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スポーツ現場の魅力を知っても常習性に毒されるな

ちょっと過激なタイトルだが、「スポーツ現場の魅力を知っても常習性に毒されるな」という内容を書いていこうと思う。

 事件発覚後の会館内での思い出

2021年のこと。発覚した病院工事に関する当時の日大理事らの犯人逮捕事件。それにより市ヶ谷にある日大本部に調査が入ったりということがあった。

日大会館には、多くの報道陣やカメラマンの方たちが軒並み玄関に立っている状況。

そんな中、館内でミーティングをすることになっていた私は、嫌でもそこから入っていくしかなかった。

入っていく際にはものすごい目でじろりと上から下まで見られた上で、マイクを持った第男性に、「関係者の方ですか?」と聞かれたりした。

まぁ関係者といえば関係者ではある。

日本大学鶴ヶ丘高校という附属高校から日本大学に進学した日大OBであり、現在日大稲城パフォーマンスセンターのパフォーマンスディレクターも務めているわけだから。

「関係者ですけど、ちょっとそういう感じではないです…」とごにょごにょ言って、何がそういう感じなのか分からないものの、何とか中に入りミーティングをしてきた。

実際に日大会館の中に入り、担当の指導者の方、監督などともお話させていただいた。

バタバタはあっても、ほとんどの教員や指導者の「選手のために良い環境を整えてあげたい」という気持ちは全く変わらなかった。実際に、私が関わっている1人1人の方々は本当に真面目で良い人たちばかり。

林真理子新理事長のもと、新生日大としてスタートした2022年、私も何とかクリーンで再生したイメージの母校になって欲しいなと感じている。

数多い日本大学の卒業生、OBの1人でもあるので、日本大学出身ですと言うと、最近はこういう話ばっかりになってしまうのは不本意だし、非常に残念だからだ。

日大に関しては、2018年のアメリカンフットボール部の問題もまだ記憶に新しいのではないかと思う。

スポーツ現場において、絶対的な権力が生まれたり、歪んだ文化が形成されてしまうという側面は大いにあり、スポーツ現場ならではの怖さといえよう。スポーツ現場は諸刃の剣というか、両面あるなとつくづく思ってしまう。

 スポーツの現場は中毒性が高いという事実

改めて言うまでもないが、スポーツ現場はものすごく魅力的だ。我々の普段の生活、日常生活では味わえないような興奮やアップダウン、感動やドラマがある世界である。

 「一度入ると止められない」という感覚は、スポーツ現場でお仕事をされているスタッフの方には分かっていただけることだろう。

だからこそ、現場ならではの魅力からつい抜け出すことができずに、ズルズルとその世界に執着しがちになる。中毒性が高い世界なのだ。

現役アスリートと同じで、本来は指導者もスタッフも、寿命がある世界だと思っておいた方がいいだろう。定年退職まで勤められるような仕事ではない。

 それを分かっているつもりでも、1年契約のはずが、5年そのチームに携わり、10年携わり、15年いて一番の古株となってくると…

 何だか、そのチームの社員というか、代表者のような気持ちになってしまうことがあるようだ。実際にこんな口調で自分のチームのことを語る専門家の方も、今まで多く見てきた。

ただ残念ながら、1人の人がずっとそのチームに定年退職のような年までい続けるのを見たことがない。どこかで契約解除というか、お別れをしなければならないタイミングがあるものだ。

その事実をしっかり認識しておく必要がある。そして「そもそも論」として、スポーツ現場には、一定の常習性や中毒性があり、自ら辞めづらいというのは肝に銘じておくべきだ。

 搾取の対象になるな

雇用をする側・編成をする側から見ても、常習性や中毒性という点に関しては、理解されていると考えていいだろう。

「スポーツ現場って憧れの場所でしょ?」、
「こういったところで仕事をされたいんですよね。」

という感覚を持っている方が多いのが実情だ。

ある意味、そこに付け込まれて、「好きなことを仕事にしてるんだから、条件とかあんまり言うのはダメなんじゃないの?」、という雰囲気や態度を出されて、条件面や労働面で搾取されるという人が後を絶たない世界でもあるのだ。

現場の魅力はしっかりと堪能すべきだし、そこに値するプロであることは大前提だ。しかし言葉は悪いが、薬物中毒のような常習者になってしまうのは絶対に避けるべきだ。

「現場であったら何でもいい!」、
「現場じゃないと自分は仕事ができないから…」

 そう思い込んで、現場にこだわりすぎることを、私は全くお勧めしない。

どこか俯瞰した「鳥の目」を持つ。そして、スポーツ現場の魅力を十分に知って堪能しつつ、「常習性に毒されるな」というのが、私と同じ環境にいる専門家に対するアドバイスだ。 

これは、自分自身への自戒の言葉でもある。

 こういった意識を持っておかないと、どうしても現場で仕事をするということ自体が優先されてしまう。オファーの内容が魅力的でなかったり、条件的に厳しいものであっても、ついつい引き受けてしまうことになりかねない。

しかし、これは結局は、自分のためにも、家族のためにも、そして、次の世代のメンバーのためにも、良いことではない。

現場の魅力を存分に知りつつも、常習性に毒されない。しっかりと冷静な判断をするといった意識が大切。これを肝に銘じておいて欲しい。

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