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2022.GWに観た映画

先月の話になりますが、おかげさまで第5回ゆいシネマ上映会『サンマデモクラシー』『MINAMATA-ミナマタ-』は無事終了いたしました。色々と気をもんでいたものの、なんとこれまでで一番のお客さまにお運びいただきました。あらためてご来場くださったみなさま、ご協力くださった全ての方に心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。次は6月24日(金)〜26日(日)を予定しています。
もうふた作品決まっているのですが諸事情によりお知らせできず…どうぞお楽しみに。

3月から続いていた上映会リレーをやりとげた充足感と疲労をそのままカバンに詰め込んで、数日後に上京(残務ちょっと慌てました)。ゆいロードシアターでもライブをしてもらったことのある三線弾きの中川樹海さんのお誕生日ライブや追っかけ続けているパスカルズの久しぶりのライブを堪能したり、マームとジプシーの沖縄を題材にした作品『Light house』なはーとのこけら落としシリーズのひとつでもあった)を観劇したり、にじ画廊死後くんさんの個展「十万億連休」を観たり、小高製本工業株式会社跡地で開催されていた布施琳太郎氏によるキュレーション展「惑星ザムザ」に行ったり、友人知人とたくさんお酒を飲んだりただ散歩したりと充実した休暇を過ごしてきました。

5/8 井の頭恩賜公園

映画は4本。ひとつめ、高田馬場にある名画座早稲田松竹でやっていた高畑勲監督特集の『平成狸合戦ぽんぽこ』。初見の時はまだ高校生、田舎にヘキエキしながら暮らしていたので里山の価値など微塵も解しておらず「たぬきはかわいいしかわいそうだけど説教くさい話だな〜、都会人の懺悔か」と思ってしまっただけだったのですが、約30年の時を経て再見、泣いた〜。ナミのたぬきたちが宝船で賑やかに極楽浄土を目指す絶望と諦念。男鹿和雄さんの描く70年代〜90年代の多摩丘陵をスクリーンで観られたのもよかったです。
でも何よりの感情移入ポイントがあり…実は今回泊めてもらった友人宅(武蔵野市)の敷地内にはつがいのたぬきが住んでいて、頻繁に現れると聞いていたのです。リンクしすぎ!泊めてもらって数日は雨天のせいもありなかなか現れずドキドキしながら毎日待っていたのですが、まさに映画を観る前日、ついにフカフカしたたぬきがひょっこり現れたのです。ウワー。カワイー。
そのカワイーたぬきが主役の楽しくも苦しい映画。上から目線で気楽なこと言ってられない、人間は後から来たんだということを忘れずにいたいです。

検索していたら素晴らしい論文がアップされていたのでリンクを貼らせていただきます。いいのかな。

論文:多摩丘陵のニュータウン化― 『平成狸合戦ぽんぽこ』における狸が意味するもの― 萩原 由加里(帝京大学文学部日本文化学科)

2、3本目はアップリンク吉祥寺で観ました。朝から『パリ13区』。『燃ゆる女の肖像』が好きだったので楽しみでした。いわゆるフォトジェニックな古都パリではなく、高層住宅が連なる再開発地区で、アジア系移民も多く暮らすという現代のパリを象徴する「13区」を舞台に3人の男女が織りなす物語がモノクロで描かれます。そうであれば、もうちょっと風景が観たかったし、カミーユの本心がもっと知りたかった…という感想。エミリーはいちいちとっても魅力的だったしノラの大変さ(ざっくり)が救われた点は本当によかったな〜と思いました。


『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』、とても好きでした。泣いた〜。南仏モンペリエ(またフランス)のアパルトマン最上階のお向かいの部屋に住む恋人同時の老女マドレーヌとニナ。家族への愛と恋人への想いに揺れるマドレーヌ、翻弄されるニナ。ふむふむ…と観ていたら予想外の展開に。主演のバルバラ・スコヴァとマルティーヌ・シュヴァリエは70代の大ベテラン俳優であり、監督はこの作品が長編監督デビュー作となる40代のフィリッポ・メネゲッティというところもすてき。ふたりのかわいい計画が叶ってほしい、今、先延ばしになんかしなくていいのに!と、願うように観てしまいました。自分ももう晩年を生きる身の上、ますます自由になっていこう…としみじみ思いました。


最後は吉祥寺オデオンで『カモンカモン』。こちらもまたモノクロでした。信頼する映画好きの友が「ジェシーがとにかくかわいい」「あんなのが飛び跳ねてるだけでもう最高」「育てたい」と偏った方面から絶賛していたのでワクワクして観ました。確かにジェシーかわいい!聡明だけど自分を表現する方法が分からなくて気持ちを持て余す9歳をウディ・ノーマンが好演。
主人公のジョニー(ホアキン・フェニックス)は独身、伯父として、親友としてジェシーと親密になっていき、ジョニー自身も成長していきます。ラジオジャーナリストとしてアメリカ中の子どもたちにインタビューしてまわっているのですが、そのインタビューは本物だそう。未来のこと、人生のこと、今のことを真摯に語る子どもたちの言葉に胸打たれました。それに比べて奔放なジェシーよ。平素接している(という設定の)子どもと全然違うもんだからジョニー大変。母親ヴィヴ役のギャビー・ホフマンもすてきでした。
ちなみにウディのメッセージ動画を見たらめちゃくちゃしっかりしており、「あれやっぱ全部演技なの?!」とゾッとしました…

今回図らずとも全体的に「年齢を重ねても大人にならない」がテーマというか、「誰でも何歳でも初めてのことは難しいし、分からないことは分からないしできない、それでいい」というような、ポジティブすぎない、「明るくて元気いっぱい!」という自分があまり馴染めない方面とは真逆の方からしみじみ励ましてもらえる映画体験となりました。
次は「明るくて元気いっぱい!」な映画を観たいと思います。

『TITAN-チタン』は?『アネット』は?というと、友の感想を聞いて満足してしまいました。『ドクター・ストレンジ』の新しいのも『シン・ウルトラマン』も観たかった。

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