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【要約】意識が高くない僕たちのためのゼロからはじめる働き方改革/坂本崇博

※今回の記事では、自分なりの気づきや考え、感想を目玉マークで随所に挿入しています。(👀これです)

1. 私の働き方改革

(1)働き方改革とは生産性を高めること ~成果=生産性×労働時間~

よくある生産性の数式として、

「労働生産性=労働成果÷労働量」

というものがある。労働成果には営業利益が、労働量には労働時間が指標として採用されることが多い。

しかし、この数式において生産性向上を図ろうとしたときに、「労働時間を減らせばいいじゃん」という短絡的な思考に走ってしまいがち。

だから、働き方改革が昨今ブームになった際に、強制退社(仕事終わっていないけど)となってしまった。

👀同僚や自分も経験あり。20時強制退社。結果持ち帰って仕事。土日こっそり稼働。他の会社では、ヘッドライトをつけて消灯後のオフィスで働く人もいたとか。

労働時間を減らすこと自体には問題ないのだが、生産性を上げるためには労働成果は変わらないことが前提となる。

だとすると、単純かつ強制的な時短は的を射た施策ではない。

そこで、筆者は生産性の数式を、以下の様に変換している。

「労働成果=労働生産性×労働量」

これにより、
・労働量を単純に削減することは労働成果の低下に繋がること
・労働成果をあげるためには本質的に労働生産性を高めることが不可欠であること
を示している。

(2)生産性を高めるための3つの要素

以下の3つの要素を組織を構成する一人ひとりが見直し、また周囲に働きかけていくことが働き方改革の本質

①やること:より付加価値が高まることにリソースを注力

👀7つの習慣でいう第2領域ですね。「重要だけれど緊急ではない」活動。タイムマネジメントスキルも欠かせない。

②やり方:成果が上がりづらいプロセスを見直す

👀正確性を維持・向上させつつ、効率化する。最近はDXがブームになっている。一人ひとりのITリテラシー向上が大切。

③やる力:一人ひとりが成果を上げられる技能・要素・モチベーションを身につける

👀自分の願い・想い・価値観に基づいたキャリア自律が必要。自分なりの情熱・ビジョンがあるからこそ、継続したグロースマインドが持てて、知識やスキルを吸収するとともに、勇気を出して行動をとれる。

👀モチベーションの大前提として「健康」は心身ともに大事

(3)私の働き方改革

~筆者の提唱する働き方改革の定義=「私の働き方改革」~

(経営者も管理職も一般社員も)、それぞれの立場で自分の仕事を改めて定義し、自分なりのやること・やり方・やる力を高めていく

個人でできる領域を超えた範囲については周囲に「働きかけていく」

受け身ではなく、主体的に自分の働き方を変えていくことが、従来の組織主導型の働き方改革と違うところ。

主体的になるためには、

一人ひとりが、「○○のため、自分の働き方をもっと良くしたい」というパッション持つことが必要。

「労働成果=労働生産性×労働量」という数式の「成果」を、「人生の充実」と捉え、「自分がやりたいこと(人生における成果)」を明確に抱くことが生産性を高める前提となる。そして、時間を創出する工夫をする。

自分や組織がより充実することに時間を振り向けられるようになるために、各自が自分の職制に沿って自分や周囲に働きかけ、生産性を高めていく

これこそが、「私の働き方改革」

👀私たちには「働き手」としての役割以外にも様々な役割がある。私であれば「私自身」「父親」「夫」「長男」「友人」などなど。それぞれの役割において、人生でどうありたいか(Be)、何を(達成)したいか(Do)、何を手に入れたいか(have)を考えることが大事。
そして、それらの実現のために「今何をしたいか?」「今何をする必要があるか?」という短期的な行動目標まで落とし込み、そのための時間を確保するためのモチベーションとし、生産性を高める原動力とする。
「自分の人生は自分のもの。会社にコントロールされていてはもったいない。誰にも奪わせない。」
燃え尽きて休職した経験者として、人生を主体的に生きることは本当に大切だと思う。

