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宇宙のツイン星 (太陽と月が出会う時 世界は変わる) #6 大地と一体になった



冬 白神山地

雪を身に纏ったブナを始めて見ました.

雪は陽にあたってキラキラ輝いていました.

風が吹くたび,木が揺れて,光の粒が空に舞いました.

ブナはすっかり葉を落とし,地面も雪が覆っていることで

ブナの姿は凛として見えました.

何度も見たブナの森は,真っ白な姿に変わっていました.

葉を落としたブナの森は、いつもより遠くまで見渡せました.

森には,人影も動物も見当たりませんでした.

山道に雪が積もっていましたが,何処までも行けるように思って,

私達3人は,細くなっていく山道を車でどんどん進んでいきました.

「そろそろ引き返そうか?」運転手のY君が言いましたが,

「もう少し行ってみたいな,こんなにキレイなんだもの」

そんな会話が何度か繰り返された時,

「ああーーー!やっぱり止まっちゃった!」「どうする?誰も居ないよ」

「雪の中でこのままじゃ,ガソリンも無くなっちゃう.俺,誰か呼んでくるよ」

「私も一緒に行くよ,1人じゃ危ないから」

「え!ふたりとも行っちゃうの?!」

「誰か車にいないとやばいから,待ってて.大丈夫だから」

Y君とAさんは,2人で走って山を降りていきました.

エンジンも止めて,

誰も居なくなった山の中は,しんと静まり返っています.

風が吹くと,サラサラと雪が雪面に落ちる音が,聞こえるようです.

無の音

耳では捉えていない音を感じている,私がいました.

大自然の中に私一人きりなのに

言いようのない,安心感に包まれています.

「あれ?」

山が動いているのです!

私の呼吸に合わせて,山が呼吸をするのです!

見渡す限りの山々が,

息を吸うと山が私に迫ってきます.

息を吐くと,山は,大きく大きくなっていくのです.

気がつくと山だけではなく,

足元の大地も,空も,木々も,

全てが,私と一緒の呼吸をしているのです.

私の存在がどんどん大きくなっていきました!

もののけ姫の「デイダラボッチ」のように自然と共に

大きくなって行くのです.

その感覚は,

「喜び」

それ以外の感情は無いのです.

一瞬,「このままだとどうなるんだろう?」

そう思った時

元の肉体に戻っていました.

私と一緒に呼吸していた

大地も山もブナの木も

今は,別々のものに戻っていました.

寂しいような,ホッとした気持ちになった時

知らない車に乗ったAさんとY 君がこちらに手を振っていました.



*白神山地はもののけ姫のモデルになっていたそうです.


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