見出し画像

スタートアップの執行役員に求めるものと制度を作った背景を言語化してみた 〜Findy編〜

Findyでは1月に執行役員制度を始めました。創業から5年半が経っており、最近のスタートアップでは創業2〜3年くらいから役員制度を作っている企業も増えている中では遅い方ではないかと思っております。

執行役員制度を創業5年半で作った背景

これは以下の3点が前提としてあります。
- 必要になったら作る、必要になるまでは作らない
- 過去の経験ではなく自社で結果を出した人がなる
- 執行役員はあくまでそのタイミングでのロールであり、執行役員になるならない、執行役員ではなくなったタイミングでも前向きにFindyでチャレンジできる機会を作りたい

一つずつ説明していきたいと思います。
まず、執行役員制度に関しては開始と同時に階層を一つ増やすことになってしまいます。
スタートアップというのはできる限りトップと現場が近づけ、密にコミュニケーションを取りながらスピーディーに事業に進めていくことが、特に創業初期には求められます。

だからこそ、安易に階層を増やしたくないものです。
また、一度執行役員になった場合に、そこから退任することが将来発生すると、退職リスクにつながるかもしれないので慎重にという意見も、ボードメンバーからもらいました。

このタイミングで必要になったのは、間違いなく今期に向けての組織規模の拡大です。執行を取締役に代わって責任を持てる人が現れることで、役割と責任の所在がクリアになり、より早い意思決定と事業進捗が実現できると考えました。

2つ目の結果を出している人になって欲しいということです。入社時点から役員になるという人も他社では見たこともあります。それはそれで悪くはないのですが、本当に実力がある人なら入社時の役職なんて後々上げれる自信があるのでそれほど気にしませんし、元々いるメンバーも実力を見てからの方が納得感が高い人事につながると思っています。

特に今の数十から100名を超える規模ですと、お互いの顔も分かるタイミングなので、納得感を持って、新任の役員をみんなで支えていくというのはとても大事だなと思い、そのタイミングを待っていました。

3つ目の執行役員はあくまでそのタイミングのロールであるという点です。サイバーエージェントさんなどはCA●●と名付けて、役員を2年で選任し定期的に交代していく制度で有名です。ただ、サイバーさんがすごいのは元々役員だったメンバーが異なるロール、例えば新規事業を立ち上げ子会社の社長などになって残っていることだと思います。

役員にまでなるエネルギーあふれる人、そしてカルチャーも体現できる人だからこそできることも多いはずですが、多くの企業では役員の退任=退職になってしまっているケースが多いのではないでしょうか。単なるロールであると思えば、めちゃくちゃもったいないですね。

また、当然役員になりたい人は他にもいるはずです。彼らにとってもロールであると認識できることは、いずれチャンスがあるというメッセージにもなります。なので、しっかりとこの辺りが伝わるコミュニケーションをした上で制度設計をしたいと考えてきました。

執行役員に求めるものを言語化

以下は社内にも公開している原文ですが執行役員に求めるものです。これを作成するにあたり、Findyのエンジェル投資家(上場企業経営者)や先輩経営者、Facebookのウォールでもヒアリングをしながらまとめて見ました。

こちらのFacebookでのコメントも面白いのでぜひ
https://www.facebook.com/yuichiro826/posts/10159454789631764


Findyのビジョンである「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる」を5年以内に国内で、10年以内に世界で実現するために事業と組織の非連続な成長を牽引すること
取締役の価値観や行動を言語化し、会社の中核として特定の分野の執行を任せられることができ、かつその結果として社会への貢献と社員の幸せ、会社の利益をもたらすこと
長期的な事業と組織の成長のために、幹部や現場のエース候補を魅了し、採用及び育成できること
Findyの5つのバリュー「前向き」「誠実」「チームワーク」「スピード」「No.1」を体現する存在であり、かつ高いコンプライアンス意識を持って、従業員の模範かつ健全な組織運営を率先する存在となること

事業と組織の非連続な成長を牽引する

まず最も大事なことはビジョンの実現に向けて「非連続な成長」を牽引することです。はい、これはラクスルCOOで前々職BCGの大先輩である福島さんからいただいた言葉です。数ヶ月に一度ランチにお誘いして、しかも奢っていただきながら、Findyの事業について相談させていただいています。(本当にすいません。何で恩返しして良いのか。)