2.働き方改革の進め方

(1)「場」・「型」・「技」の三位一体改革

・「場」
:物理的な空間、ツール、インフラの改革
 例)オフィス改革(フリーアドレス化)、ICT導入

・「型」
:制度やルール、仕組みの改革
 例)在宅勤務制度、評価制度、1on1、複業制度

「場」や「型」を整えても、設計者が期待した通りの使われ方がなされず、本来の目的が達成されないことがある。

なぜならば、結局それらを使うのは一人ひとりの従業員であり、彼らの意識行動変容が不可欠だから。

加えて、従来の働き方を続けても、今求められている仕事の成果は達成できるから。

ということで、最後のピースである「技」を加えた三位一体改革が必要。

・「技」
:一人ひとりの意識・価値観の変化

👀従業員一人ひとりが自分事として働き方改革を捉えないと、いくら「場」や「型」を準備したって形骸化する。限られた人しか使っていないということは狙った風土が醸成できていないということ。
「自律」は本当に重要なキーワード。主体的に取り組むようになってくれるのが組織としても望んでいる姿。
そのためには、多頻度の丁寧なコミュニケーションによって、ミッション(経営理念に結びつきそうな働き方改革の目的や理念があればそれでOK)を一人ひとりの従業員に管理職から落とし込むことも重要だと思う。
次の政治的アプローチでも出てくるが、幹部→管理職→メンバーへと落とし込んでいくことが必要かな。

(2)政治的・論理的・心理的アプローチ

では、実際にどのようにして「場」「型」「技」の三位一体改革を推進呈行けばいいのか。

著者はそのポイントとして、3つのアプローチを掲げている。

①政治的アプローチ

~従来の組織の枠組みを超えたプロジェクト形成と大義名分~

1つの施策の導入に関わる部門は多岐に亘る。もちろん、協力して進めていくことになるのだが、一体的に進めなければ、それぞれのベクトルがずれてしまい、本来の目的が達成できなくなってしまうリスクがある。

そこで、各部門から人材を選出し、専任に近い形で推進プロジェクトメンバーをアサインし、リーダーが各部門を統括することが大切になる。

これにより、「型」や「場」の導入において足並みを揃えることができる。

また、広報担当が高頻度で社内全体へプロジェクトについての情報発信を行っていくことで、「技」づくりも狙うことができる。

経営幹部たちのバックアップも欠かせない。

彼らが働き方改革に強力にコミットし、プロジェクトメンバーたちが社内で支持を得られ、動きやすくなるように大義名分を授けることも重要である。

幹部たちの本気度が、一人ひとりの従業員の「技」(意識)に変化を起こすことも期待できる。

②論理的アプローチ

~5W2Hを意識したゴール設定~

政治的アプローチで紹介したプロジェクトメンバーだけでなく、各部門においても活動計画をしっかり整理することが必要。

5W2Hとは、何のために(Why)、誰が(Who)、どんな施策を(What)、どのタイミングで(When)、どこに向けて(Where)、どういうやり方で(How)、いくら投資して(How Much)を定めることを意味する。

各部門に対して、具体例や進め方のお手本を示してあげることも、彼らの行動を後押しするために有効。

~成果指標(KPI)を定める~

5W2Hにおける、Why(何のために働き方改革をするのか)、すなわちその施策の目的について詳細に定義することを通して、その目的が達成されているかどうかを測定する指標を定める。

「技」(意識)に変化を起こしたいのであれば、やること・やり方の見直しの実践や周囲への働きかけ実践度を測る指標を設定すべき。

組織において「成果」「生産性」の定義が明確になっているか(組織ミッションの明確さ)や、一人ひとりが「この仕事を通じて自分のやりたいこと」が明確になっているかどうか(キャリア形成浸透度、エンゲージメント)なども指標としてオススメ。

