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D2Cブランド事業者必読!10月1日スタートの「ステマ規制」の落とし穴。ECサイトでの対応を解説

本日10月1日から始まる「ステマ規制」についてD2Cビジネスの視点から解説していきます。

いわゆるお金や実際の商品を渡し、あたかも自分で買ったように思わせた状態で宣伝することを「ステルスマーケティング」通称「ステマ」と呼びますが、10月1日から正式に規制が行われます。我々D2Cブランド、ECサイト運営社、ファッションブランド事業者はどのようなことを理解し、どのように対応すればいいのでしょうか?

本記事を書く前にさまざまな解説記事やYouTube等、またはこの領域に詳しい弁護士から直接話を聞きましたが、わかりやすく漫画で解説してくれている以下の記事もあります。ぜひ参考にご覧ください。


10月1日からスタートするステマ規制とは?

いわゆるお金や実際の商品を渡し、あたかも自分で買ったように思わせた状態で宣伝することを「ステルスマーケティング」通称「ステマ」と呼びますが、10月1日から正式に規制が行われます。
意外と知られていないのが、宣伝のみならず自社ECサイトやAmazon、楽天などのレビュー欄などあらゆる箇所が対象となる点。インフルエンサーや芸能人などだけではなく、フォロワー数などに関わらず友人・知人などに依頼する場合もステマの対象となり、その場合案件として依頼されたことを明示していなければステマと見做されます。

それも当然、ステマとは、消費者宣伝と気づかれないように行われる宣伝行為のことです。

余談ですが、知り合いの某弁護士は「とあるインフルエンサーの人のSNSの過去のポストほとんどがNGと見做されるであろう」と言っていました。それくらい影響範囲の広いものであるし、過去にはグレーとされていたものが、今回明確に違反行為とされるということになり、改めてインパクトの大きい規制なんだなぁと感じました。

理解しておくべき2種類のステマ

ステマには大きく分けて2種類があります。
1つ目は「なりすまし型」、2つ目は「利益提供秘匿型」です。

「なりすまし型」とは企業の社員などが所属を隠し、自社とは関係のない第三者になりすまして自社商品の宣伝をすることです。2021年にはTwitter(現X)で約3.8万人のフォロワーを持つ「𝒴」という美容系情報を発信するアカウントがオルビス社の広報の社員ということがフォロワーから発覚し大炎上したという事件もありました。

なお、蛇足ですが、この一件が判明してからのオルビス社の素早く誠実な対応は必見で、むしろ個人的には企業への好感度が上がりました。もし何かあった際に参考にしたい事例でした。

もう一方の「利益提供秘匿型」はお金や商品を受け取ったことを隠してインフルエンサーなどの第三者に宣伝してもらうことです。これまでもステマへの問題点を指摘する世の中の風潮から、インフルエンサー等にも案件を依頼する場合PRであることの表記をすることが良いとされてきましたが、PR表記をしない投稿の方がコンバージョン数が何倍も違う、といった過去の実績を持つ企業も多いため、企業からしてみれば背に腹は変えられずに隠密にPRであることを隠すよう依頼するという力学が働くというのもわかる気もします。(ダメなんですけどね)

これまでは不当表示に関しては景品表示法で規制されていましたが、ステマを直接規制する法律はありませんでした。しかし10月1日から正式に規制が開始されます。景品表示法第5条第3号の規定に基づき、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が規制対象となります。
法令違反をすると消費者庁から指導を受けたり、再発防止などを命じられる「措置命令」が行われたりします。なお、ペナルティは特に明示されておらず、課徴金の対象になっていません。不当表示の場合は課徴金が指定されており、措置命令に違反した場合には、2年以下の懲役、300万円以下の罰金の罰則があります(これらが両方科されることもあります)。また、事業者が法人の場合は、最大3億円の罰金が科される可能性もあります。
今後判例が出てくれば課徴金の事例も出てくるかもしれませんが、今のところは措置命令の結果が公表され、企業イメージ・ブランドイメージの毀損になることが1番のリスクと考えられる、という見方が強いです。B2Cビジネスの場合、企業イメージ・ブランドイメージは命ですからね。
おそらくこういう新しい法律の施行の場合、著しく法令違反した企業をある種の「見せしめ」にし、判例として認知させていくという流れになっていくと思われます。「見せしめ」の対象は認知度の高い大きな会社のケースが多いと思いますが、事業の規模感はどうあれ、業界内で認知度の高いブランドは改めて気を引き締めないといけません。(もちろん小規模事業者が違反していいわけではない)

