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【ロバート・ゼメキスの世界を堪能する】BTTF4Kニューマスターと『魔女がいっぱい』公開に先駆けて

「視覚効果の魔術師」
そのような異名が似合う映画監督ロバート・ゼメキス。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の監督だと言えば、知らない人はいないことでしょう。

今年68歳になった大ベテランの巨匠がここに来て、日本で大注目を浴びるきっかけが訪れています。
彼の新作『魔女がいっぱい』は大人気女優アン・ハサウェイを主演に据え、ゼメキスの得意とするファンタジックな世界観が見所です。
さらには『バック・トゥ・ザ・フューチャー』1作目の製作・公開から35周年を記念して、4Kニューマスター版として日本の劇場で公開されることになったのです。

・ロバート・ゼメキス監督のプロフィール

NEW YORK, NEW YORK - DECEMBER 19: Director Robert Zemeckis visits Build to discuss the movie " Welcome to Marwen" at Build Studio on December 19, 2018 in New York City. (Photo by Michael Loccisano/Getty Images)

ロバート・ゼメキスは本名ロバート・リー・ゼメキスといい、1952年5月14日にイリノイ州シカゴにて誕生しました。高校時代から映画を撮影し始めたゼメキスですが、大学の同級生ボブ・ゲイルと共同執筆にてスティーブン・スピルバーグの『1941』を手掛けたことからハリウッドデビューを果たしました。
監督デビュー作は1978年の『抱きしめたい』で、1985年公開の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』より世界中から一躍注目を浴びる映画監督となりました。

筆者が1987年生まれのため、それよりも前に大ブレイクを果たしたわけですが、地上波放送も多くされていたシリーズだけあって、子供の頃から親しみを持っていたことを昨日のように覚えています。

それでは、今回の新作『魔女がいっぱい』および『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3作品の4Kニューマスター版など、ゼメキス作品4作品一挙公開を記念して、彼の監督作の中でも是非ともチェックしていただきたい作品を紹介していきます。

・フォレスト・ガンプ/一期一会 (1994年)

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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と並び、ゼメキス監督の代名詞的作品の一つ。

「人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない(Life is like a box of chocolates. You never know what you're gonna get.)」が『アメリカ映画の名セリフベスト100』の第40位に選ばれるなど、超有名なセリフともなりました。
第67回アカデミー賞では、作品賞・監督賞・脚色賞・主演男優賞・編集賞・視覚効果賞と6部門を受賞。ノミネートもほか助演男優賞・撮影賞・作曲賞・美術賞・メイクアップ賞・音響編集賞・録音賞の7部門、受賞部門と合わせると驚異の13作品ノミネートという記録にも記憶にも残る作品となっています。

主役はアカデミー賞でも男優賞ノミネート常連のトム・ハンクス。『フォレスト・ガンプ』出演の前年には『フィラデルフィア』でアカデミー賞主演男優賞を受賞しており、大注目される中での抜擢だったと言えるでしょう。

この作品の素晴らしいところはなんと言っても、知能指数が低く、背骨が曲がっていることで、まともに歩けなかった主人公の持たざる者としての成長物語として、そして常にひたむきに全力で物事に取り組むフォレストに心を動かされないはずがありません。
彼の人生を追いかけ、追体験することで、人生にとって大切な何かが見出せるはずです。

物語の終盤に登場する幼いハーレイ・ジョエル・オスメントにも要注目です。
AFI’s 100 YEARS…100 MOVIE QUOTES | American Film Institute
アメリカ映画の名セリフベスト100のリンク

・ロジャー・ラビット (1988年)

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ゼメキスの視覚効果の技術的、革新的価値を確認できる作品です。
実写映像の中に、アニメーションキャラクターであるトゥーンが実在するという当時では先進的な映像表現によって驚きを与えました。

私たちの現実世界にアニメのキャラクターが実存し、そして会話ができると考えたらどれだけワクワクするでしょうか。
そんな非現実的な世界観を映画の中で具現化し、私たちに「もしかしたら」アニメのキャラクターと共存できるかもしれないと感じさせてくれる子供心をもくすぐる革新的な映像でした。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク役でお馴染みのクリストファー・ロイドも出演しているなど、ゼメキス作品で活躍する俳優が登場するのも見ものです。

また、ディズニーキャラのミッキー&ミニーらに加え、ワーナー・ブラザーズキャラのバッグス・バニーやダフィー・ダックなども登場しています。

・キャスト・アウェイ (2000年)

