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人と暮らすということ

3月になってからずっと寒い。店先には春を感じるような暖かい色合いのものが増える。この季節はイースターとか何とかで色とりどりの卵の置物が並ぶ。いつの間にイースターなんてやってきたんだろう。いまだにイースターも恵方巻きもよく分からないものの位置付けだ。恵方巻きなんて、あんなに大きくて高級な巻物を恵方に向かって黙って食べるというのは訳が分からない。切り分けて話しながら食べた方が楽しいのではないか、と思う。

春が来る。4月は結婚記念日がある。結婚記念日は覚えやすい日にした。なんて事ない日。指輪も買わなかった。一度くらい結婚してみようと思った。すぐに離婚するかと思っていたのに今年で14年目になる。結婚しなきゃよかったと何十回も考えた。結婚してもらえてよかったな、と考えたのは最近になってからだ。

結婚はただの生活だ。命が終わるまで繰り返す暮らしを他人とすることだと思う。誰かと朝と夜を一緒に繰り返す。米を研ぐとか排水溝を掃除するとかそういうこと。幸せなことでもなんでもない。指輪を買ったからって、神に誓ったからって何も特別なことは起きやしない。14年前の好きはとっくに消滅しているけれど、隣にいる不思議。感謝をして、軽蔑して、殺意が芽生えて、尊敬をする。繰り返す。今日も人と暮らすの耐えられないと思ったけど一日が終わる。おやすみ。

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