忘れられた人々。
幸せを謳歌しているように見える。
「誰しもが難題を抱えている」…
と人は云うだろう…
そう。誰しもが難問を抱えている。
楽しそうに見える、あの人も…
今、私の横を擦り抜けていった人も。
夜のとも明かりの下で暮らしている誰もが…
日本は餓死する人がいないから…
まだいいだろう…
と云う人がいる。
世界には獣のように食物を探しまくり…
虚しく死んでいく人がまだ大勢いる。
彼らの苦悩はいかほどだろうか?
そう…
彼らの苦悩は言葉にならない。
でも…本当にそれだけだろうか?
人は身体と心でできている。
どちらが壊れてもどうにもならない。
食物を求めて彷徨う人々を見る…
彼らはハングリーだ…
どうしようもなくハングリーだ。
その熱もやがて尽き…
屍となって大地に転がる。
一方…
食物には何とかありつけるかもしれないが…
社会というものに…
さんざん蹴りまくられ…
首根っこを押さえつけられ…
熱という熱を放棄した人々がいる。
彼らも子供の頃にはあどけなく…
誠実で正直な人だったに違いない。
それがなぜ?
都会というジャングルもまた危険だ…
人々との差を見せつけられる…
劣等感に苛まれる…
やがて彼らのハートを…
冷たい手が握りしめる。
彼らはもう戦えない…
身体とは別のものが…
死んでしまったのだ。
私は思う。真に思う。
文明は進んだが、
それは本当に進んだのだろうか?
古今東西、
社会の最下層にいたのは、
本当は男だったろう。
競争に破れ、
年老い、
醜く、
さらに、ひねくれてしまった、
彼らに誰が手を差し伸ばすだろう。
どんなに文明が進もうとも、
彼らに手を差し出した社会は、
一つとしてないだろう。
そして、今も。
薄汚い彼らに手を差し伸ばさないのは、
よく理解できる。
同時に彼らも、
天使のような子供たちや、
絶世の美女と同様に心がある。
綺麗事を云うつもりはない。
理想を語るつもりもない。
それでも、
私たちはの文明は本当に進んだのだろうか?
これは流行ではない。
習慣や文化の違いでもない。
人の持つ本能的な感情、
遺伝的なもの、
時間が流れようとも変わらない、
半普遍的なものが根底にある。
人知以外では変わらない。
今も、
スポットライトの当たらない、
暗い、
永遠の牢獄のなかで、
もがく力すらなく、
消えていく生命が見える。
私たちが見ようとしない所で…
今も…