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振り切り ~基本編~

こんにちは。

先日、妻に自分がどういう意識で振り切りしているのか、ほかの選手と何が違うのかを説明していた時に、「あ、コレNoteのネタにしよ」と思い、自分なりに書いてみることにしました。(2023年10月)

円盤投を始めて約22年。
日本で、海外で、試合で、トレーニングで、様々なところで学んできたことをもとに、今考えていることや大事にしていることを書いていきます。
世界のトレンドや皆さんの考えとは違うところもあると思いますが、「あぁ、この人はこんな考えなんですね。」という感じで受け取っていただければ幸いです。


円盤投の投てき距離に影響を及ぼす要素

円盤投における投てき距離に影響を及ぼす要素とは、
①円盤の初速(手を離れる瞬間のスピード)
②投射高(手を離れる瞬間の円盤の地面からの高さ)
③投射角(円盤の飛び出す角度)
④円盤迎え角(円盤と空気の流れとの角度)
 ※姿勢角(円盤と地面との角度)もある
⑤空気抵抗(風による影響)
 etc…

とされています。論文に書いてあった
あとは円盤のスピン量(回転数)なんかも影響を及ぼすとされてますね。

ざっくり説明

その中でも①初速の高さが円盤の飛距離に特に大きな影響を与えるとされています。
あとは投射角は35~40度が良いとか投射高は高い方が良いとか色々ありますが、とりあえず初速上げろや!というハナシです。

ここからは、上記を前提として①基本、②応用、③発展に分け、振り切りにおいて意識していることを話していきます。

…と思っていたんですが、なんかメチャクチャ長くなっているんでとりあえず今回は基本編だけです…すみません…。


基本①:矢印の向き

「前に」投げる

とりあえず初速の高い円盤を投げろというハナシですが、じゃあ初速を上げればそれでOKかというと、そう簡単にはいきませんよね。
僕は普段、学生や中学生・高校生にアドバイスするときは上でなく前に投げよう、と伝えています。
自分で投げているときも、基本は「前へ、前へ」と意識しています。
投てき角度は35~40度、ということはベクトル(矢印の成分)的には上方向の成分より前方向の成分の方が大きくなるということです。たぶん

x軸は左右方向なので割愛

あとこれは主観ですが、上に向かって投げた円盤は途中で失速し落ちるのが早いのに対し、前に向かって投げた円盤は落下の瞬間まで勢いを保ってくれるように感じます。

主観です

つまり、上に向かって投げて失速するよりは、多少低くてもいいから前に向かって投げて最後まで伸び続ける円盤を投げよう!というコンセプトです。


「高さ」出さなくていいの?

「そうは言っても投射角は35~40度が理想なんでしょ?けっこう角度あるよ?」
「高さ出した方が飛ばない?」
そもそもお前かなり投射角デカいだろ言ってることとやってること違くね?」

まあそう思う方もいらっしゃるでしょう。
確かに僕は他の日本人円盤投選手と比較してかなり投射角は大きいと思います。ちゃんと調べたわけじゃないけど
しかし、それは投射角を上げるための技術によるものであり、それは応用の項目で後述します。

また、単純に距離が飛ぶようになれば高さも出ます。

イメージ

例えば同じ投射角でも、30mの投げと50mの投げでは初速が段違いなわけですから、自ずと高さにも差が出るだろうということです。
なので円盤の高さが出なくて悩んでいる、という方がいてもあまり気にする必要はありませんよ。


基本②:振り切るタイミング

「前で」振り切る

僕たち円盤投選手は、パワーポジションの体勢をとった後、思い切り振り切ります。

ですが上の写真のところ、左足をついた瞬間から振り切るのはタイミングとしては早すぎると僕は考えています。

サークルを上から見た図

僕は円盤投において、振り切りで力を入れられるのは半周までと考えています。(感覚ですが)

そのためターンしてきて左足をついた瞬間から振り切ろうとすると、上の画像の赤矢印のように投てき方向の反対側で力を入れていることになります
このような振り切りになってしまうと、円盤をリリースするタイミングは赤矢印よりも前側ですから、リリースするときには振り切りが弱くなり始めてしまうわけです。

筋力の弱い女子選手やリバースをする選手に多いのですが、赤矢印のタイミングで振り切りをして前まで円盤を持ってこれず、右に円盤が飛んでいったりリリースの瞬間に腕の振りが遅くなってしまったりという現象が起きます。
円盤に押し負けたようなリバースになったり、真上にジャンプするだけのリバースになるのもこの辺に一因があります。


僕は上の画像でいう青の矢印、具体的には正面(投てき方向)を向いてから振り切ることを意識しています。
円盤をリリースするタイミングは一番前、青い矢印の頂点(一番上)のあたりをイメージしているので、そこを中心に振り切るイメージです。

「円盤離した後に強く腕を振る必要なくない?」と思う方もいるかもしれませんが、わかりやすく野球で考えてみてください。
大谷翔平選手がピッチングの際リリース後に腕を緩めますか?
バッティングの際、ボールにコンタクトした後もバットが背中につくくらい強く振っていますよね?
と思い、僕は正面(投てき方向)を向いた半円のタイミングで腕を振るよう意識しています。
試合のとき、よく投げ急いじゃって赤のタイミングで投げちゃうんだよなぁ


世界のトップ選手は(個人の主観です)

先ほど青矢印のタイミングで振り切れ!と言いましたが、世界のトップ選手はどうしているのか。
多くの選手が赤でも青でもない、黄色の矢印のタイミングで腕を振っているように見えます。(個人の主観です)
例:M.アレクナ選手、D.スタール選手、F.ダクレス選手など

まあリリースするまで力を加え続ける、かつ力を加える時間を長くするという意味では黄色のタイミングで振り切るというのは理にかなっていると思います。

K.チェー選手なんかはインスタで見るトレーニング動画だと青のタイミングですが、試合だと少しタイミングが早まって黄色になっていますね。

恐らく黄色で振り切っているトップ選手のほとんどが、ターンしてきて左足をついた瞬間に振り切っているのだと思います。
じゃあなんで彼らは赤の矢印にならないの?
動画を見る感じ矢印が半周どころか一周してるようにも見えるけど?
と思うでしょう。
しかし彼らは円盤を前まで持ってくる(運んでくる)ために、とても難しい技術を用いているのです。
僕も現在取り組んでいる技術の一つですが、その技術に関しては発展の項目で説明していこうと思います。めちゃムズだよ


応用・発展へ…

振り切りについて、基本編でお話したことができてくれば、男女ともに50mくらいは投げられるようになるのではないかなと思います。
もちろん振り切りだけ改善すれば良いというものでもないですし、そもそも技術だけあっても精神的・肉体的にも一定のレベルがなければならないというのもごもっともなのですが。

まず何事も基本からですので、自分自身もそのことを忘れずにやっていければと思います。

応用・発展編についてはこれから書きます。
なるべく早く書きます、たぶん


今回のお話は以上になります。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
またね

不定期で投稿したりしなかったりします。 気が向いたらまた見に来ていただけると嬉しいです。