見出し画像

【映画】2023年映画ベスト10と総括/人生の転機や再生を描く物語が大量ランクイン

みなさん、こんにちはこんばんは。

いよいよ2023年も終わります。皆さんはどんな1年だったでしょうか。

2023年はEDDIE的にはとても充実した中身の濃い1年でした。
仕事はもちろん、映画含めた趣味などのプライベート、とにかくこの1年間は濃かったです。

映画に関しては12月の最後の最後までダントツの1位!という作品になかなか出会えないでいましたが、最後の最後に出会えましたし、結果的には大満足でした。

さて、今回は僕が2023年に鑑賞した新作映画のベスト10を発表いたします。
個人の主観に基づいたランキングではありますが、それぞれのおすすめポイントなんかにも触れながら、各作品を紹介できればと思います。

本記事における「新作映画」は、2023年に日本の劇場で初公開された新作映画作品だけでなく、2023年に動画系サブスクで日本で初配信された作品も含んでいます。

本記事における新作映画の定義について

<次点>『セフレの品格 初恋/決意』/2023年1番のダークホース的快作

今年最も衝撃を受けた作品の一つです。
というのも元々ノーマークだったこともありますし、タイトルから敬遠してしまう人もいたことでしょう。

湊よりこさんの大人気漫画が原作で、タイトルの「品格」は”ひんかく”と書いて”プライド”と読みます。
セフレというある意味、世間一般的には大っぴらには認められないような風潮があり、浮気、不倫、体だけの関係など、つきまとう言葉はマイナスなものばかり。
この映画はそんな固定概念を覆してくれます。

ピンク映画の申し子で、今や邦画界で抜きでは語れない城定秀夫監督の作品。36歳になった主人公の森村抄⼦(⾏平あい佳)は高校の同窓会で初恋の相手、北⽥⼀樹(⻘柳翔)と再会を果たします。
彼らはセフレの関係に陥りながらも、抄⼦は高校生の頃の淡い恋心を思い出したかのように情熱的に⼀樹のことを想うようになっていきます。

一方、一樹は”セフレ”であることにこだわり、それ以上の恋愛としての一線を超えないようにしています。果たして彼はどんな過去があってそうなってしまったのでしょうか…というのが前編である『セフレの品格 初恋』前半のあらすじです。

この映画の意外性は城定監督ならではの濡れ場だけでなく、お笑い要素が随所に挟まれており声を出して笑えるようなシーンが多かった点。そう思いきや後半には胸にズシンとくる重い展開があるなど、とにかく感情をぐちゃぐちゃにかき回されます。

後編に当たる『セフレの品格 決意』は、物語の展開や人間模様がさらに深まっていきます。
この決意編では、髙石あかりと石橋侑大が参戦。この若い2人がアラフォーの2人の関係性に大きなヒビを入れたり、さらなる関係性構築に寄与したりするもので、出来上がった2人の関係性が新たな人物の登場で大きく動いてしまうことのエンタメ的な楽しみが詰まっていました。

そして、髙石あかりの場を変えてしまい支配してしまう演技力に圧倒されます。主役の2人さえ食ってしまう彼女の表現力は何物にも変え難い…さすがのスター性に感嘆せざるを得ませんでした。

⑩『ザ・クリエイター/創造者』/SF映画としてのガジェットにワクワク

この映画『ザ・クリエイター/創造者』も自分の中ではダークホース的作品の一つでした。というのも新作公開時は観る優先順位が低く、むしろスルーすることすら考えていました。

しかし、公開後の評判がすごく良くて気になって観に行ってみるとどハマり。子供の頃に日曜洋画劇場を観て育った自分としては、絶妙な”日曜洋画劇場感”があり大満足です。

子供とのロードムービーで、自己犠牲や愛の到達点を見せ、SF描写のバリエーションやガジェットがワクワクするばかり。
観たいものが過不足なく全部詰まっていました。

ぎっしりとSF描写を詰め込んで真面目に近未来の話をしていると思いきや、ところどころ吹き出してしまうぐらい笑える描写もあるなど、「こんなエンタメ映画が観たかったんだ!」と思わせられたほど。

犬の爆弾咥え、自爆ロボット…これでもかというぐらい好きなシーンやキャラ、ロボットが登場。
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のギャレス・エドワーズ監督さすがでございます。

