写真から映像に入る最初のハードルをいかにして越えるか
僕は元々写真だけ撮っていたのですが、MVのように人の感情を動かすものを作ってみたいと思い、
映像も撮り始めました。
撮りたいとは思いつつも実際に映像を撮るまで半年くらいかかっており、
おそらく僕みたいに写真はよく撮るけど動画は気になりつつハードルを感じて手を出せていない人もおおいんじゃないでしょうか。
そんな方に向けて、
・映像を撮り始めて何が難しかったか
・それをどう乗り越えたか
・写真と良い相互作用はあったのか
・YouTubeでの機材選びは間違ってるかもという話
という内容を書きます。
映像に関してはYouTubeの情報は偏ってると思います。
結論から言うと、
ジンバルはいらない、4K、log、10bitもいらない、
「モデル無しでいかに面白い映像を撮れるか」「カラーグレーディングで良いルックにできるか」の方が大事、
です。
もちろんその対策もお話します
写真と動画の違い
まず、映像は「何かを伝える」という要素が写真よりも強いと感じました。
綺麗な写真は1枚で完結できますが、
映像はビジュアルや描写だけ美しくても次が気にならないと見るのをやめてしまうので、
何を伝えたいかを考えて構成をする必要があります。
僕も最初は近所で撮った映像を繋げて音楽をつけただけで、自分でも全編見ていられないほど退屈でした。
なので僕は「都会や資本主義で失われた人間らしさに気づいた」ということを伝えようと決めて作りました
何となくでも何を伝えるかが決まると、一気に撮影が進みます
難しかった部分:何を撮るか
写真と違って近所のスナップで映像が作りにくい、というのが一番苦労した部分です。
色んな作品を見て映像は基本的に人が写ってることがわかりました。
ポートレートのように人がメインでなくても、トラベルムービーで現地の人が写っていたりと、
人の存在感は飽きさせない工夫の一つになります。
人がいなくて成り立つのは幻想的な雰囲気の作品ですが、それでもアクセント程度に人が少し写ったりします。
スナップ写真は比較的簡単で、どんなところでも露出やボケで非現実感を出せます。
でも映像だと非現実感のあるショットだけだと何を撮ってるか、何を伝えたいのかよくわからなくなり、
普通すぎるとただのつまらない映像でした。
(ここでも道行く人を写すと多少それっぽくなる、ということを実感しました)
人がほぼいない作品を真似することが最初のコツでした。
難しかった部分:カラーグレーディング
カラーグレーディングも最初YouTubeを見ながらやったのですが、8bit/非log素材だったこともあり色がおかしくなったりカリカリすぎる雰囲気のない映像だったりで、上手くいきませんでした。
なので「Monet」を購入しました。
結果的にカメラやレンズ買うよりもこっちにお金かけて良かったと思いました。
満足のいくルックを作るのは映像を撮るモチベーションに繋がります。
やってみてダメだったらMonet本当におすすめです。
では何をどう撮ったら良いのか
まず参考になりそうな映像の真似から入りました。
僕の場合は林響太郎さんの「はなればなれの君へ」のイメージで作ることに決めました。
美しい風景を切り取る写真的なアプローチをされていて、
ちょうど岐阜の郡上という自然豊かな土地に滞在する予定だったので選びました。
気をつけないといけないのが、シネマチックVlogは友達や家族の自然な様子ではなく、一種の演技をしてもらう必要があるので意外と参考になりません。
モデルに依頼できない方が多いと思うので、特に参考にしたい映像が思いつかない場合は林響太郎さんの映像が人がメインじゃない作品が多くおすすめです。
もしくは自分や家族がモデルになった日常系の作品。
撮ったらDavinciでMonetをあてて、それだけで良い感じになったので撮ることに集中できました。
撮り方が悪いのかカラーグレーディングが下手なのか切り分けることができるようになったのが大きかったです。
(ちゃんと撮れば良くなるとわかったから機材のスペックを諦められたのかもしれません)
もしくは自分の作品感は薄れますが彩度・コントラスト・シャープネスを下げて撮ればカラーグレーディングなどせずに、カットの編集や音楽、スローモーションなどだけで普通に良い感じになります。
写真への影響
あらかじめどういうことを伝えるためにどんなカット、どんな音楽、というのを想像はしておく
そのために撮影前にメモを残すという、
写真だけのときにはなかった習慣がつきました。
写真も1枚で良いものを目指すと技術に寄りすぎちゃうので、写真集として伝えたいものありきで撮りたいと思いました。
映像に写真のスキルが役に立ったかは微妙ですが、
変な構図は少ないように思います。
