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拝啓 奈良教育大学硬式野球部様

奈良教育大学硬式野球部元監督の山口裕士です。
奈良教育大学硬式野球部に対する最後の投稿です。このタイミングですが、過去は語らず、未来を語ります。

奈良教育大学硬式野球部で達成したいビジョン

僕が奈良教育大学硬式野球部で達成したい(これからしてもらう)ビジョンは「やりたいことをやり切れる場所をつくる」「公立の中学・高校の部活動のモデルケースになる」「スポーツの地域格差を無くす」の3つがあります。

これは、選手にもコロナの自粛期間の間にMTGで語り尽くしました!そのため、このビジョンはこれからも達成に向けて進み続けます!おそらく!
もちろん、やりたいことをやれる場所なので、所属する部員の判断で方向転換はしてください!

「やりたいことをやり切れる場所」をつくる

野球を“やりたい”と思って野球を始めて、その想いを持ったまま野球を心の底から“やり切れた”と思える人はどれくらいいるのだろうか?

この問いは、自分が大学で野球選手を引退するときに思ったことです。僕は、心の底から“やり切れた”と思えています。しかし、それは僕が仲間と環境に恵まれただけという“偶然”の出来事でした。これは、野球選手を引退して、野球人口減少問題について学び、自分以外の状況に目を向けると気付くことが出来ました。

この問題に取り組むにあたって、まずは自分の周り、つまり奈良教育大学硬式野球部をそういう場所にしたいと思いました。

この僕の“想い”を形にするために、大学生の指導では最初に過去の野球のモチベーショングラフを作ってもらい、そこから大学で“なぜ”野球をしたいのか、“何”をしたいのかを語ってもらいます。そこに否定や批判は一切なく、それぞれの想いをリスペクト(尊重)し、それをベースに組織を作ってきました。そのため、やりたいことに挑戦できる環境が出来ていたと思います。ちなみに、マネージャーも同様です。

モチベーショングラフ

やりたいことをやっている時は、とても幸福感が高く、その瞬間、瞬間がとてもワクワクします。さらに、そこから自分の“軸”みたいなものも見えてきます。その軸が見つかれば、次のキャリアにもつながります。

実際、今年の卒業生では、野球をまだやりたいから社会人で野球を続ける選手や学校・企業で働く、大学院に進学するなど本当に自分の軸をブラさずに進路を選んだと全員に対して思えました。これについては、僕も同じです。

これからも、やりたいことが出来る場所であると共に、やりたいことに繋がる場所であり続けてほしいです。

「公立の中学・高校の部活動のモデルケースに」

教員の働き方改革・部活動改革の必要性を学んだものの解決策が分かりませんでした。まさに“答えの無い問い”だと思っています。しかし、この問いに対して、部活動のおかげで成長して出来た僕は、他人事のようには思えませんでした。そのため、ドミニカ共和国に留学するなど、学び続けました。

その中で、僕にできることとしてやってきたことは、大学生が“最短時間最大効率”の練習を実践し、強くなれることを証明し、そのマインドやノウハウを中高生に伝えていくということです。

奈良教育大学硬式野球部は、週四日(平日3日、休日1日)の練習です。これは中学校の部活動のガイドラインをほぼ守れています。しかし、この活動時間で強くなれない(成長できない)と、特に価値はありません。そのため、常にこの環境に言い訳をせず、思考停止せず、考えて動き続けることをチームで徹底しました。その結果が、昨季の2部昇格だと思っています。これからも、“価値のある勝ち”を積み重ねて、1部昇格を果たしてほしいです。

練習前に行う思考タイム

さらに、現在は、奈良女子大学付属中等教育学校の部活動の指導に大学生が携わらせていただいています。僕は、約三年間お世話になりました。こちらも継続していければうれしいです。これは、本当に部活動改革の一つのモデルケースになりうると思いますし、奈良教育大学硬式野球部の価値の一つになると思います。

これからも、奈良教育大学硬式野球部は、制限の多い中頑張っている公立の中学・高校部活動の「挑戦者のモデル」としてリーダーシップを発揮してほしいです!

女子大附属での練習の様子

「スポーツの地域格差を無くす」

これは、僕が一番やり残したことです。
プロ野球チームが無い奈良県において、子どもたちが野球を“観る”機会や”する”機会は限られています。
これはスポーツの“地域格差”であり、言い方を変えれば“教育格差”だと思っています。

この課題を解決するために、奈良教育大学硬式野球部に出来ることはあります。一つは、する機会を作るために野球教室を開催することです。体育の授業理論を学んでいる教育大学の学生にとって、野球教室を開催することは、それほど高いハードルではないと思います。きちっとした野球教室でなくても、大学生と小学生が一緒に遊ぶみたいな感覚でも面白いと思います。

昨年参加した野球肘検診での様子

さらに、その野球教室に来た子どもたちが、大学生のリーグ戦の応援に来てくれれば最高です。プロ野球とは異なりますが、小学生にとってはとても魅力的なものだと思います。“近いけど、遠い存在”は子どもの成長にとても大切だと思います。

リーグ戦の会場に子どもがたくさん来て、『○○コーチ頑張れー』みたいな感じで大学生を応援して、僕も私もーー。

このような素敵な景色がこの野球部の未来には想像できます。

長くなりましたが、まとめると僕は、これからの奈良教育大学にとてもワクワクしています!これからも応援し続けます!

最後に、僕はこうしたビジョンは伝えて、システムも作ってきましたが、資金面の整備がどうしても出来ませんでした。
もし、このビジョンに少しでも共感していただけましたら、これからの奈良教育大学のためにご支援いただけると嬉しいです。

下記サイトよりお願い致します
https://syncable.biz/associate/nuebaseball/

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