⑨『ザ・フラッシュ』/2023年“スケールエンタメ涙”代表格

”スケールエンタメ涙”とは何か。
それは劇場のスクリーンのサイズで映画を観て、映像の迫力と音響の迫力に圧倒され、特に感動するようなシーンでもないのにスケールのデカさに圧倒されて涙が出ることを言います(EDDIEの造語)。

以前はMCU映画『エターナルズ』でこのスケールエンタメ涙を体感しましたが、久しぶりにそれを味わったのが本作『ザ・フラッシュ』でございます。

フラッシュの持つ圧巻のスピードをスローモーションとCGを駆使して見せる技術。巷では雑なCGなどとも言われていますが、僕は劇場のスクリーンでこれが観れることに感謝しかありませんでした。

エズラ・ミラーのハラスメント問題など、様々な要素が重なりアメリカでは全くヒットしなかったという本作。ただ、日本のFilmarksでは平均4.1点を記録するなど、観客の満足度はかなり高い方です。
しかも、フラッシュことバリー・アレンが二つ以上の時代を行き来したり、過去の自分と協力したり、何よりもMCUで複雑化したマルチバースの概念をスパゲッティで非常にわかりやすく説明してくれた点など褒められる点は満載です。

他にもDC映画としてのサプライズもお腹いっぱいに見せてもらいましたし、劇場で何度も何度も圧倒されてしまいました。何度でも繰り返し観たい傑作です。

⑧『レッド・ロケット』/クズはクズなりに生きる!

『フロリダ・プロジェクト』で評価の高まったショーン・ベイカー監督の最新作。
サイモン・レックス演じる主人公のマイキー・セイバーは元ポルノ俳優。再起を図るために地元に帰ってくる…とかそんな成功物語ではありません。
彼はクズなりにクズのまま振る舞って、めんどくさいことからは色々と逃げながら再び自分のやりたいことを自分勝手に見つけていくという話です。

しかし、不思議なのはこのマイキーという男に少しずつ魅了されていくこと。どうしようもない男だし、リアルで知り合いにいたら縁を切りたくなるようなクズっぷり。だって、自分が成功する(困難から逃れる)ためであれば、他人をダシに使うことも厭いません。
それでもこの男ならしょうがないかと憎めないところまで自分の役として演じ切ったサイモン・レックスに拍手です。

ヒロインとして登場したスザンナ・サンも新星俳優として今後に期待の高まる好演。清純そうに見えながらも、ポルノ俳優であるマイキーと出会うことで自分の中にあったタガがどんどん外れていく模様が実にお見事でした。

幾度となく爆笑を誘われ、劇場内でたくさんのお客さんが声を出して笑っているのを体験できる劇場体験も加味してこの順位にしました。

⑦『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』/MCUシリーズ最高の単独作ついに完結

MCUシリーズの単独作品シリーズで最も好きなのが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ。単独作としては3作目になる本作ですが、ついに完結編。
ガーディアンズのメンバーの中でも随一の人気キャラであるロケットの過去を振り返りながら、新旧メンバーでの承継までをスムーズに見せたところに拍手。

ロケットの想像を絶するような過去を見せられ、何度涙が頬を伝ったでしょうか。
そしてガーディアンズの面々がピンチになったロケットを救うために一致団結して、時には相変わらずの空気を読まないバカみたいな会話でぶつかり合ったり、いざという時には協力して強大な敵に立ち向かったりと心を震わせられるシーンが満載でした。

他のMCU単独シリーズとは異なり、個の力以上にガーディアンズはチームとしての結束が重要視されます。
だからこそ、メインキャラクターであるピーター、ガモーラ、ロケット、グルート、ネビュラ、ドラックス、マンティスの他、クラグリンや犬のコスモなど脇役のメンツにもスポットが当てられます。
そんな脇役も大切にするような姿勢が僕のこのシリーズを好きたる所以です。

⑥『福田村事件』/誤った正義感は人を殺し己をも殺す

ドキュメンタリー監督である森達也が、ついに劇映画を撮影。
日本を代表するような俳優陣を用いて、とてもスペクタクルな物語に仕上げたのがこの『福田村事件』です。

1923年関東大震災を境に巻き起こったと言われる「朝鮮人虐殺事件」。史実としての資料もほとんど残っていない作品で、ドキュメンタリーとして仕上げるのが困難だったからこそ劇映画として世に公開したと言います。

