【24話】幼馴染みの想いで話(唯と梨紗ちゃん)
さすがの唯ちゃん、情けない梨紗ちゃん
「唯 チョットお腹痛いのよ 産まれるんじゃないかしら」
「もー 梨紗ちゃん さっきから何度も 同じこと言ってるんだからあ」
「だって 初めてなんだから 仕方ないでしょ」
「大丈夫だよ それくらいじゃ まだ産まれないよ 唯だって初めてだよ」
「唯は看護師なんだから 慣れてるでしょう」
「あのね 梨紗ちゃん 看護師だからって 慣れてる訳じゃあないんだよ 知識は有るかもしれないけど それだけじゃあ やっていけないよ」
「そんなの分ってるわよ 唯はお腹どうなのよ」
「唯は 特に痛くはないかな 梨紗ちゃんの方が早く産まれそうだね」
「私達みたいに 一緒になるように産みましょうよ」
「あのね 梨紗ちゃん 産もうと思って産めるもんじゃないんだよ それができたら苦労はしないよ」
「それも分ってるわよ」
「梨紗ちゃん」
「なによ」
「チョット前から 大変なことになってるんだよ 気付かない」
「えっ 何がよ 何もないわよ」
「そーお じゃあ お尻の辺り触ってみるんだよ」
「・・・・・えっ 何これ 濡れてるわよ 私 オシッコ漏らした・・・」
「オシッコだったら まだいいよ」
「じゃ 何なのよ」
「破水だよ 羊水が出てきたんだよ」
「えっ 破水 羊水 そ それって大丈夫なの」
「そんなわけないよ 梨紗ちゃん 下手すりゃ産まれるよ」
「ど どうすればいいのよ 産まれそうになったら」
「もちろん ここで産むしかないよ 梨紗ちゃん」
「こ ここで だ だれがとりあげるのよ いったい」
「もちろん 唯だよ 唯しか居ないんだからあ」
「で 唯 とりあげたことあるの」
「もー 唯は小児科だよ 外来と救命は助っ人で行ってるけど そんなのあるわけないよ 梨紗ちゃん」
「じゃあ ダメじゃないのよー」
「でも 一応現場は何回か見てるし 研修も受けてるから 大丈夫だよ
梨紗ちゃん 多分」
「い 今 多分って言ったわよね 多分って何よ」
「五分五分っていうことだよ 梨紗ちゃん」
「それじゃダメじゃない 確率低すぎるわよー」
「冗談だよ 冗談」
「こんな時にまで 何冗談言ってるのよー」
「大丈夫だよ 梨紗ちゃん ここでは産まれないようにするよ」
「できるの」
「だって そうしないと ここ 汚れるじゃない 梨紗ちゃん」
「そ そんな理由で いい加減にしなさいよー」
「冗談だよ 冗談 それに 怒っていきむと 本当に出てきちゃうよ 落ち着くんだよ じっとしてるんだよ 梨紗ちゃん」
「唯が冗談ばっかり言うからよ アッ イタタタ 唯 痛くなってきた」
「ほら やっぱりそうなったでしょ でも まだ大丈夫だ・・・・・」
「な 何で そこで黙るのよ」
「そーだなー やっぱり病院へ行った方が いいかなーって」
「じゃあ 早く連れて行きなさいよ」
「どうやってなの」
「車あるじゃない」
「誰が運転するの」
「そんなの 唯しか居ないじゃない」
「あのね 梨紗ちゃん 唯も臨月だよ 急に産まれることだって あるんだよ もし途中で 唯も梨紗ちゃんも 産まれそうになったら 洒落にならないよ」
「じゃあ どうするのよ」
「何言ってるんだよ そういうときに 便利なものが あるでしょ」
「な なによ」
「もちろん 救急車だよ」
「きゅ 救急車 私 そんなの乗ったことないわよ」
「あのね 梨紗ちゃん そんなの乗ったことない人が ほとんどだよ 唯ですら乗ったことないよ 乗りたくて乗れるもんじゃ ないんだよ」
「唯 乗ったことないの 看護師なのに」
「だから 梨紗ちゃん 看護師だからって 何でもやってるわけじゃないんだよ 乗ってる人もいるけど そんなの一部だよ」
「じゃあ 早く呼びなさいよ」
「分ったよ 梨紗ちゃん」
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