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シベリア鉄道に乗りたい君へ

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はじめに結論

結論から先に書く。

もしシベリア鉄道に乗るなら、お手軽なウラジオストックからハバロフスク間だけで十分。決してウラジオストックからモスクワまで全線乗ろうなんていう酔狂なことを考えてはいけない。

シベリア鉄道


ウラジオストックからハバロフスクまででも 780km あり、横浜から広島まで行くのと同じ距離で半日もかかる。ましてやモスクワまでは一週間。世界最長の路線 9298km はダテじゃない。

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とにかくもう退屈で退屈で、飽き飽きとして、二度と長距離列車には乗りたくなくなるだろう。

長大なユーラシア大陸を、広大な車窓風景を眺めながら、のんびりと鉄道で横断というロマンもわかるが、いかんせん長過ぎる。

シベリアの原野が広がる車窓も、2-3時間も見ていればすぐに飽きる。ひたすら同じ景色が延々と続き、まったく代わりばえがしない。

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現地の人とのコミュニケーションが楽しいのではと思ってる君、甘い。ほとんどのロシア人に英語は通じないし、よほどコミュニケーションが好きな人でもなければ、言葉の壁の高さからすぐに会話は途切れ、一人の世界の殻に閉じこもることになる。ただし読書ははかどる。

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各車両に乗ってるスタッフも、公務員ということもあるのだろうけど、鉄仮面をかぶったかのごとく、ロシア語が話せないこちらには無表情で、サービスらしいかけらはまったくなかった。

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唯一のメリットとしては値段だけだろう。時間はかかるが、一番安い三等のチケットなら、ウラジオストックからモスクワまで 1万8千円程度で行けてしまう。二等で 3万5千円、一等で 6万円くらいだ。

ちょっと偏見が強くなってしまったが、ここから先は、これだけ警告しても、まだ乗りたいという忍耐力がある人、つまりマゾ向けに書く。

シベリア鉄道に乗るにあたって、知ってたほうがいい情報をまとめてみた。ちなみに乗ったのは 2019年 8月 26日~ 9月 2日、ウラジオストック~モスクワまで。


準備

シベリア鉄道に乗るためには必要なものが 2点ある。

ロシアのビザ

シベリア鉄道のチケット


ロシアのビザ

ロシアに入国するためにはどんな形であれビザが必要になる。一般的には 30日間有効な観光ビザを取る。

大使館や領事館が近くにある札幌、東京、大阪以外の人は、ビザの取得には多少の手数料がかかっても、代理店を使ってしまったほうが楽だし早い。取得方法はここでは書ききれないので詳細は以下を参照。


自分は時間にも余裕があったので、オンラインでバウチャーを取得し、同じくオンラインで電子査証申請書を取得し、最後は都内のロシアビザセンターに書類を提出して取得した。全部で 2週間ほどかかるので、申請には余裕を持ちたい。

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シベリア鉄道のチケット

ビザが取れたらシベリア鉄道のチケットを取る。こちらも代理店で取ることは可能だけど、無駄な手数料がかかるし、今はロシア国鉄のサイトを使えばオンラインでペーパーレスで簡単に取れるので、各自で手配することをおすすめする。

やっぱりここには書ききれないので、詳細は下記を参照してほしい。


自分はある程度のプライバシーが欲しかったので、二等の上段の寝台にした。

取得したチケットは、PDFファイルで登録したメールアドレスに送られてくるので、プリントアウトしておけば OK。

プリントアウトは特にしなくても、乗るときはパスポートを見せるだけで乗れるけど、念のため印刷しておいたほうがいい。自分が乗ったときはパスポートしかチェックされなかった。のでパスポートは必携となる。

ロシア国鉄でのオンラインのチケット購入方法を知っていれば、ハバロフスクやイルクーツク、キエフなど、モスクワまでのスポットで途中下車して観光しながら、その都度臨機応変にチケットを買うことができるので、ぜひオンラインでの購入方法は覚えておきたい。


あったほうがいい物

シベリア鉄道に乗るにあたってあったほうがいいものを思いつくまま列挙してみた。

モバイルバッテリー

一等車は各個室に電源があり、二等車では共用の電源が通路に 2-3個あるだけで、三等車など それ以外に電源はない。スマホなどを充電するのならモバイルバッテリーは必携。

自分は二等車だったが、共用のコンセントは目の届かない廊下にあり、数が少ないことから取り合い状態で、あまり充電できる時間はなかった。

しかもずっと見ていることはできないので、モバイルバッテリーの充電に使っていたけど、盗まれないか冷や冷やしていた。

そのへんも想定して、7日分、モバイルバッテリーは 2つ持っていって正解だった。

やっぱりアンカーの製品は、ケーブル類も含めて信頼できるよね。


テルモス(水筒)

シベリア鉄道に水道はないけど、各車両に給湯器があり、お湯は好きなだけもらうことができる。そのためみんなテルモス(水筒) にお湯を入れて自席に持ってる人が多かった。コーヒーを入れたりカップラーメンを作ったりできるのであると便利。