なお、少し勘違いをしている人も多いのですが、このステマ規制はあくまでも事業者(今回の場合はD2Cブランド運営者)に対する規制であり、インフルエンサーは基本的には対象ではない、とされています。措置命令がインフルエンサー側に出ることは今のところはありません。(あくまでも今のところ)
もちろん炎上リスクは高まり、好感度が重要なインフルエンサーとしては自身のブランド価値毀損に繋がってしまうので、当然無視すれば良いというわけにはいかないです。

D2Cブランド・EC運営社側の対応事項

ではステマ規制に対して我々D2Cブランド運営者が実施すべきことを解説します。
1つはインフルエンサーマーケティングを実施する際に必ず事業者のPR案件であることを明示してもらうこと。具体的には事業者がインフルエンサーに商品を宣伝するよう案件を依頼する場合や、商品の販売を担当する従業員が商品をSNS等で宣伝する場合には、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」などの文書を明示する必要があります。YouTubeやInstagramなどには「ブランドコンテンツ機能(タイアップ投稿)」の機能がありますので、これを活用するのも手。
また「〜社から商品を提供を受けて投稿しています」といった文章でもOK。表記の仕方の自由度は想像以上に高く、最近見るのは「PR」表記ではなく、こういった「〜ブランドから商品をいただいたけど、これが凄く素敵」という表記を見る機会がとても増えました。受け取り手から見れば、これが一番抵抗感のない表記の仕方なのかも。ただし商品だけでなく金銭も受け取っているならこの投稿は今後NGとされる可能性もあります。

2つ目に理解しておくことは、広告であるということをわかりやすく明示することです。たくさんのハッシュタグの中にわかりにくくPR表記を混ぜ込むことはNGとされます。

3つ目は上記の点をインフルエンサーや従業員に対して、しっかりと社内周知することと社内ルールを明文化すること。そして契約書等に明記する必要があります。

落とし穴注意!過去の投稿も対象です

ちなみに、過去の投稿もこのステマ規制の対象になります。過去にPR表記のない投稿をインフルエンサーや従業員がしてしまっている場合、PR表記をしてもらう編集を依頼するか、投稿を削除してもらう必要があります。この辺りも落とし穴。
法律が過去に遡って適用されることはありませんが、施行日後も表示が存在していて、事業者がその表示の作成者(インフルエンサーなど)と連絡がつくなど、事業者が表示を管理できる状態にあるなど事業者の表示であると判断される実態にある場合は、ステマ規制の対象となる可能性がある、とされています。要は、施行日後に表示されていて、事業者が表示を管理できるか、がポイントになると言える、ということです。このあたりは自分も法律の専門家ではありませんので、自社が怪しい場合は詳しい弁護士に意見を聞いた上で対応を決めましょう。

ステマ規制は健全なブランドが育つ上で不可欠

個人的にはステマなどルール違反を行ったマーケティングに嫌悪感を抱いている一人なので、消費者保護としても素晴らしい規制。健全なブランドが日本から育っていくための素地として、不可欠な対応だったと思います。お役所さんグッジョブであります。
まずは社内ルールを作り周知することでステマを是正する取り組みを会社内で実施していき、健全なマーケティング活動を行なっていく素地を作っていきましょう。

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僕はFABRIC TOKYOというファッションブランドを運営している立場として、日々D2CビジネスやECサイト運営の戦略・ノウハウを研究しています。実践者だからこそ話せる内容を毎週noteで発信しています。また、D2Cブランド事業者が200名近く参加するオンラインコミュニティも運営しています。
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