③心理的アプローチ

「明らかに会社が変わったと体感」できるこれまでの社内常識を覆すような大胆な施策の実践がポイント。

これにより、一人ひとりの「技」(意識・価値観)の変化を起こすことが期待できる。

プロジェクトのネーミングにもこだわって会社のイメージを振り払う面白いものにすると一人ひとりの興味を引いて、働き方改革に対してポジティブな印象を持ってもらうこと、そして「会社が変わろうとしている」ことを示すことにつながる。

心理的アプローチは、インパクトを与えることによる意識変容のプロモーション施策とも言い換えられる。

3.周囲からの理解を得て巻き込むためのポイント

いろいろと本書では紹介されているが、私が大切だと思ったものを紹介したい。

~自分なりにやってみて上司を巻き込む~

働き方改革を推進する人は、周囲から異端児扱いされることがある。

自分の考えを周囲に丁寧に伝えることが大切になるけれど、その最短の道は「やってしまう」こと。

事前に許可を得るために腐心するのではなくて、まずは一人でできる範囲でやり始め、ある程度の成果を実感できたときに、「こんなやり方を考えてやってみています。続けてもいいですか?」と確認する。

やっていることがイノベーティブであるほど、周囲に伝えるのは難しいので、現実にして見せてあげたほうが共感して貰いやすい。

往々にして、確認する相手は上司になると思うが、上司への持って行き方にもポイントがある。

「許可してもらえますか?」と尋ねると、上司の姿勢が「判断者」になってしまい、上司の中で自信が持てないと許可してもらえない可能性がある。

そこで、上司を共犯者に仕立て上げる。

許可や承諾を仰ぐのではなく、アイディアの上乗せをもらう相手にするのだ。「対話して支援してもらう役割にする」ことが狙いになる。

たとえば、「こんなことしようかと思うんですが、○○に悩んでいて。。。いいアイディアはないでしょうか?」と尋ねるような具合だ。

(補足)本書の用語集

■RPA
・Robot Process Automation
・これまで人が担っていたコンピュータ上の定型的な業務処理などをAIツールを用いて自動化すること

■ERP
・Enterprise Resources Planning
・仕入から販売まで一貫した情報管理システム

■恒常性(ホメオスタシス)
・環境が変わっても今の自分たちの状態を保とうとする傾向

■行動変容段階モデル(トランスセオレティカルモデル)
・人が行動変容に至るまでの段階についてモデル化したもの

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出所:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-07-001.html

■TEE
・Total Employee Experience
・「総合的な従業員体験」という概念。従業員が仕事だけでは得られない様々な経験や人間関係を企業が提供しようというもの。たとえば、副業や課外活動があげられる。

■エフェクチュエーション
・優れた起業家に共通する思考プロセスや行動様式。「5つの行動原理」から構成される。
①手中の鳥の原則
新しい方法ではなく、既存の手段(手元にある資源)を用いてできることからやる。
②許容可能な損失の原則
損失が出ても致命的にはならない許容範囲のリスクをあらかじめ設定。損失量が許容範囲ならチャレンジする。
③クレイジーキルトの原則
形も柄も違う布を縫い合わせて1枚の布をつくるクレイジーキルトに例え、顧客や競合他社、従業員などをパートナーと捉え、一丸となってゴールを目指していくことにコミットしてもらう。
④レモネードの原則
酸っぱくて使い物にならないレモンに工夫を凝らして、甘いレモネードを作る(=価値を持つ製品へと生まれ変わらせる)。発想を転換して予想外の事態をテコにして成果につなげる。
⑤飛行機の中のパイロット原則
前出の四つの原則を網羅した原則でもあり、不測の事態に備えて、状況に応じた臨機応変な行動をする。
出所:https://jinjibu.jp/keyword/detl/1212/

■Society5.0
・AIなどテクノロジーを駆使し、より便利に、より多様な価値を享受できるスマートな社会
・サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)
・狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会

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出所:https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/


次回は、キャリアコンサルタントとして個人と組織に寄与するヒントを得るべく、「組織開発の探究」を読みたいと思っています。

ご覧いただいた方、ありがとうございました!

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