、良いものを作りましょう。


10.サイン本販売

 BASEなどでオンライン販売の仕組みを作って、イベントに来られない方や遠方の方へ届けられるようにしましょう。
 出版社から著者が直接購入する(『著者買上げ』と言います)場合、2~3割ほど安く購入することができます。割引率はもちろん、最低部数や送料など細かい条件は出版社によるので、編集者の方に確認を。
 サインして発送する送料も負担すると、トントンか若干マイナスが出るかもしれませんが、そこはやむを得ません。発送は、スマートレター(180円)が厚さ2センチまでとギリギリですが、価格と内容のバランス的に使いやすいです。
 ちなみに、本と一緒に1枚ものの簡単な手紙を同封するようにしています。本文は印刷ですが、宛名の部分だけ手書きで。これにより、サインの練習を1枚することができ、手紙の宛名に続けてサインを行えばミスの可能性を最大限低くすることができます。


11.スピンオフコンテンツ

 本に収録しきれなかった内容や裏話を発信しましょう。本を読んだ方とSNSでつながる、またスピンオフコンテンツで興味を持った方が本を購入くださる、といった相乗効果が見込めます。
 また、書籍に盛り込めなかった内容をアウトプットすることで、次回以降の著作のネタを貯めることもできますので、メリットは多いです。ただ、ここまでに述べた各種の事柄と並行して行うのは相当な負担。バランスを意識しつつ、ここは週1回程度やそれ未満とか、低頻度でも差し支えありません。(本そのものをプッシュするほうが優先)


12.関連本オファー

 書籍とその売れ行きや話題っぷりが他の出版社の目に止まれば、次の話が来ます。複数の出版社から、オファーが来る可能性も。同時に複数は書けないので、その場合はスケジュールの調整をしながら順に対応することになります。1作目よりも短いスパンで出していくことになるかと思いますので、忙しさは変わらずまたは増すことになるでしょう。大変ではありますが、なるべく対応するように今のところはしています。この辺りは、今後色々やりながら考え直す必要が出てくるかもしれません。

そんな工夫を色々としている拙著、よろしくお願いいたしますm(_ _)m


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