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アジアン・マム

小さな小学校から全校生徒700人の中学校に上がった中学1年生の娘に、反抗期の兆しが見えはじめている。

今まではそれこそ、私と一緒に旅行や買い物に喜んでついてきてくれた娘も、最近はママはタクシーと言わんばかりに、自分が行きたいところに友達と一緒にドロップオフして、用が済んだら迎えにきてくれさえすればいい、みたいな空気に変わってきた。

最近は、ちょっとプールに娘を送りに行くだけなのに「そのサンダルで行くの?」とか「まつ毛のエクステはもうしないの?」とかいちいち指摘が増えてきて困っている笑

私だって、外見へのチクチクとした指摘でダメージを受けるほどやわではない。
ただ、たまにグッと食らってしまい、じわじわと反芻してしまう言葉もある。

たとえばこんな。

「ホワイトマム(White Mom)はみんな優しくて親切なのに、アジアンマム(Asian Mom)はなんで厳しいの?」

最近、この言葉が、じわじわとボディに効いてきている。

自分のことをアジア人と呼ばれるといまだになんだか不思議な気持ちになるのだが、そうなのだ。
私はここでは歴としたアジアン・マイノリティーなのだ。

他のアジア諸国のことはわからないが、日本に限って思い返してみると、日本のお母さんの方が確かによく声を荒げている。
帰国するたび、駅やスーパーや公園でその姿を度々見かける。
確かに、カナダではあまりそういう光景に出くわさないので、確率で言えば確実に日本の方が多い。

おそらく、日本人は規律や周囲への配慮から、北米のスタンダードよりは公衆の面前で正しく振る舞うことを求められていて、子供に対してもそれを求めるという文化背景があるように思う。

加えて、自慢するよりも謙遜して子供のことを周囲に話すという文化もある(今はどうかわからないけれど)。

私はそういう日本文化が苦手だったはずだ。。
しかし、しっかり文化的DNAを受け継いでいることも自覚する。
だから、やはり白人の家庭に比べて、子供に対して厳しいのかもしれない。

例えば、北米家庭では一般的に

ー食べられないものは無理に食べなくていい
ー子供にお願いされたことは叶えられることであればだいたい叶えてあげる
ー子供が片付けやお手伝いをしなくてもさほど注意しない
ーたくさん褒めて子供を否定するような言葉は使わない
ー勉強しなさい、宿題しなさいなど、あれしなさい、これしなさい、と言われることは少ない(ただし、Thank youとPleaseはよく躾けられている気がする)

というような傾向(注:あくまでも傾向ですよ)があるような気がする。

私自身は、やはり、上記に述べたようなことはちょっと甘いのでは?と思ってしまうところがある。

娘に対して強く怒ったことはないと思うのだが(たぶん…)、息子に対してはビデオゲームが終わらない時や部屋がとっ散らかってる時など、大声を出してしまう。

「いつまでやってるの!何回も言わせるんじゃないよ、いますぐ!」

という感じである。

私の怒号を聞くと子供達が

「アジアンマムってすぐ怒鳴るよね。恥ずかしいからやめてほしい」と言ってくる。

「じゃあ、ホワイトマムはこういう時なんて言うのよ?」と聞くと

「『そろそろ終わりだよ。さっきも言ったよね。わかるね』って優しく言うと思うよ」

と言うのである。

「でも、そんな優しく言ったってやめないじゃん」と反論する私。

すると「怒鳴ればやめるっていうわけじゃないよ。優しく数回言ってくれたらやめるよ」と息子。

ほんとに!?!?
私だって最初は穏やかなトーンで言っているよ?!
けど君がやるべきことをやらないから仕方なく声を荒げてるわけで、怒鳴りたくて怒鳴っているわけじゃなぁあああい!

とついつい思ってしまうのは私だけだろうか?

ただ、向こう側(北米側)の視点からすると、怒号を飛ばすママってちょっとクレイジー。というのもリアルな視点なのだと感じる。

話は娘に戻るのだが、娘は最近、友達のホワイト・マムたちはみんな優しくて、親切で、ポジティブで、サポーティブだと言うのだ。

それを私にわざわざ言うと言うことは、
私にそれがない、と言いたいのだろう。

この言葉には、さすがにちょっと傷つくし、凹む。

私だってそうありたいな、と思うし、これでも努力しているつもりだ。
ただ、私の知る限りホワイト・マムだって怖い時は怖いなという印象がある。
きっと、娘はまだ、それを知らないだけだ。
うん、きっとそうだ。

実際、他人の子供を叱る人のことを「カレン・ペアレンツ」と呼んだりするティーネジャーなので、あまり真に受けるのはやめておこう。

ちなみに「カレン(Karen)」は北米で不名誉なレッテルを貼られてしまった名前で、"勝手な行動を咎められたことに対して過剰な反応を示したり、不可解な主張を展開したりする人(主に40代上の女性)"を指している。

転じて、子供を注意する赤の他人のことも子供からすると「カレン」だ。
もちろん、彼ら(ティーネジャー)は咎められるべき自分の行動は棚に上げているのだが、場合によって言う方も言う方だったりするし、なかなか難しい。

まあ、結局のところ、白人だろうが、アジア人だろうが、人間だもの良し悪し色々あるよね。

それよりも、、ティーネジャーと言う、渦中の本人たちも訳のわからない嵐に突入し、自分と他人そして家族を比べてみたり、愛してみたり、嫌いになったりしながら、成長するフェーズに入ったことは、成長過程として親は喜ぶべきことなんだと思う。

うん、だから、わたしもあんまりパーソナルに受け取らないように対応していかないとだな。

と、母親としての自己肯定感がちょっとだけ上がったところで、これからもめげずに子育てを頑張ろう。

どんなママでも根底には愛がある。

たとえ、アジアン・マムやカレン・マムと揶揄されたとしても。




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