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人は、誰かに何かを伝えたくて写真を撮る。

【1/21幡野さんのワークショップにてメモ】

160km/hの豪速球でストライクゾーンにいれようとしない。
(=プロの真似事はしない。)
「うまい」ではなくて「いい」写真を撮ること、さらにストライクゾーンにいれることを目指す。

ストライクゾーンとデットボールを知る。

「プロの真似事ではなく考え方を変えること。概ね正解と明確な不正解を知ること。」

頭で情報として知っていても、実感できずにいて身になっていなかったこと。
これは今後に活きる1番の学びだった。

野球なら、
球のにぎり方、フォーム、道具の選び方、練習方法、野球以外の時間の過ごし方、果ては運も。
「うまさ」を追究するためにはたくさんの要素が絡み合っていると思う。
少年野球か草野球かプロ野球かメジャーリーグで、環境や人、求められるものも「質」もまったく変わってくると思う。

それらを状況に応じて、一つ一つときほぐしながら自分にあったカタチを模索して身体にしみこませて、蓄積していく。長い時間と継続的な練習。成功と失敗を繰り返しながら、「好き」と「うまくなりたい」の熱を保ち続ける必要がある。
言うは易し、行うは難しで、
料理や写真、美容師の仕事も「技術」や「うまさ」はどれもおそらく同じようなものだろうと思う。

自分のフィールドで考えること。
そうすると、どの方向を目指せばいいか自然とわかる気がする。

写真以外の自分のメインストリームでも通じる、とても大切なことに今回のワークショップで改めて気づくことができた。

カメラにつけたとき、なんとなくこれがいい!と思ったレンズ。幡野さんにいい選択だと褒めてもらえて嬉しかった。



2024年1月21日。
幡野広志さんのワークショップ
【いい写真は誰でも撮れるその2】に参加した。

もちろんワークショップその1にも過去に参加した。その1は写真を撮ることの入り口に立ったとき間違った方向に進んでいかないように進むべき方向を知ることができる。そのために必要な装備や考え方が手に入る。
急な例えになるけど、ドラクエでいうところの「旅立ちの地」(ドラクエ3であればアリアハン、6であればライフコッド)で、村人たちからあやふやな情報を聞いて回る前に、世界を救ったことのある勇者が丁寧にわかりやすくこれからの冒険について指南してくれるようなそんな感じだと思う。
ちなみにドラクエは6が好きだった。

その2は「もしもその先にある技術を追究するなら」その道しるべとなる実践方法の「さわり」。料理でいうところの「秘伝のタレ」の基本を学ぶワークショップだった。
ドラクエでいうなら、「レベルの上げ方,モンスターの効果的な倒し方」の初歩を学べる感じだろう。
いきなりメタルスライムを倒そうとしても倒せないい。倒せば大きな経験値が得られるが、あまりの素早さでまず逃げられる。そのステージにいくにはレベルを上げる必要がある。
塔を守る中ボスを倒すときも、ルカニで敵の防御力を下げ、味方にはスカラで防御力を上げ、攻撃は主人公と戦士が集中して行うという保守的ながら確実な戦略をよく選んでいた。格上の相手に正面から殴り合うより、正しく努力して工夫をこらしたほうが効率的だ。
そういうことを知ってると、成長する方向を間違わなくて良くなるし、何より冒険が楽しくなる。

気づけばドラクエの説明のほうが多くなってしまった。FF派の人には非常に申し訳ない。どちらも未経験の人には、ひとまずドラクエをやってみることをおすすめしたい。

つまり、
何かを習得したり、インプットするときに、
「どこで学ぶか、誰から学ぶか、何を学ぶか」はとても重要に違いない。

稀にいる独学でことを成す天才もいるかもしれないがそれは例外としたほうがいい。

カメラを買った去年の6月。最初に撮ったのはカメラ屋からでてすぐ目があった大谷選手。天才という言葉すらちょっと違う気がする規格外。


僕は、3歳から高校3年生まで競泳選手だった。最高成績が、関東大会出場という選手だった。たぶんあまりすごくないほうだと思う。早く泳げるようになりたいとそれなりに努力はしていた。やはりそれは、「それなりの努力」でしかなかったと今思う。やり方を間違えたり、インプットを失敗すると成果もあがらないうえに、楽しくなくなってしまった経験が僕にもある。人としての来世があるなら、水泳はほどほどにバスケットマンになりたいと思ってる。

