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星芒鬼譚27「…ええいままよ!!」

道満は額に手を当てた。

「そういう妖怪がいるとは予想外だったな…」
「ふっ、裏の裏をかくことこそ兵法の心得よ!!」

金角は道満をびしっと指さした。
どう対処して良いものやら。
ふと、金角の前で大人しく盾となっている銀角が目に留まる。
そういえば先ほどからこいつは何も言わないまま、ファイティングポーズをとってこちらを威嚇している。

「おい、お前は玉藻の思い通りになっていいのか」

急に話しかけられたものだから、銀角は驚いてしまってガードを下げた。
そして、考えながらおずおずと話し出した。

「…よくわからない…。けど、にいちゃんがそうしろって言うから、きっとそれが正しいんだ」

ふむ、と道満は顎をさすった。

「自分がないのか」
「え?」
「自分がどうしたい、何を守りたい、そういうものがないんだな、お前は」

道満の言葉が、なんだか重くのしかかったような気がした。
銀角は頭を抱えた。

「俺の、やりたいこと…守りたいもの…?」
「考えるな銀角!お前はバカだから考えてもしかたないだろ!」

金角が頭を抱える手を無理矢理下ろさせ、ぴしゃりと言った。
が、銀角はまだ考え込んでいる様子だった。
道満はその様子を眺めながら言った。

「そうやって弟をコントロールしていいように使ってきたわけだ。さしずめ“虎の威を借る狐”ってところか。やることがださいな」
「なんだとっ!」

金角が七星剣を振りかぶりながらこちらに向かってきた。
躱すまでもなく、七星剣の重みで金角は道満の前に剣を下ろす形になった。
床板の隙間に切っ先が刺さってしまっている。
慌てて抜こうとしているが抜けないようだ。
それを見ていると金角と目が合ったので、その額をぺしっと鉄扇で打つと、すぐに退いた。
そして、額を押さえながら被害者面で情けない声を出した。

「痛いっ!暴力反対!」
「そっちがかかってきたんじゃないか…」
「かくなる上はっ!どうか子分にしてください!!」

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