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5 心の棘。

どうも、1ヶ月弱ぶりです。村田です。寒いですね。毎年のことですが、もう冬眠したいですね。あたたかい布団でおなかがすくまで寝て、目がさめたら適当に何か食べてまた布団に戻るという生活をあたたかくなるまで繰り返したいですね。誰かあたたかくなったら「春だよ〜」って優しく起こしてくんないかな。

今回は第4土曜日が本番期間にかぶってしまうし、ここから先怒涛のスケジュールで絶対に無理無理の無理なので早めの更新とした。このエッセイの熱烈なファンは少ないし、一回くらい休んでも良いんじゃないかな〜ともちょっと思ったけど、月1なんだしやるかと思い直したので、あっさりめで書く。


現在鋭意稽古中の舞台「ヒドラの景。」


そもそも芝居、インプロに取り組むときに自分や相手の心の動きに敏感になるということは大事だと思うし、今回は精神科病院が舞台となる作品だけあって、心と向き合う機会がこれまで以上に多い気がする。それは自分の弱さや脆さだったり、人の痛みだったり、色々だけれど。

私は心を病んでしまった患者として、主人公の仁戸一成先生に治療をしてもらうのだが、その治療では「心の鍵」を探り当てることがキーとなる。「心の鍵」とは、患者が誰かに言ってもらいたかった言葉(言ってもらえなかった言葉)である。これを一成先生にかけてもらうことができれば、病は快方に向かう。
心の鍵。自分自身の中で探してみるけど「本当はこう言われたかった」って実は探すの難しいよね。仮定の話だからね。
でも、「言われてとても傷ついて、いまだに心に刺さっている言葉」なら、いくつかすぐに思い当たる。いわば「心の棘」だ。せっかくだから、この棘の話でもしてみようかと思う。

「花がない」。
これは大学の演劇サークルに在籍しているときに、仲間に言われた言葉だ。
その仲間というのが実は当時気になっていた男子で、でも彼は女子の先輩と仲良くしていて付き合ってるの?付き合ってないの?どっちなの?みたいな親密な距離感の二人を見るたび、なんとなくやきもきしていた頃だった。
演劇同好会の公演を数人で観に行ったときの、開演前の薄暗い、平台の上にパイプ椅子が並べられただけの簡素な客席でのことだ。
どういう話の流れだったか、並んで座っていた彼がその女子の先輩を「やっぱり花がある」と褒めたのだ。たしかに先輩は存在感のある美人で、お芝居も上手かった。もやもやしながらも当たり障りのない返事をした私をちらと見て、彼は言った。

「結香ちゃんは花がないからな」

おっ?やんのか?
今の私なら拳をちらつかせながらそう言えるような気もするが、二十歳そこそこのいたいけな私は、絶句した。メデューサと目があったみたいに動けなくなった。そのあとどんな気持ちで観劇し、どうやって帰ったのか、まったく覚えていない。
あのね、言わんでいいのよ。思ってもいいよ、思想は自由だから。でもさ、本人に向かってわざわざ言わなくて良くない?人の心とか無いんか?あと私も私で男を見る目無いんか?クソ〜。思い出すだけで悔しい、色々と。
それから私はサークルを辞めても芝居を続け、その中でヒロインや主役を任せてもらったことも何度かあったし、注目してもらえることもあったし、そもそも今も役者を続けているので「花がないってことはなかろう」と思えるようになってきたが、あの言葉はいまだに心に刺さったままだ。そして、彼とはもう会うこともないだろうが、心のどこかで「お前は許さん」と思っている。

傷口はたまにチクチク痛むけど、そんな心の棘すらも、人間としての深み?味?なんかそういうのになるんだろう。ていうか、せっかく役者をやってるんだから、体験したことすべてそうしていかなきゃもったいない。
それに、この先でその棘がスポーン!と抜けてしまうような、大胆な伏線回収がまだまだ待っているかもしれないし。そう思うと、なんだか楽しみになってくる。
(ちなみに他にも心の棘はあるが、結構ガチめのやつなのでここで話すのは憚られて、一旦やめておいた)(いや、これもガチだけどな!!)

これを読んでくれている方にも、思い出しては心がチクッと痛むような「心の棘」または「心の鍵」があるだろうか。もしかすると「ヒドラの景。」を観ることで、その棘が抜けたり、鍵が開いたりすることもあるかもしれない。なんちゃって。そんなことなくても面白いので、ぜひ観てください。

「心の鍵」を開けることはできるのか?

Platform第22回公演「ヒドラの景。」
◼️日程
11月24 日(木) 15:30
11月25日(金) 12:00/19:30
11月26日(土) 15:30
11月27日(日) 12:00
※村田結香出演回のみ記載

◼️会場
桜台JOYJOY THEATER
桜台駅徒歩3分 練馬駅徒歩10分
東京都練馬区桜台1-2-8
桜台マンションB1

◼️あらすじ
小さな精神科病院に赴任することとなった主人公、仁戸一成。
閉鎖病棟に入院しているのはなんとも不思議な病におかされた5人の患者たち。
同時に、一成の日常生活も少しずつ歪みを見せていく。
即興で患者たちの心の鍵を開けるか、それとも?
※私は依存症の高校教師役です。何依存症なのかは当日その場で決まります!

◼️料金
劇場チケット
前売り 4,000円 当日 4,500円

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