カメラを持っていてシャッターを押せば写すことができる「写真」を、水着を買い、近くにプールさえあれば始められる「水泳」に例えてみるとどうだろう。

今からオリンピックの金メダリストを目指す人と、「楽しく競泳をしたい」と思ってる人は、スタートは同じでもやるべきことはまったく違う。
買う水着すらも違う。

どんなコーチに習うか、どんなスイミングスクールにはいるか。
オリンピックに出たいならオリンピック選手を輩出した環境、コーチやそれに近しい人を探したほうが良さそうだ。

スイミングスクールにいってコーチに習う場合、その人のスイマーとしての経験や練習メニューを作成したり、コーチとしての技量やコミュニケーション力、考え方に左右される。

未熟であっても選手を育成すること、コーチとして成長することを、真摯に取り組んでいる人を見つけることができれば御の字だが、ネットの情報や口コミなど総合的にみても、「運」の要素が大きい。

今の時代はSNSや動画配信サービスが充実している。
「泳げるようになる」だけであれば、情報は溢れている。
下手をすると、間違った泳ぎ方をしている人、そもそもろくに競泳をやったことがない人、なんなら水に入ってもいない陸上から泳ぎ方にあれこれ言っているだけの人からの情報を鵜呑みにしてしまうかもしれない。

だから、「どこで学ぶか、誰から学ぶか、何を学ぶか」はとても大切だと思う。


個人的にはラブレターを心からrecommendしたい。


幡野さんは最高の先生だと思う。

そしてここだけの話、勝手に師匠だとおもっている。たぶんワークショップを受けた人の中でそういう人が何人もいると思う。
(業界の師弟関係とは関係のない、片思いのようなものだと思ってほしい)

幡野さんは間違いなく一流のプロのフォトグラファーで、かっこいい写真家だ。本も書いている。家族を大切に、好きな仕事をしながらしっかり働いて、たぶん美味しいものをたくさん食べている。
かっこいい大人だ。
写真の世界の「一流」も「プロ」も明確に定義できないけどそう感じる。

拙い感覚ではあるが、フォトグラファーとしてたくさんのお仕事をされていて、雑誌やweb上などで拝見する写真はどれもかっこいいし、見たときについどうしてこう撮ったんだろうと思いを馳せてしまう。

当然僕は、「技術的にうまい」の基準なんてほとんどわからない。【「うまい」の基本中の基本である「3つの大きな要素をおさえている」ことがプロのフォトグラファーの最低条件らしい】と、かろうじて知っている程度。
もちろんこれを聞いたのも幡野さんのWSでのこと。
残念なことに今のところ、僕がその他のフォトグラファーの方から確認をとって真偽を確かめるすべがないので、ひとまずそろそろ発売するワタナべアニさんの本を待つしかない。(1/31発売予定)

間違いなく言えるのは、幡野さんは様々な事情を勘案して、わかりやすく誠実に教えてくれる。
自分が身を置いている世界のことや、これまでの経験や、そこで得た知識や技術を。
情報を受け取った人たちが写真を撮ることで幸せになるように。写真を撮ることが楽しくなるように。

僕も写真を撮ることが楽しいし、視えるものが変わって毎日が豊かになった。これはワークショップに参加したことがあるたくさんの人が証言してくれることだと思う。

昨年出版された本、「うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真」にも書いてある通り、写真作家としての写真展や写真集などの経歴、著書にある写真をみれば、きっと多くの人が素敵だと思うはずだ。というかそれらが素敵なことはすでにだいぶ知れ渡っている。この本は僕も紙と電子で一冊ずつ購入した。先日、お世話になっているカメラを持ってる先輩にこの本を贈った。居酒屋で飲んでいた時だったのだけど、隣の席の母娘のお母さまが幡野さんの名前をさして、「私この人の本好きよ」と帰り際に呟いて帰って行った。なんだか僕が褒められたわけでもないのに嬉しい気持ちになった。

室内。光が混ざっていると現像は難しい。
白黒にしたいところだけど本の色味を消すわけには。。


思えば、
幡野さん知るきっかけになったのは「最後の狩猟」というweb記事だった。(今は見ることができなくなっていた。またどこかでお目にかかりたい。)

雪景色の中、口元に手を当てている女性の写真がサムネイルだった。その写真にまず惹かれた。ひらいて読んだら衝撃的なほど綺麗で生々しい写真とその写真にぴたっと寄り添うように静かで誠実な力強い文章がスルスルと入ってきて、心を打たれた。

「これができるようになりたい」

それがどれだけ大変なことか本当になんにも知らないでただ漠然とそうおもった記憶がある。
それから、なんとなくTwitterをフォローしていた。
時間が流れて、いつのまにその中で写真のワークショップがはじまったことを知って、参加できたのが2023年6月だった。