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あなたは突然無人島に降り立ったらどうするでしょうか。
こちら『キャスト・アウェイ』でもトム・ハンクスとのタッグでゼメキスが辣腕を振るった意欲作。

主人公は秒単位で働きづめのビジネスマンでしたが、無人島生活を余儀なくされることで時間という概念について改めて考えさせられます。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』含め、時間を扱う作品にはゼメキスの信念が投影されているかのようです。

今やコンビニ、Amazonなどのネットショッピングで欲しいものがすぐに手に入る時代。
コロナウィルスが猛威を振るったことで、より一層物のありがたみを感じるいい機会になった2020年ですが、本作で改めて当たり前に物が手に入る本当のありがたみがわかります。
主人公が世界最大手の物流会社“FedEx(フェデックス)”でシステムエンジニアとして働くという設定も活きる良作です。

また、心の拠り所についても色々と考えさせられます。この作品を観たら、ウィルソンという名前がしばらく頭から離れないことでしょう。

・ザ・ウォーク (2015年)

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2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件の標的となったワールド・トレード・センター(世界貿易センター)。
完成時の1973年には世界一高いビルとして有名でしたが、1974年に完成したシアーズタワーに世界一の座をすぐさま奪われてしまいました。

それはさておき、そんな異常に高いビルの頂上で綱渡りをした人間がいたと知ったら驚くことでしょう。
フィクションではなく、これが実話だったというから驚きは2倍。しかもそんな危険な行為に許可が下りるはずもなく、モデルとなった実在の人物フィリップ・プティは同志を集め、非合法的にこのような無謀な挑戦を実現させたという話です。

ジョセフ・ゴードン=レヴィットがフィリップ役を演じますが、とにかくこの命懸けの挑戦が心臓に悪いぐらいにハラハラする上に、人間ドラマも丁寧に描かれている秀作です。

・マーウェン (2018年)

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ヒットメーカーであるゼメキスが興行収入で大きく苦戦した作品です。
主人公のマーク役は演技派のスティーブ・カレル、ヘイトクライムに遭って記憶喪失になり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を負った難しい役どころを好演しました。
実在するイラストレーター・ミニチュア模型写真家マーク・ホーガンキャンプがモデルとなった作品です。

マークは一つの心の拠り所としてフィギュアと共に過ごしながら、ミニチュア模型を作るのですが、このフィギュアたちが縦横無尽に動き回る模様と撮影の仕方が実にゼメキスの真骨頂となっています。

「抱えた痛みとどう向き合うか?」というテーマで、自分の問題と向き合っていく心の整理の仕方を丁寧に描いていました。
とにかくフィギュアたちが生き生きと命の息吹を吹き掛けられたかのような演出にワクワクします。

・マリアンヌ (2016年)

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ブラッド・ピットとマリオン・コティヤールの美男美女が夫婦役を演じる見目麗しい作品。
第89回アカデミー賞の衣装デザイン賞にノミネートされました。
衣装を担当したジョアンナ・ジョンストンはゼメキスとも多数の作品でタッグを組んでおり、第2次世界大戦下の1942年の衣装を魅力ある形で世に送り届けました。

妻が二重スパイの疑いを掛けられるという衝撃的な作品で、ゼメキス作品の中では一際スリルに溢れた作品と言えるでしょう。

物語のスケールだけでなく、ゼメキスらしく空襲のシーンや砂嵐のシーンなど、VFXやCGをふんだんに使った映像表現も見事な作品です。

・ゼメキスの特徴を過去作品で復習していざ『魔女がいっぱい』を鑑賞しよう!

<あらすじ> 60年代―とある豪華ホテルに現れたおしゃれな美女の集団。 中心にいる、最も美しく世界一恐ろしい大魔女<グランド・ウィッチ>(アン・ハサウェイ)は、そこで あるとてつもない秘密の計画があることを明かす。 偶然 ある少年は魔女集会に紛れ、その企みを知ってしまう。 大魔女が少年をネズミに変えたことで、物語は世界中の魔女を巻き込んで 思いもよらぬ方向へ―。(公式サイトより)

『レ・ミゼラブル』での好演で、第85回アカデミー賞助演女優賞を受賞した人気と実力を兼ね備えたアン・ハサウェイが主演のファンタジー作品です。

彼女のインパクトある特殊メイクが話題にもなりましたが、ここにゼメキス監督の味付けでどのような作品に仕上がっているのでしょうか。
是非とも今回紹介したゼメキス作品を鑑賞した上で、同日公開のバック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ4Kニューマスター版と一緒に、『魔女がいっぱい』も楽しみましょう!

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