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星芒鬼譚21「大丈夫。覚えているはずです、今は思い出せなくても。必ず思い出せますよ」

「さて、どうする」

ヴァンヘルシングが煙草の火を消しながら言った。
吸い殻を投げ捨てようとしたが、思い出したように携帯灰皿を取り出すとしまった。

「どのチームも仲間が欠けてる上に、奴さんは百鬼夜行さながらの大所帯なわけだが」

空気が張り詰め、全員が押し黙った。
光太郎は百はゆうに超える妖怪たちがうじゃうじゃと城中に蠢く光景を思い出していた。
鞍馬や太郎丸まであちら側についていて、武仁までもが自分を狙ってきた…
嫌な夢でも見ていたんじゃないかと思う。
が、夢ではないのだ。

「一旦、状況を整理しませんか」

最初に口を開いたのは道満だった。

「僕たちは遅れて行ったし、落ち延びたのも別々です。みなさんが見聞きしたことを教えてください」

ヴァンヘルシングはカーミラが玉藻に術をかけられてしまったこと、落ち延びながら西洋妖怪と戦う羽目になったことを話した。
光太郎は玉藻側についていた天狗の鞍馬と河童の太郎丸は馴染みであり、玉藻城が現れた場所はもともと鞍馬の屋敷であること。
夏美は城の内部の構造は鞍馬の屋敷と変わらなかったこと、そして武仁が茨木童子と行動を共にしていたこと。
一通り聞き終えた道満はふむ、と何か確信を持ったようだった。

「先程から考えていたことなんですが…あれだけの妖怪を操るには、何か仕掛けが必要なんじゃないかと思うんです」

仕掛け?とヴァンヘルシングが眉根を寄せた。

「ええ、言うなれば、発信機と受信機のような…単純に術だけで操るには数が多いし、範囲が広すぎます」

話によると、ヴァンヘルシングと光太郎・夏美は正反対のルートを通って下山したらしかった。
城内だけでなく、城から離れてもなお追われていたことから、操られた妖怪たちの行動範囲がかなり広かったのはたしかだ。
光太郎ははっとした。

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