トライアルの罠に気を付ける
こんにちは。
WBC世界一、最高ですね。
ダルビッシュ投手、大谷選手の活躍を喜びながら「いつか現役のうちにファイターズに帰ってきてくれないかな…」と願う複雑なおじさんです。
いつぞや試合で結果を残す、試合で実力を発揮する、そのために試合の計画を立てましょうという話をしました。
その時にトライアルの話は別でやりますと言ったので、今回はトライアル(練習投てき)の話です。
トライアルとは、試合が始まる前に行われる練習のことですね。
(練習投てきとか練習試技と言ったりもします)
基本的には各選手2投与えられますが、試合によっては3投あったり時間まで自由に投げられたりもします。
海外で1投しか投げられないことも何度かありました。
今回はそのトライアルに焦点を当てて話をします。
僕は円盤投が専門なので、円盤投以外の種目の方にはあまり当てはまらない部分も多々あると思います。
また円盤投専門の方でも、「俺はそんなことないけどなぁ」というところもあるかもしれません。
ただ、僕が試合をしていたり観戦しているなかで、よく思うことをお話していきますので、少しでも参考になる部分があればいいなと思います。
トライアルでその日のベストを出すヤツ
例えば自己ベストが45mの選手がいたとします。
彼はその日とても調子が良く、トライアルの1投目で44m、2投目はサークルから身体が出てしまいましたが自己ベストを超えて46mくらいまで円盤を飛ばしました。
しかし、それまでの調子の良さは何だったのか、1投目でファールをし、2,3投目もうまくいかず…。
結局6投終わってみれば43mで、トライアルの記録を超えられませんでした。
僕はこういう選手、キライです。笑
「あ、何も考えてないんだろうな」ってなります。笑
普段僕は大学でトレーニングさせてもらっているのですが、円盤の学生たちには口酸っぱく「トライアルでいい記録を出すな」「ベストの3~4mくらい手前に投げろ」と言っています。
それでもトライアルで思いっきり投げてしまう選手には「投げんなって言ってんだろ!」と叱ったりもします。
そんな人には↓
うるさい!
それは軽く投げてるんじゃなくて気持ちよく投げてるだけじゃい!
ノープレッシャーでアドレナリンが出ていてファールしながら投げたら誰だって飛ぶわい!
そもそも本番想定してやってたらファールなんかするかい!
となります。こういう奴が大きい大会でトライアルでベスト出してガッツポーズしてるんだよ
トライアルで意識したほうがいいこと
じゃあアナタは何を意識しながらやってるんですかってハナシですよ、堤さん。
実際に僕の試合計画と照らし合わせながら書いていきます。
①ファールをしない
もう僕にとっては当たり前のことになったので試合計画にいちいち書いたりはしていませんが、まず何よりもファールをしないことです。
円盤はまっすぐ投げる、サークル内でキチッと止まる。
試合を想定してトライアルを行うわけですから、当然この部分も試合と同じようにやります。
まあトライアルですからちょびっと足がはみ出ちゃった、くらいならいいですけど。
②設定記録にコントロールして投げる
上にある試合計画の画像にもありますが、トライアルの各投てき時に50m、52~3mと記録を設定しています。
僕はこの設定した記録の通りに投げることを意識しています。
試合というものは意識していなくてもアドレナリンが出ているもので、自分では80%くらいで投げたつもりの投てきが実は100%のイイ感じの力の入れ具合になっていたりします。
これが力を抜いているハズが気持ちよく投げているだけだったというところです。
そして「おい、80%でこれなら100%でいったらトンデモねーことになんぞ!」と思って120%でいってしまい、失敗するというロジックです。
やり投であれば手拍子求めて120%でいってしまってもブロックが潰れなければもの凄い記録が出たりもします。
いわゆる「ハマった」ってやつです。
しかし円盤投では100%の力を100%のまま出さなければ大抵失敗します。
120%でうまくいくことはほぼありませんし、うまくいったとしてもそこに再現性はありません。
だからこそ80%なら80%、100%なら100%の力をキチッと出すために、力の入れ方をコントロールしようねってコトです。
僕なんかはトライアルであれば、ターンして振り切らず手を離すだけ、って感覚でだいたい50m飛びますし、そこに指先の掛かりを感じるだけで52~3mくらいの記録になるので、その感覚でいつも設定しています。
もう最近は5割とか6割とかの力しかトライアルでは使っていません。省エネ
一番調子が良かった頃でも54~5m設定だったので、だいたい自己ベストか目標記録の90%くらいがいいんじゃないかと思います。
あと僕は高校生・大学生の頃は試合本番の投げも設定記録を作ってました。
(1投目:47~8m、2投目:49m、3投目:50m…など)
1投目でしっかり記録を残したい!という方なんかはいいと思います。
③技術的に意識するのは1投で1つだけ
上の試合計画の画像の中に「トライアル予定」と「技術ポイント」のふたつの項目があります。
「技術ポイント」というのはその試合で技術的に意識しよう!って思っている部分のことで、毎試合3つだけ設定しています。
しかしトライアルは2投しかないので、3つのポイントのうち2つだけを選択して割り振っています。
結局試合になってあれもこれも意識することなんてできません。
タスクフォーカス的にも全体で3つ以内、1投の中では1つ意識するだけで十分です。
意識することはシンプルであればシンプルであるほど良いです。
だって投げるときに「投射角30~35度を目標に…」とか考えますか?
「強く腕を振る」
「ゆっくり回る」
そのくらいでいいんですよ。
僕も上の画像では「左足と右手首を~」とか「左腰切って右手を~」とか書いてますけど、結局試合になったら右手しか意識してませんでしたからね。
ターンして投げる、その一瞬で意識できることなんてそんなもんです。
練習を試合のように、試合を練習のように
この言葉は日本ハムファイターズのBIG BOSSも同じような感じで2022年の春季キャンプの時に言っていました。さすが俺たちのビッグボス
いかに試合を想定した練習ができるか、いかに練習通りに試合ができるか。
今日のトライアルの話でいうと、
トライアルでは試合を想定してファールしない。
試合ではトライアルの時のように力まずに。
って感じですかね。リラックスが一番難しい
練習と試合、そのスキマを少しずつ埋めていけたらいいですね。
それをすこし延長して、普段のトレーニングから試合を意識してやっていければ、また色々と変わっていくものがあるのではないでしょうか。
そして、そうやって一つ一つの物事を突き詰めていくのが陸上競技選手であり、円盤投選手だと僕は思います。
こんな感じで、まとまりがあるんだかないんだかわかりませんが、今回のお話はこれでおしまいです。
これからトラック&フィールドは本格的なシーズンインを迎えます。
お互いいいパフォーマンスが出せるように頑張りましょう!
またね。
不定期で投稿したりしなかったりします。 気が向いたらまた見に来ていただけると嬉しいです。