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本の紹介 〜 百年の恋

読後の感想は…

これ、ヤバい。劇的に面白い!

です。

篠田節子さんの

百年の恋




▼ 内容は…

売れないライターの真一さんと、バリバリのエリートキャリアウーマンの梨香子さんの物語です。
真一さんは、小太りで背は低く、オタク気質で恋愛経験もほとんどない年収200万の海外SFの翻訳をしているライター。
かたや梨香子さんは、東大の大学院を卒業して一流の金融機関の国際営業部のプロジェクトマネージャー、年収は800万。
そんな2人がなんと、トントン拍子で結婚することになるんです。
そこで起こることとは…
梨香子さんは仕事で超忙しくしており、結婚式の準備、新居探し、引越しとすべては真一さんが孤軍奮闘。
結婚後は、それがさらに顕著に。
なんと梨香子さんって、家事一切がまったくダメ。おまけに片付けさえ出来ない始末。
甘い結婚生活をなんとなく夢見ていた真一さんですが、まさに百年の恋も冷めるような悲惨な生活を強いられます。
ついに堪忍袋の緒が切れて、離婚!を決意するのですが、離婚話を切り出そうとした日、梨香子さんの妊娠が判明します。
ずるずると言い出せなくなり、離婚は先送り。
妊娠中の梨香子さんは、つわりもあって、さらに横暴の限りを尽くすようになる。
それでも真一さんは、母親になれば変わるはず、との淡い希望を抱いて宥めてすかして、けなげに梨香子さんを支えます。
ようやく無事に梨香子さんは、可愛い女の子を出産します。
真一さんの淡い希望は、消えてなくなります。
母親となった梨香子さんですが、まったく変わりません。
と言うか、会社が梨香子さんを変えてくれないのです。
出産後、頻繁に会社から電話がかかってくるようになり、ついに梨香子さんは、職場復帰。
真一さんは、未来と名付けた娘の子育てと、家事をやりながら、自分の子育て記録を綴る本を出版することに挑戦を始めます。
打ち合わせには、未来ちゃんをおんぶして連れて行き、あやしながら会議に参加。
いろんな問題にぶつかりながらも、考えて、乗り越えて…
ついに、未来ちゃんの一歳の誕生日の一ヶ月後、本が出版されました。
そしてその日、未来ちゃんが初めて言葉を発します。
その言葉とは

パパ!


▼ 感想は…

内容は全体的にコメディタッチで書かれていて、とても小気味よく爽やかな感じで読めます。
そんな感じの中で、男女の役割分担とか、子育てに対する世の中の対応とか、保育園問題とか、男とは?おんなとは?というステレオタイプの弊害とか、かなりディープで重い問題に触れて行っていて、コメディ調でありながら、深く考えさせられるシーンがたくさんありました。
梨香子さんをはじめ、この小説に出てくる女性は、すべて仕事を持っていて、しかも職場でもかなりコアな存在の方が多い。そんな女性たちが、これまでの固定観念「男は働き、女は家庭を守る」というものに、どう考え、どう向き合って行っているのかということが、それぞれの女性の立場から語られているんです。

例えば、真一さんが愚痴をこぼす場面があります。家事一切と子育てを真一さんがやる。もうこんな生活イヤだと。
そこで、真一さんの上司といった感じの立場の女性から真一さんは一喝されるんです。

女性はこれまでずっとそうやってきた。
そういうものだと教えられて、ずっと掃除や洗濯や料理をやって子育てもやってきた。
あなたたち男に、そこに感謝があった?

みたいな感じで。

そうなんだよなぁって、僕もなんか、自分が一喝されてるような気になりました。

どこかに、刷り込まれとして、こういうなんと言うか、理由のない男女の役割分担が、僕たちの頭にはあるんだろうなと、思い知らされました。

男性が読んでも、女性が読んでも、とても面白く読めるし

はっ!

とした気付きをもらえる本だと思います。

超オススメです。

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