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選手は基本「読まない」と知れ

チーム方針や戦略、そしてトレーニングについて、プレゼンテーションの資料を用意し、それをミーティングにて伝える。

そのミーティングを聞き、資料を読み込む。スポーツチームにおいても、とても機会の多いものだろう。

しかし、残念ながらほとんどの選手が「なんとなくしか聞かない・読まない」ということは、経験的にはっきりと分かっている。

普段から話をよく聞き読書をしていて読む体力がある、読む習慣がついている選手に関しても、分かったような気になっている確率は高い。

 

スポーツ選手も基本「3NOT」

「パレートの法則の2:6:2」ではないが、パッと見て、しっかり読んで、しっかり理解して、分からないことは質問して、端的に聞いて頭に入れている。

そんな選手はせいぜい全体の2割程度だ。

その2割の選手に関しては、後にコーチや指導者になることを考えていて、すごくスマートな選手が多い。

それ以外の選手は、基本的に分かったような感じで、なんとなくやり過ごしてしまうことがほとんどだ。

ブログなどを書く時によく言われている「3NOT(読まない、信じない、行動しない)」と基本的には考えて、めちゃくちゃシンプルかつ何度も何度も繰り返すということが必要になる。

トレーニングプログラムはほとんど読まれない

特に「読まない、覚えない」ということに関して言えば、トレーニングプログラムはもうその最たるものだったりする。

トレーニングが死ぬほど嫌い!という選手はそこまでいないが、トレーニングの種目を覚えたり、ストレッチやプリハブ(トレーニング前に行うリハビリ的種目)だったり、ちょっと面倒くさいなと思うものに関しては、なかなか覚えようとしないものだ。

例えばトレーニング種目だと、膝を曲げないタイプのデッドリフトである「ルーマニアンデッドリフト」は、ルーマニアと国名が入っていることで、難しいのかもしれない。これはまだ理解できる。

 しかし「ヘックスバー・スクワットジャンプ」という種目は、ヘックスバーという六角形の器具の中に入って、いつもやっているしゃがんだ状態(スクワット)から、飛び上がる(ジャンプ)という名称。そのまんまなわけだ。

そして普段から結構使っているはずの「ヘックスバー」という器具の名前が、なかなか覚えられない。

びっくりした例で言えば、「ダンベル・ワンアームロウ」と書いたところ、
「ちょっとやったことないんで、わかんなくて…何でしたっけ?」
と選手に聞かれたこと。

ダンベルを持って片手でやる引く動き(ロウ)。名前、もうそのままなわけです!

それを説明したら、「あぁあれか。そうやって言うんですね。」とへっちゃらでいう選手が結構いるわけで…。

何回も実際に行っているのに、名前を覚える気がない。

これに関しては、私も日常生活の中で、妻と話をしている時に
「もう何回も言ってんじゃん。覚える気ないんでしょ!」
と言われると、深層心理的に覚える気がないのだろうなと思うところがある。

お花のかわいい名前や家の中の何とかというアイテムみたいなものだ。

 これと同じようなことが選手にも起こっているのだろうが、毎回けっこう苛々させられる。

半ば投げやりな気持ちの施策が奏功した例 

私が所属していたラグビーチームは、ウエイトトレーニングをやる時は平日の夜に行う。

全体練習の前にウエイトトレを行うわけだが、早く来ることができる選手は、6時ぐらいからちょっとずつ来はじめて、混む前に終わらせていく。

しかし大半の選手は本当にギリギリになってしまったり、遅刻してくる選手さえ結構な数いる。

7時半から、7時50分からといった感じで5分ごとぐらいに2~3人ずつの選手がバラバラと来るような流れになっているのだ。

だいたい3~4週間は同じプログラムを、回数やセット数をちょっとずつ変化させたものを提供していく。

そのため、新しいプログラムになった際には、違う名前ややったことのない種目も出てくるわけだ。

そうすると、「○○っていう種目は始めてですよね?これ、どういう種目ですか?」と聞かれる。

 当然なのだが、私の立場からすると、選手が来るたびに説明する羽目になる。下手をすると何十回となるわけだ。

シーズンが始まり進んでくると、バックスやフォワード、その中でもフロントロウというポジション(前の3列)やバックファイブ(後ろの5人)など、ポジション別にプログラムが少し変わる事も出てくる。

こうなってくると、さすがに説明も大変だ。

ある日のこと、「もういいや!!」と半ば投げやりな気持ちで、大きいホワイトボードにめちゃくちゃ簡単だが、わかりやすくイラストを書くことにした。

そのイラストの一端が、上図のようなものだ。

 私が書いた絵なのだが、大体のモデルは私ぐらいの身長で小柄な体型になるので、ずんぐりむっくりだ(笑)。

名前も覚える気がない選手は、動画も含めてLINEで資料を送ってもそれすら見ないし、読まない。

しかし、ホワイトボードにこういう動きでこんなことを意識してやろうってポンっと書いてみると、悲しいかな質問は激減した。80%ぐらい減ったのだ!今まで20人に聞かれていたのが、4~5人になった…。

 KISSの法則で伝えよう

トレーニングの世界では、バカみたいに簡単にしてやれということで「Keep it simple,stupid!」とセミコロンも入れて、もう発狂しているように言う「KISSの法則」がある。

この法則は、もうトレーニング現場でも全く一緒だなと思いながら、今も指導にあたっている。

 特に男性アスリートには、5歳児たちに伝えるようなイメージでコミュニケーションを取っていくと、「あぁそういうことっすか。」みたいな感じで分かってくれるというのが実情だ。

くれぐれも伝えておきたいのは、全体の2割ぐらいは大人で、一を聞いたら十を知るという選手も存在する、ということ。

しかし、基本的に一番多いのはあんまり悪気がなく、そんなに読まないし、聞かないとタイプなのだ。

なんとなく分かってきたら、「あぁあれね。」と言って、直感的にボンボン始める選手が多いのが、スポーツの世界の実情だと繰り返しておこう。

 間違いなく、あなたの役に立つはずだから…。

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