【28話】幼馴染みの想いで話（唯と梨紗ちゃん）

さて、今回は、とうとう唯ちゃんと梨紗ちゃんが、ママになります。

唯ちゃんと梨紗ちゃん、ママになる

その前に、梨紗ちゃんの出産模様を、お話ししましょう。
精悍で、沈着冷静な梨紗ちゃんは、どこにもありません。
もう、わがまま言い放題です。

頑張れ、梨紗ちゃん

分娩室の中に、わがまま言い放題で、押し込まれていった、梨紗ちゃん。
その扉の外では、唯ちゃんが、

「フレーフレー　梨紗ちゃん　頑張れ頑張れ　梨紗ちゃん
　　　　　　　フレーフレー　梨紗ちゃん　頑張れ頑張れ　梨紗ちゃん」

と、応援して、待機室に戻っていきました。
ここからは、梨紗ちゃんと看護師さんの会話です。

「ゆいー　ゆいー」
「小鳥遊さん　呼吸法習ったでしょう　ヒッ・ヒッ・フーって」
「わ　分ってるわよ　それでできれば苦労はないわよ　ゆいー　ゆいー」
「もっとリラックスして下さい　まだ　いきまないようにね」
「だから　それができたら苦労はしないわよ　ゆいー　ゆいー」
「ゆいー　ゆいーは言わなくていいですよ　唯さんは居ませんよ」
「い　いいじゃないのよー　好きにさせといてよ　ゆいー　ゆいー」

「小鳥遊さん　いきんで下さい　はい　いきんで」
「いきまないようにとか　いきめとか　どっちなのよー　ゆいー　ゆいー」
「いきんでください　はい　いきんで」
「分ったわよ　いきめばいいんでしょう　　ゆいー　ゆいー　ゆいー　ゆ　ゆ　ゆいー　ゆいー」
「もすこしですよ　はい　いきんで」
「わ　分ってるわよ　もうやけくそよ　ゆいー　ゆいー　ゆっ　いー　
ゆいー　ゆ　ゆ　ゆ　ゆいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

梨紗ちゃんの、赤ちゃん誕生

「オギャー　オギャー　オギャー」（梨紗ちゃんの赤ちゃん）

と、無事、赤ちゃんが産まれました。

「小鳥遊さん　元気な女の子ですよ」
「ハア　ハア　ハア　ゆ　ゆい」
「ゆい　じゃなくて　小鳥遊さんの赤ちゃんですよ　ほら」
「唯じゃない・・・あっ　私の赤ちゃん　この子が　私の・・・・それで唯は　唯はどうなってるのよ　まだ産まれてないの」

「唯さんも少し前に分娩室に入って　小鳥遊さんと同じくらいに産まれたようですよ　ほとんど同時で　唯さん　産気づいて分娩室入ったら　アッという間で　みんな驚いてます　こんなに同時に産まれるの初めて見ました　
唯さんも　元気な女の子ですよ」

「そ　そうですか　唯も・・・同時ですか・・よ　よかった・・・・・・」
「小鳥遊さん　小鳥遊さん　大丈夫ですか　小鳥遊さん」

心配はいりません。
無事産まれた、赤ちゃん見て、また、唯ちゃんも無事産まれて、
それになにより　同時に産まれたと聞いて、不安で疲労困憊の梨紗ちゃん、安心しきって気が抜けてしまって、気を失ってしまったのです。

終始「ゆいーゆいー」と言ってた梨紗ちゃん、医師・助産師・看護師のみなさん、もう可笑しいやら可笑しくないやらで、どう言ったらいいか困っていたそうです。
でも、この「ゆいーゆいー」という呼吸法（だったかどうかは分りませんが）、意外といけるんじゃないかと、研究課題となったそうです。
しらんけど。

唯ちゃんの、赤ちゃん誕生

梨紗ちゃんが、もうすぐ産まれる頃、唯ちゃんは。
ここからは、唯ちゃんと看護師さんとの会話です。

「そろそろかも知れないよ　陣痛の間隔　短くなってきたよ」
「あっ　唯ちゃん　少し待ってね　先生に報告してくるから」
「お願いだよ」

「唯ちゃん　じゃあ分娩室に行きましょう　どう今」
「そーだなー　かなりきてるよ　グイグイとだよ」
「歩いて行ける？」
「大丈夫だよ　手間はかけさせないよ」

と、唯ちゃん、嬉しそうに元気に、歩いて行きました。

「あっ　もう　かなり来てるね」
「でしょ　そろそろいきむよ」
「じゃあ　いきんでみましょう」
「分ったよ　行くよ　それーーーーーー」

「オンギャー　オンギャー　オンギャー」（唯ちゃんの赤ちゃん）

あっ、と言う間に産まれてしまいました。

「唯ちゃん　元気な女の子ですよ　それにしても大きな声で泣くわね」
「ほんとだね　可愛いね　唯　赤ちゃん欲しかったんだー　
ずっと前から　先輩の赤ちゃん　よかったよ　また夢がかなったよ」

と、嬉しそうに涙が少し零れます。

唯ちゃんと梨紗ちゃんの願い

気を失って、病室に運ばれた梨紗ちゃん。
梨紗ちゃんの、分娩室での模様を聞かされて、まだ目が覚めない梨紗ちゃんに、嬉しそうに、

「よかったね　梨紗ちゃん　一緒に産まれたよ　願が通じたんだよ」

と。
梨紗ちゃんのことは、唯が看たいからって、師長さんにお願いして、同じ部屋になるようにしてもらいました。

目が覚めた梨紗ちゃん、唯ちゃんのベッドが有るのに驚き、その経緯を聞き、嬉しくて心強くて、唯ちゃんの手を握って、少し涙を零しました。
唯ちゃんも嬉しそうに、梨紗ちゃんの手を握って、ニッコリしました。
二人の赤ちゃんは、同年同月同日同時同分に誕生しました。
秒は誤差範囲です。

赤ちゃんの名前

唯ちゃんの赤ちゃんは、芽唯（めい）、鷹崎芽唯。
梨紗ちゃん赤ちゃんは、梨奈（りな）、小鳥遊梨奈。
と名付けられ、芽唯ちゃんと梨奈ちゃんは、家は離れていますが、産まれながらの、幼馴染みとなったのでした。
芽唯ちゃんと梨奈ちゃんは、唯ちゃんと梨紗ちゃんのそれとは少し違って、なんと言うか、仲が良すぎるというか、また別の形の幼馴染みでした。
後に梨紗ちゃんに、

「アホくさ　ほんとアホくさいわよ　アホくさいときはビールよ」

と、よく言われました。
アホくさい？、ビール？、一体、何なのでしょう。
この話は、また別の機会に、お話ししましょう。
芽唯ちゃんと梨奈ちゃんの話は、これから出てきますので、お見知り置きを願います。

また、次回に、お会いしましょう。

【索引】　【登場人物】

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