この映画を通しての学びは「歴史は知るからこそ意味がある」と再認識させられたことでしょうか。
人間には表層的にも差別意識というのは”ない”という人はいないでしょう。「そんなつもりない」と言いつつも、子供の頃から自然に自分よりも立場の低い人を下に見ていたりすることはあったのではないでしょうか。
だから変な正義感で「自分はこうはならない」と決意を新たにするというより、自分の内面にももしかしたらこの映画で描かれたような一面があるのかもしれないと疑いをかける必要があるなと。

きっとこの映画で愚行を犯してしまった人たちも、「朝鮮人は悪」というどこから仕入れたかわからないような噂を信じ切って、朝鮮人を卑下して生きてきたような人たちです。間違いだと気付いてからはもう遅い…事が起きてしまったのならば、もう許してくれと乞うことも難しくなるのです。

映画鑑賞後に、noteも下記の通り更新をしました。合わせてお読みください。

⑤『To Leslie/トゥ・レスリー』/どうしようもないところからもう一度生きる希望が湧くラストに涙

人間の魅力って完全無欠であることでしょうか。
僕はそうは思わなくて、どんな人間にだって欠点があると思うのです。
そんな欠点に抗おうとしながらも、結局それが難しくて人生転落してしまうなんて人はざらにいると思うんですね。

本作の主人公レスリーを演じたアンドレア・ライズボローの迫真の演技に魅せられました。
一夜にして手に入れた大きな幸運。宝くじで莫大な富を得た彼女は一瞬にしてその幸せを失ってしまいます。
彼女の中に残ったのはアルコール中毒という酒がないと生きていけない人生だけ。あの頃当たった大金はもはや手元には残っていません。

人間ってなんでこうも愚かなんでしょうか。
彼女は大事な一人息子にすら愛想を尽かされてしまいます。

劇中では何度も何度もやり直そうと努力をしようとするわけですが、長続きしないしうまくいきません。再起を図る物語ではありますが、そんな簡単なサクセスストーリーではない…そんな作品に対する姿勢が僕が評価した要因です。
しかし、最後にはそんな苦しい模様をずっと見せられたからこその感動で締めくくってくれます。個人的には2023年ベストエンディングの一つです。

④『フローラとマックス』/親子再生の物語ー三者三様の音楽の奏で方に個性が爆発

『はじまりのうた』『ONCE ダブリンの街角で』『シング・ストリート 未来へのうた』のジョン・カーニー監督の最新作がAppleTV+の配信オンリーだと!?
以前よりAppleTV+推しの僕としては観ないわけがない作品だったわけですが、これが配信オンリーであることで観られない人が多くいることも事実なわけです。
だからこそ、声を大にして言いたい!

やっぱジョン・カーニーの音楽映画は最高だぞ!と。

『フローラとマックス』の原題は”Flora and Son”ということで、フローラというシングルマザーと息子マックスの物語。親子再生物語です。
やっぱり不完全な人間に魅力を感じちゃうんですよね。フローラは母親としては体たらくだし、すぐに男の人と寝てしまうし、とにかく欠点だらけ。
息子とも口喧嘩ばかりで、親子関係は順風満帆とは言えません。

そんな彼女がギターと出会い、イケメンのギター講師とオンラインで出会い、そして音楽を通じて息子と心を通わせていくのです。
クライマックスは音楽映画ではお馴染みのライブシーン。これが歌詞から演出まで最高なんですよ。涙なしには観られません。

僕の配信スペース「EDDIEのかく語りき」の特集「#あなたの好きな音楽映画」でも取り上げました。大好きな音楽映画の一つになりました。

③『キリエのうた』/法律に抗えないこの世を憂う…キリエの歌声と生き様に圧倒される

『キリエのうた』も劇場スルーする可能性がありました。
2023年10月13日公開作品で、僕個人としては岩井俊二作品はそこまでハマっているわけでもないので、賛否が大きく分かれている模様に観に行くのをためらっていました。

そして公開から1ヶ月が過ぎようとしているタイミングでやっと鑑賞。
178分という長尺で、ハマらなかったら地獄だ…という思いを抱きながら、上映開始から一気に見入ってしまいました。
アイナ・ジ・エンドの存在もこの映画をきっかけに知りましたが、彼女のダイナミックな歌声に魅了されてしまい、彼女の歌唱シーンが楽しみで仕方ない状態に。こんな状態だからこそ、178分を熱中して観てしまいました。