スタートアップで外部からの資金を受け入れている=非連続な成長しかありえない、というのは本当にその通りだと思います。また、我々の実現したいビジョンを本当に数年〜10年程度で実現しようと思うのであれば連続的な成長では難しいはずです。


取締役の価値観を言語化でき執行を任せることができる、その結果社会への貢献と社員の幸せ、会社の利益をもたらす

まず前半部分ですが、取締役の価値観を言語化していくこと。これは上述のFacebookの投稿で前職レアジョブCOO安永さんがコメントに書いてくれています。スタートアップは多くの企業が創業者=取締役であることが多く、創業者が事業の牽引役として率いてきた結果、一定の成長を実現してきた企業が多いはずです。

ただ、会社が大きくなると1人でできることは限られます。当たり前ですが、自分の言葉もなかなかメンバーに直接届ける機会が減っていってしまいます。全員とランチにいったり、飲んで語ったりできれば良いのですが、こんなご時世だし、なかなか長い時間が取れないのが現実です。そんな時に、自分が考えていること、Findyの将来について認識をすり合わせた上で、語ってくれる存在はとても大切だと思っています。

また、その執行が社会への貢献と社員の幸せ、会社の利益をもたらすものであることが大事だと思っています。近江商人の三方良しの概念に近いのですが、やはりこの3つをしっかり意識しながら、高い視座で仕事に取り組んで会社を牽引して欲しいと思っています。

幹部や現場のエース候補を魅了し、採用及び育成できる

スタートアップは人が全てです。まだ、何十年も続くような設備やブランド、歴史という資産は持ち合わせていません。むしろ、そうしたレガシーを”これから”作り上げていくことに挑戦していく人が集まった組織です。だからこそ人が大事。

そして執行役員には、その中でも自社の今後を牽引していく人の採用と育成にコミットして欲しいと思っています。やはり人口減少が進む日本では、優秀な人材の採用こそが最も難易度の高い課題です。日々、エンジニア採用を通してクライアントの採用課題に向き合っていますが、本当に難しい。この難しい問いに対するシンプルな答えはビジョンを研ぎ澄まし、事業を伸ばし、そして魅力的に振り向いてもらうことです。優秀な人ほど優秀な人と仕事をしたいものです。

バリュー体現と模範的な存在になること

執行役員は会社のロールモデルにもなってほしい存在です。Findyの場合は大事にしたい価値観はバリューに集約しているので、バリューを体現し、社内でも模範となる存在になってほしいと思っています。

また、コンプラを意識し、健全な組織運営を目指していくことも大事だと思っています。将来、公開企業を目指していくのであれば、今からその水準を意識して望んでいくことが大事だと思っています。最後の点については執行役員はもちろんそれ以外のメンバーにも意識してほしいことですが、繰り返しの意味をこめて社内メッセージで記載しました。

やっぱり嬉しいのはユーザーやお客様の声

ちなみにこの執行役員制度の発表で一番嬉しかったのはこの画像です。今回昇格した事業サイドのリーダーのFaceBook投稿ですが、142件のコメントがついていることです。本人の返信もあるので半分弱が周囲からのコメントだと思いますが、その中でも目についたのがユーザーやお客様の「おめでとう」がたくさんあったことです。

ダウンロード

執行役員に求めるものなどを色々と書いていますが一番大事なことは、エンジニアユーザーやクライアント企業に必要とされるサービスを提供し続けることで、その最前線にいるメンバーが実際に普段向き合っている方々から祝福いただけるというのは代表としてこんなに嬉しいと思うことはないなと感じました。

以上、社内向けも含めてですが、執行役員に求めるものと制度を作った背景を言語化してみた、という内容でした。スタートアップの役員制度、起業して数年の起業家は大なり小なり悩んでいることだと思いますし、自分もその一人でしたが多くの先輩に御指南いただき、ここまで整理できました。微力ながら、自分の頭の中のプロセスを公開できればと思いnoteに書いてみました。