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知ると楽しいお金の話!⑤年収の壁を攻略しよう!

記事をご覧いただきありがとうございます!

さて今回は、働いてお給料をもらっている人が、年収いくらまで稼ぐと税金が発生するのか考える指標になる、いわゆる『年収の壁』について、ポイントを絞ってスッキリ理解できるようにご説明致します!

そこに壁があるからさ!

1.壁を整理しよう!

「年収の壁」と聞いて、何を思い浮かべますか?
全く分からない人もいると思いますが、配偶者の方がパートで働いている方だと、ポンポンと出てくるかもしれませんね。

よく言われている「壁」の金額は、下記の6つに分けられているのを目にします。

  1. 100万

  2. 103万

  3. 106万

  4. 130万

  5. 150万

  6. 201万

順番に見ていきます!
が、一旦ここでこの子たちを3つのグループに分けます!

1グループ
100万 103万

2グループ
106万 130万

3グループ
150万 201万

そして本記事では、3グループについては取り扱いません。
これは控除に関係する壁ですが、近いうちに別の記事で記載したいと思います。

それでは、1グループ、2グループについてご紹介していきます!

まず、グループに名前を付けます!

1グループ ⇨  税金チーム
2グループ ⇨  社会保険チーム

なんのこっちゃ!って感じですよね!
では税金チームから参ります!

順番通り100万円から始めたいのですが、諸般の都合により103万の壁からお話しします!

2.税金チーム

税金チーム1番 103万の壁

コレに関する税金は、所得税です。

さてここで、毎度お馴染みの会社員Aさん(給与所得のみでボーナス無しで年収400万)の、配偶者のBさんを例に出します。

以前の記事で、源泉徴収票を紐解く記事を出しましたが、103万の壁を知るには、所得税について知る必要があります。

103万の壁=所得税

まずはこの関係性を覚えちゃいましょう!
その上で、壁を越えないように働き、101万の収入があった場合と、壁を越えて105万だった場合、手取りにどのような影響があるのか?
実際に計算してみましょう!

収入、所得、手取り…
このような話が出た時に必ず必要となる知識が、
控除です。

配偶者Bさんは、Aさん同様給与所得のみで働いております。
その場合に適用される超代表的な控除は、下記の2つです。

①基礎控除
②給与所得控除

まず、①の基礎控除についてです。


国税庁のホームページより、基礎控除の金額を割り出しましょう。
よほどの高所得者(所得が2,400万円以上)ではない限り、満額の控除を受けられます。
基礎控除額は、48万円です。

続いて給与所得者が受けられる給与所得控除です。

この控除は給与所得の金額によって受けられる控除額が6段階に分かれて設定されております(令和2年度より改正がありました)

それによると、収入が162万5千円以下のBさんは、55万の控除を受けることができます。

前回の記事でも取り扱いましたが所得税というのは、所得から各種控除を差し引いて残った金額、つまり、課税所得をもとに税額を決定します。

算出した課税所得の金額を、上記にあてはまる税率を乗じることで、所得税額が算出できます。

では、壁の前後である101万と105万ではどの程度手取りが変わるのでしょうか?

101万の場合
101万−{48万(基礎控除)+55万(給与所得控除)}

あらま!合計控除額が103万円のため、101万の収入を上回りました!
0には何を掛けても0ですね。つまりこの場合所得税額は0です!

では、105万円の場合です。
105万−103万=2万

2万の課税所得が算出されました!
上記国税庁のリンクをもとに表にあてはめると、所得税率は5%と判明しました。
よって、2万×5%=1,000円

1,000円の所得税を納めなくてはならないと判明しました。
つまり、105万−1千=104万9千が手取りです。
101万円との差は、3万9千ですね(住民税除く)

なんだそんなものなんだ!なら103万なんて気にしなくていいじゃん!と思ってしまいますよね。

しかし、この103万にはもう1つ別の意味があります。

控除の制度には、配偶者(Bさん)の所得に応じて、Aさんに適用される控除があります。
それを、配偶者控除といいます。

Aさんが配偶者控除(38万円)を受けることのできる要件の一つが、配偶者Bさんの所得が48万円以下(給与所得のみの場合は103万円以下)となるため、個人ではなく、家庭としての手取りを考える上では、Bさんの所得税に加え、Aさんの所得税にも影響が及ぶという事ですね。

細かい要件もありますので、何度も登場させて恐縮ですが国税庁のリンクを貼っておきます。

これが103万の壁の概要です。

勘の良い方は気付いたと思いますが、103万円という数字の根拠は、基礎控除額+給与所得控除額ということです。(48+55)
もっといえば103万は、給与所得控除の対象となる給与所得者のみが関係する話ということで、自営業やフリーランスのような方からすれば、基礎控除の48万円の方が馴染み深いといえそうですね。

面白いですね!お金の話、ワクワクしますね!

では続いて

税金チーム2番 100万の壁

これに関する税金は、住民税です。

以前取り扱った住民税に関する記事です。興味のある方は是非♪


住民税というのは前回の記事にもある通り、各都道府県、市区町村がそれぞれ徴収する仕組みとなっております。
そのそれぞれの

「所得割(所得に応じた金額)」
「均等割(所得に関係の無い定額の金額)」

この合計額が住民税として徴収されます。

管轄しているのは自治体のため、詳細について調べたい場合は、ご自身の自治体のホームページを見ることが最適解となります。

そして住民税額決定までのプロセスは、非常に複雑で、かつ、自治体によっても一部異なる部分があります。

そのため、本記事では概要の紹介程度にとどめ、計算もイメージ中心で記載していきます。

では、100万の壁を紐解いていきましょう!