歌はもちろん素晴らしいのですが、それ以上に厳しい人生に翻弄されるキリエの境遇。観ていてこちらまで苦しくなってしまいます。
ただ、話が進むにつれて、彼女は大切な人たちと繋がっていったり、一度離れ離れになった大切な人と再会したりと彼女の人生が彩り豊かになっていくのがこれまで素敵なんですよね。

法律の厳しさ…強者のために作られた法律、人間が作ったものだからこそ綻びもあります。だからキリエは目の前に幸せが転がっているのに、法律のせいでその幸せすらも手にできないという何とも憤りを感じざるを得ない状況など、とにかく感情を突き動かされ続けたのがこの映画でした。

②『イコライザー THE FINAL』/背後に気をつけろ…誰よりも恐ろしい殺し屋は…

デンゼル・ワシントン主演、アントワン・フークア監督のタッグで紡がれたシリーズ第3作。邦題には”THE FINAL”と冠されていますが、原題は”The Equalizer 3”と、決して最終作とは銘打たれていません。

シリーズ最終作としてはとても綺麗な締めくくりでしたが、まだロバート・マッコールの物語が続くのであればぜひ観たいとどちらにも転れるような展開は素晴らしかったですね。

何よりも僕がアクション映画に求めているのは、荒唐無稽なアクションばかりを見せられることではありません。主人公の強さの証明や説得性、敵を倒すに至るまでのドラマなど、そのキャラクターの人生に興味を持たせられるかどうか。
本作のロバート・マッコールはイタリアのシチリアに移住しており、彼がどのように生活を営んでいるか、街の人々とどのように交流を図っているかを丁寧に描き出されていて、その上で彼が戦う理由がきちんと表明される説得性に納得せざるを得ませんでした。

イタリアンマフィアとぶつかりながら、彼の圧倒的な強さを見せつけられるが故、どちらがヒールかわからなくなるぐらいマッコールの存在が恐怖なのです。本作のマッコールは間違いなく死神の化身でした。
音楽がジョン・カーペンターであれば間違いなくホラー映画になっていたことでしょう。
あまりにも強くて逞しくてカッコいいロバート・マッコール。いろんな殺し屋映画がありますが、最強の殺し屋は彼で決まりです。

①『女優は泣かない』/地方から都会に飛び出した全俺が奮い立つハートウォーミングコメディ

2023年のEDDIE的ベスト映画は『女優は泣かない』です。
12月公開でギリギリのところで、迷いなく1位に選出。それぐらい感情を揺さぶられました。
前半はコメディパートメインで、何度も声を出して笑わせられました。
後半は家族の物語として、成功を収められない半端者としての悔しさの吐露など、感動のシーンが立て続けに巻き起こり涙が禁じ得ませんでした。

蓮佛美沙子演じる主人公で女優の安藤梨花は地元の熊本を10年前に飛び出して、女優として一躍有名に。ただしスキャンダルもあり一気に干される存在となり、再起を図るために地元でドキュメンタリーを撮影する企画に参加することになったのです。

僕自身も地元の福岡を飛び出して10数年。色々と紆余曲折ありながらも、前職の同僚と会社を起業しました。まだまだ苦労は絶えないですが、自分の選んだ道で後悔はないですし、一大決心として今に至るのでこの物語の主人公に自分を投影してしまったのです。
また、伊藤万理華が演じるもう1人の主要キャラ瀬野咲がまた良いキャラなんですよ。テレビのバラエティのディレクターなんですが、ドラマの仕事がしたい一心で一生懸命出世を望みますが、同期に先を越されていきます。
そんな悔しさとは裏腹に、彼女自身は自分の固執した考えばかりにこだわり周りが見えなくなります。
だからこそ、少しずつ彼女は自分を見つめ直し、大きな成長を遂げていきます。

彼女たちの現在の人生に対する抗いと成長、家族との再生など、様々な感情をゴリゴリと抉られた感覚は2023年一番です。
2回目鑑賞では、117分の上映時間の8割近くを泣いていました。最高の映画体験と地元近くを舞台にした作品ということで思い入れの深い作品となりました。


◆まとめ

2023年映画ベスト10をお届けしました。

先日Twitterの相互で仲良しでもあるMachinakaさんと年間ベストを映像付きの配信で発表しました。映像ならではの見応えあるサプライズもあるので、ご興味ある方はぜひ視聴くださると嬉しいです。
この配信も毎年恒例になりつつあります。


いいなと思ったら応援しよう!