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星芒鬼譚《完全版》

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「どうにかして探してほしいんです、九尾の狐を」 源探偵事務所に舞い込んだその依頼は、世間を騒がす連続神隠し事件とも関係があるようで…? 調査に乗り出した探偵事務所一行が出会ったの…
1章ずつのお買い上げよりお得で、順番どおりに並べられているので続けて読みやすくなってます。
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2022年3月の記事一覧

星芒鬼譚36「ほら、だからお前が必要なんだって」

星芒鬼譚36「ほら、だからお前が必要なんだって」

「本っ当にすみませんでした!!」

事務所に入ってくるなり、スライディングのような勢いで武仁は土下座をキメた。
ドアベルがガランガランと激しく鳴った。
デスクでジャンプを広げていた光太郎は「おー」と気の抜けた返事をした。
切れたあとのある口の端や、頬に貼られた脱脂綿が痛々しい。

「体はもういいのか?」
「はい、おかげさまですっかり」

夏美が土下座状態の武仁の頭を書類でぽすっと柔らかく叩いた。

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