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食器

温かい飲み物が飲めるコップは絶対あったほうがいい。保温性能があるものでも、折りたたみの簡易なものでも。お皿は余裕があれば。


箸やフォーク、スプーンなども、カップ麺を食べることを考えると無いと不便。

シベリア鉄道には食堂車があるので、食事は車内で取れるものの、やっぱりちょっと高いのとメニューが少なくて飽きるので、あらかじめカップ麺やパンを購入して持ち込む人が大半だった。

途中の停車駅でも売店があればカップ麺やパン類は購入できる。ただ、カップ麺を買っても日本のコンビニにように箸は付いてこないので、箸などの食器が必要になる。

自分はスポークというスプーンとフォークが一体化した食器を旅には必ず持っていってる。


ドリンク類

お湯は 24時間いつでも使えるので、作れるドリンク類があればいつでも飲める。コーヒー好きなので、シベリア鉄道に限らず、旅には必ずインスタントの個包装されたコーヒーを持っていっている。


長時間 乗ることになるので、何らかの暇つぶしの道具が必要。シベリア鉄道には Wi-Fi の電波が飛んでるわけでもなく、SIMカードを用意しても大都市以外はほとんど圏外に近いので、ネット環境には期待しないほうがいい。

ので、紙の本でも Kindle 等の電子書籍でもあると便利。ただ充電はできないと思ったほうがいいので、モバイルバッテリーもお忘れなく。

自分の場合、iPhone の Kindle に、常に本は大量にストックしているので、特に読むものには困らなかった。今回はあらかじめオーディブルでオーディオ本も用意してみた。


ワイヤーと鍵

様々な人が出入りし、ロッカーがあるわけでもないので、ワイヤーと鍵で荷物は車両の可動しない箇所と繋いでおいたほうが無難。2人以上で旅している場合はともかく、1人の場合、トイレや食堂車に行ったりと、荷物から離れることも多々あるので、管理はしっかりと。

自分は度の場合は必ず鍵を 3個、ワイヤー 2本は常に持っている。


現金

食堂車などの車内では現金しか使えないので、乗る前にあらかじめ 2-3万円分の現金は用意しておいたほうが良い。もちろん日本円は使えないのでロシアのルーブルで。

途中駅の売店などではカードが使えるお店もあった。

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ウラジオストックでの両替に関しては、下記の記事を参考に。


SIMカード

用意していったロシア用の SIMカードが不良品だったのか、利用を始めて 2日で使えなくなった。そのため、その後は大都市に近づいたら DoCoMo の 1時間で 200円のサービスを利用して、ちょいちょいネットには繋いでいた。

ちなみにシベリア鉄道ではほとんどが圏外だと思っていたほうがいい。使えるのは大都市近郊のみ。


トイレットペーパーとウエットティッシュ

シベリア鉄道に限らず、旅には持っていってると思うけど念のため。トイレットペーパーは毎朝補充されるけど、たまに切れてることもあった。モンベルのトレペは圧縮されていて芯もないのでコンパクトで便利。

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スリッパ or サンダル
やっぱり靴のままだとリラックスできないので、サンダルを履いてる人が多い。楽に履けるものなら、なんでもいいと思う。自分は携帯できるスリッパを旅には持っていってる。


注意点

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時間厳守

シベリア鉄道は意外と時間通りに運行されていた。車両内には全停車駅の時刻表が貼ってあり、到着時間、停車時間、発車時間がこと細かに記載されていた。

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シベリア鉄道は、日本の鉄道のように発車ベルも鳴らなければ、アナウンスもなく、無音でいきなり発車するので注意が必要。停車時間が 20分以上ある停車駅以外は降りないのが無難。

ちなみに各車両に 1人付くスタッフに認識されていれば車両の乗り降りは自由にできる。認識されていないと毎回パスポートのチェックで名前を確認される。

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滞在場所

ベッドの上段に席を取った場合、天井までのスペースがあまりないので、まず座って過ごすことは厳しい。

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下段の場合は机もあるし、スペースは比較的広く使えるので、普通に座っていることもできる。

ただ、机が下段にしかないので、昼間は上段の人が机を使うために、下段のベッドに座ることもある。

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ある程度プライバシーを確保したい場合は上段の方が良い。自分は上段の席を取り、昼間は食堂車で紅茶やコーヒーを頼んでたむろしていた。

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食堂車

朝の 9時から夜の 12時までやっていた。朝はモーニングメニューが安価。

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昼以降のグランドメニューはだいたい 1000円近くする。

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ビールも色々種類があって飲める。地元のビールが一番安く 200㍔くらいから。

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終わりに

シベリア鉄道に乗るにあたって必要なことはすべて書き出したつもりである。必要なのはモノではなく気持ち。長時間乗るんだという認識をあらかじめしておけば、あとは気軽に楽しめると思う。

Enjoy!! よい旅を!!

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