まず押さえて頂きたいのは、自治体ごとに、住民税が非課税となる要件を定めているという事です。

もっといえば、「所得割」、「均等割」にそれぞれ、非課税となる要件を定めています。

その要件のうちの一つに、「所得が45万円以下(給与所得のみなら100万円以下」とあります。

所得が45万円以下というのは、給与所得者に適用できる55万円の給与所得控除を100万円から引いた金額です。

一部例外もありますが、多くの自治体で定められいる要件です。
ご自身の自治体ホームページで確認されるのが1番ですが、給与所得100万円以下なら(給与所得控除を差し引いて所得が45万円以下になると多くの自治体が非課税になると定められていることから)住民税はかからない、という事です。

ちなみに、ざっくりですが101万の年収に対しては、住民税は7,000円〜8,000円程度です。


1グループは以上です。

続いて2グループ、社会保険チームに参りましょう!
こちらも、諸般の都合により130万の壁からご説明致します!

3.社会保険チーム

社会保険チーム 1番 130万の壁

社会保険チームは、まず理解しておくべき大前提があります。
税金チーム(所得税・住民税)は、それぞれの壁を超えたら、本人が税金を納める内容でした。

一方、社会保険チームの壁においては、働くご本人の配偶者の方の、社会保険の扶養に入っていて、その扶養が外れるかどうかのラインになります。


では、社会保険の扶養とは何か??

それは、

厚生年金

健康保険

です!

配偶者の方の社会保険の扶養に入っていると、その方の年金と健康保健の支払いが免除され、年金にも健康保険にも加入している状態になります。

そのラインを突破してしまうのが、130万という年間の収入になります(月額108,333円)
※一部130万円を超えても大丈夫な場合もあります(障害等)

また、もう一つの条件が、「被保険者(扶養している人)の収入の2分の1未満」となり、2つの条件を満たす必要があります。

この2つの条件は、厚生年金と健康保険で全く同一に設定されているため、条件をクリアしてさえいれば自動的にセットで扶養に入ることになります。

社会保険チーム2番 106万の壁

106万円の壁は、130万円の壁の考え方から、金額が下がったイメージです。

なぜ106万というラインが生まれたのかというと、国が、社会保険の適用拡大のための法改正を行ったからです。


その意義・目的などは、厚生労働省のリンクからご参照下さい。

端的に言えば、「もっと多くの人に社会保険に加入してほしい!だから扶養の条件を変えて加入者増やしますね!」
ということです。

そこで誕生したのが、106万の壁という新たなラインです。

考え方は130万の壁と同様ですが、106万の壁の場合、扶養が外れる条件が追加されており、それは下記の5つです。

1  労働時間が週20時間以上である
2  月の収入が88,000円以上である
3  学生では無い
4  勤務期間が1年以上の見込みがある※
5  勤務先の従業員が501人以上である※

以上の5つの条件を全て満たした場合、壁を突破し、自らが社会保険に加入しなくてはならなくなります。

さらに、2022年10月からは、 

(変更前)
4  勤務期間が1年以上の見込みがある
5  勤務先の従業員が501人以上である

これら条件が、

(変更後)
4  勤務期間が2ヶ月を超えて使用される見込み
5  勤務先の従業員が101人以上である

と、なります。

更に更に、2024年10月からは、

5  勤務先の従業員が51人以上である

に変更になり、加入対象となる方が拡大する見込みです。

社会保険に加入すると手取りはどう変化するのか?

少しざっくりな試算ですが、年収106万(月額88,000円)で社会保険加入の場合、年間の社会保険料の金額は約15万円ほどかかります。
その他税金チーム(所得税・住民税)もかかりますので、手取り直せばおおよそ90万となります。

一方、106万でも条件を満たさず、社会保険に加入しない場合は税金チームのみ手取りから減りますので、手取りはおおよそ104万ほどになります。

「めっっっちゃ手取りへるやん!絶対超えないように働かなきゃ損じゃん!」

そう思う方もいらっしゃると思います。

しかし、社会保険というのは文字通り保険の機能もあり、なおかつ厚生年金に加入することで将来の年金額を増やせるメリットもあります。

社会保険加入のメリット
・傷病手当金がある
・出産手当金がある
・年金が増やせる
・遺族年金、障害年金の受給範囲が広がる

など、見過ごせない点がいくつかあることも事実です。

そのため、適用拡大により社会保険への加入を検討する場合においては、社会保険加入のメリットがご自身にとってどれほどのものなのかをしっかり調べておく必要があります。

それよりも今は手取りを増やし、貯蓄に励みたい!という考えの方もいらっしゃると思います。

ここは個人のライフスタイルや考え方で異なるものです。
しっかり調べて、ご自身に合った働き方を決定するのが吉ですね!

4.まとめ

いわゆる「○○の壁」はこんな感じです!

複数あると混乱しますが、チーム分けして考えれば、そこまで複雑な内容では無いと思います。

しかしながら、今回の記事において最も大事なことは、壁を越えないように働くこと、ではなく、それぞれの壁がどんな特徴を持ち、又はそれを超えることで自身の収入への影響やメリットがどの程度のものであるかを理解し、納得した上で働けるようにすることだと思います。

知らないで越えちゃって予想外の出費!みたいなのって、最悪ですよね(笑)

そうならないためにも、検索しまくって嫌がらせのように国税庁や市町村のHPを閲覧しまくって、ご自身の収入アップやなりたい将来像を叶えるため、しっかりとお金の知識を身につけていきましょう!


最後までご覧いただきありがとうございました!




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