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喜界島_2022年4月

わたしの冒険が始まった場所、喜界島。

5年前の大学4年の夏、研究室の手伝いで遠路遥々北海道からやってきたものの、時間が余ったのでスキューバダイビングのライセンスを取ってみた。

研究室のボスや助教とは最終的に喧嘩別れの如く卒論を叩き付けて出てきてしまったけれど、この研究室に属していなければ今の私の生活はない、といってもいいぐらいに趣味として確立したダイビング。

5年ぶりに島に戻った理由は、ずばりライセンスのアップグレード。

実はダイビングのライセンスにはレベルがある。 
最初に取るのが、18mまで潜れる初級レベル。
次に取れるのが、30mまでと、ナイトダイビングや流れが速い海での潜水等ができるようになる中級レベル。
その後は人命救助やインストラクターなど、より専門的な知識を得ていわゆる「人を見る側」になる。

ここ1年ぐらいでライセンスの壁に立ちはだかられることが多くなった。

例えば北海道の積丹でトドと潜ろうと思うと中級ライセンスが必要だし、静岡の神子元島でハンマーヘッドシャークと潜ろうと思ってもやはり中級ライセンスが必須。

5年間のダイビング歴を経て、時は満ちたようである。

そんなこんなで、新千歳→羽田→鹿児島→喜界島 と飛行機を3本乗り継いで到着。

のどかだ…。

喜界島は所謂「観光」を売りにしていない島で、ダイビングショップも2件しかない。
主要産業は漁業と農業(サトウキビ)で、黒糖焼酎の酒造メーカーが2つある。

そして何より知っていなければいけないのが、喜界島は世界で2番目に隆起速度の速い「珊瑚が隆起してできた島」であるということ。

島の中央は海抜200m程度の高台になっているが、そのてっぺんも少し土を掘れば珊瑚の層に当たり、島そのものが珊瑚で出来ていることがわかる。

そんなこんなで観光地ではないが希少な研究対象として全世界から学者が来る島なのである。(かくいう私も珊瑚礁の研究でこの島に来た人物の一人。)


というわけで海に潜ると、果てしなく続く珊瑚、珊瑚、珊瑚!時々砂地。

世界最大級のハマサンゴ

魚が少ないので、いわゆる"大物狙い"のダイバーには物足りないとの噂もあるが、しまんちゅ曰く「梅雨前の濁った状態」でもこの透明度。透明度が20mを切ることはほとんどない。

完全にこっち見てるクマノミ
モンガラカワハギ
ヨスジフエダイの群れ
ハタタテハゼ
小さいけどよく目立つ
まるでアクアリウム
アマミスズメダイの幼魚
見つけたらテンション上がる
ウミヘビ
毎日正午近くになると10本ぐらい出てきて囲まれた
コクテンフグ?
3メートルはあるエイ

もちろんナイトダイビングもしてきた。

イセエビ 美味しそう
(禁漁期間なので捕っちゃ駄目)
アオブダイ(イラブチャー)
岩の隙間で身体から粘液を出して寝る
敵から自分のにおいを隠すためとかなんとか

ナイトでは1.5メートル級のアオウミガメにも遭遇したが、エントリー直後すぎてガイドのじいちゃんも私もカメラ構えられなかった。無念。


あとは何といっても食事。毎度お世話になっている「早町荘」を営むヨネモリさんご一家は、漁師・民宿・ダイビングショップの三刀流をこなす凄い人たち。
晩御飯は毎日とんでもない量の刺身と魚やら肉やらの揚げ物とおかずと黒糖焼酎でお腹パンパン。

マグロ
夜光貝の刺身
ソデイカとマグロ
マグロとカツオ

こんな絶品料理が8泊9日毎日出たら太りますよね。もういいんですそれでも。


そうそう、喜界島といえばオオゴマダラという蝶の生息地としても有名。




★以下、幼虫とサナギの写真注意★





オオゴマダラの幼虫
10cm近くあって迫力満点
オオゴマダラのサナギ
成虫地味なのに何がどうしたらこんな金色になるの?と聞きたい
自然界ではまず見ない黄金色
羽化したばかりのオオゴマダラ成虫
羽を開くと私の手のひらよりはるかに大きい
派手ではないけど美しい蝶

冒頭にも書いたように、喜界島は観光需要がほぼない島。観光用の商業施設もなければ、観光スポットも展望台ぐらいしかない。島の人は島の中で一次産業を営み、しっかりと生活している。
だから私たちも喜界島に行くときは島の人に馴染むような生活をしなければいけないし、逆に言えば、それさえわきまえれれば観光依存型の他の離島では味わえない経験ができる。

私は、喜界島の景色と人、生き物が大好きだ。 


旅の2週間後に届いたライセンスカードの顔写真に写っている私は、やっぱり"島の私"の顔をしていた。

トカラ列島の在来種、"トカラウマ"


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