(写真よりももっと寄らないといけないというのはありますが)
撮影・機材についての発見
撮っていてYouTubeで言われている機材は結構オーバースペックだと感じました。
以下まとめます
ジンバルはいらない
映像といえばジンバルのイメージを持っていましたが、プロでもジンバルはほとんど使わない人もいます。
もちろん大多数は使いますが、使わなくても商用レベルの映像は撮れるということです。
歩きながら近づく(ドリー撮影)、歩きながら横に移動する(スライドショット)、などではあった方が撮りやすいですが、
歩き方を練習し、ソフトで補正すれば心地よい手ブレに抑えられます。
ジンバルがあると一気に撮影のハードルが上がるので、僕は無い方が良いと思いました。
あと普通にソフトの手ぶれ補正は強力なので、ほとんどの場合ジンバル無しでも滑らかにできます。
4Kはクライアントワークでは必要
4KとフルHDはやはり違います。クライアントがいるならフルHDだとクオリティが低いと感じられてしまいます。
ただ個人の映像作品では必須ではないと感じました。
4Kだと100点の作品がフルHDだと98点になる、くらいの差異です。
フルHDで良くない作品は4Kでも良くないので、今のカメラがフルHDならまずはそれで練習するのが良いと思います。
最悪ソフトの編集でフルHDから4Kにアップスケールもできます。
log、10bitも必須ではない
4Kと同じで、クオリティは上がりますが、
伝えたいことが伝わるか、という観点では影響は及ぼしません。
より表現や印象を増幅させることはできますが、
マイナスがプラスになるほどのインパクトはないです。
JPEGの写真も多少ならいじっても破綻しないのと同じで、
元の露出やホワイトバランスが適切なら非log、8bit素材でも意外とカラーグレーディングしても大丈夫です。
60pは必須、120pはなくても大丈夫
フルHDでも良いから60pは欲しいと思いました。
スローモーションはとても使いやすいアクセントですし、スローにすることで手ブレも軽減されます。
マイナスをプラスにするくらいのインパクトがあります。
(ライブ撮影やインタビューなど絶対にスローモーションを使わない撮影スタイルなら話は別ですが)
写真でいうボケが初心者の最初のアハ体験で、
映像ではそれがスローモーションにあたります。
何でもないカットをスローにしたらなんか良い感じに見えます。
60pや120pでのクロップは気にしなくて良いと思いますが、僕が使ってるのはマイクロフォーサーズでクロップが無いため実体験は伴っていないです。
手ぶれ補正はなくてもいいけど、撮影体験に影響する
手ぶれ補正も最初はできれば欲しいです。
無くてもソフトで補正で何とかなりますが、ブレがひどいとその分補正時にどんどんクロップされます。
そして何より、撮っているときに小刻みな手ブレが見えると下手な映像に見えてしまうので撮影体験が下がります。
ボディかレンズどちらかに手ぶれ補正がある方が最初は良いと思いました。
一方で、慣れたら(自然と良いショットが撮れるようになったら)全くいらないと思います。
その方が機材選択の幅が広がります。
オートフォーカスはいらない
僕は激しく動いている被写体を撮らないので、欲しいと思ったことがないです。
写真と同じで子供や動物、乗り物、自撮りには必要かもしれません。
バリアングルではなくチルトが良い。固定はローアングルが厳しい
ウエストレベルやローアングルで撮ったりしたくなるのでチルトかバリアングル液晶は必須です。
YouTubeだと自撮りする人が多いのでバリアングル派が多いですが、ケーブルに引っかかったりなどで0.5手間くらい余計にかかったりするのでチルトの方が便利です。
固定液晶だとウエストレベルやローアングルがかなり撮りにくいので、最初のうちはBMPCC4Kなどの固定液晶は避けた方が良いのでないかと思います。
もちろん工夫次第で何とかなるので好きなら全然OKです
ズームレンズはあると色んなバラエティのショットが撮れる
写真では圧倒的に単焦点派ですが、映像の雰囲気を限界までシネマに近づける時以外はズームレンズの方が使いやすいです。
理由は動画だと寄りと引きを組み合わせて一つの場面でも色んなショットを撮る必要があるので、
50mm単焦点だと特にワイドショットが撮りにくいし、24mmとか使うと情報を整理しにくい、ということがおきます。
ガチで撮るなら単焦点で手間でもレンズ交換しますが、普段から撮り溜める的な撮り方ならズームの方が気軽で良いです。
(何回も言いますが、僕は写真では単焦点しか使わない人です)
まとめ
結構ネットの情報とは違う内容をお話できたのではないでしょうか。
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