かの有名な紅まどんな。こんなにジューシーなみかんは初めてだった。お正月に配った家族みんなから大好評。


6月のワークショップその1があまりにも楽しくて、その後ほぼ毎日カメラを持ち歩いて写真を撮った。その後、忘れっぽいのもあり、11月のver1.5と1月のその2と、大人気ワークショップなので大変恐縮ではあるが、全身全霊全速力で予約して3回も受けさせていただいた。
諸情報の事前登録、純粋なフリック入力のスピードと情熱だけで毎回なんとか滑り込んでいる。
はぐれメタルもびっくりの素早さだと思う。

このワークショップは幡野さんを中心に4人体制で運営されている。

本の編集者であるポプラ社の辻 敦さんはWSの第1回の参加者でもあり、毎回のワークショップにいらっしゃる。Xやnoteでの文章や写真は素敵だし、実際お会いすると気さくな良い人だと感じると思う。
辻さんが発信している情報を見ると、こんなふうに写真が上手くなりながら、本ができあがっていくんだ。というのがよくわかって楽しいし勉強になる。
3回も顔をあわせているからなんだか勝手に親近感がわいている。

ワークショップでは、昼食がでる。この昼食はand recipeの小池花恵さんが手作りしてくれる。
ワークショップの午前中、幡野さんの後ろでは小池さんが料理をしている。良い匂いがして、そっちも気になる。どうやって作ってるんだろうと思うくらい、おいしい。特におにぎりと卵焼きは絶品だった。

このおにぎりたちを本当に美味しそうに撮れるのがプロ。
僕らはまず、見たものを真ん中で撮る。


先日のワークショップの後半、小池さんは幡野さんの話を聞きながらモニターを後ろから眺めていた。首を傾けてなんとなく画面を見ている時に、ハッとするほど、きれいに切り揃えられたボブスタイルが抜群に小池さんに似合っていて素敵だった。きっといい美容師さんがカットしているんだろーなと、感心した。
ワークショップの事前の詳細なやりとりは小池さんとメールで行う。その文章は、固すぎずなれなれしくなく、優しくて安心する。ワークショップ3回分のやりとりをすると余計にそう感じる。
僕は美容師なので日頃メールでのやり取りをすることは少ないけど、是非見習いたいところだ。

狩野智彦さんは、おそらくお弟子さんだ。詳しい立ち位置はわからないけどたぶんそんな感じ。
かっこいい写真、特に食べ物を美味しそうに撮る人だと思う。WS中も幡野さんがたまに「よく知ってるね」というくらい詳しいこともあって感心する。あと、気働きが素晴らしいなとワークショップで動いてる狩野さんをみて何度も思う。stand.fmで幡野さんがやっているラジオ「写真家のひとりごと」で狩野さんは聴きたかったことを質問してくれる。またたくさん質問をして、幡野さんがそれに応える回を楽しみに待っている。

幡野さんをはじめとするこの4人体制で運営されていて、代々木上原のマンションの一室でキッチンを背景に、幡野さんから写真のことを学んでいる約7時間が、僕はとても好きだ。

会場のand recipeは秘密基地みたいで居心地がいい。
生まれた年と月のvogueがあって思わず撮った。
今度は見せてもらいたい。


写真を撮ることはとても楽しい。
そのあとに控えている、「セレクト」と「現像」は奥が深すぎる。そしてその時々によって変わるらしい。
最近は少しずつ楽しくなってきたし、やればやるだけ疑問も湧く。勉強は必須だし、自分のスタイルみたいなものを見つける醍醐味はそれなりに数をこなさなければ味わうことはできなさそうだ。

これであってるのか?
これはいい写真なのか?
たまに不安になったとしても、ワークショップや本を通じて立ち返る基本を教えていただいたから、迷わなくてすみそうだ。
ドラクエでもこれ以上進むと危険だと思ったら、一旦キメラの翼やルーラで引き返すに限る。

ワークショップその1もその2も毎回学びがたくさんあった。
それはきっと各回ごとに幡野さんが少しずつ内容や伝え方を変えて常にブラッシュアップしているからだった。
朝の10:00〜17:00過ぎまで、お昼を除けば幡野さんはしゃべりっぱなし。
内容も熱量もボリュームたっぷり。
あれだけ喋ってたらコカ・コーラゼロも飲むし、マンゴーフラペチーノもスイーツも必要だと思う。
そのおかげで、参加した人たちは次の日からカメラをもつのが楽しみになって、どんな写真が撮れるかとワクワクする。

ワークショップで学んだことや気づいたことを反芻しながら、しばらく実践し続けて、また疑問が湧いたり、軌道修正が必要になったりする。自分で考えてもみるけど、それでもわからなくなったらきっとまたワークショップに申し込んでしまうと思う。
「いい写真」にその先があるなら、
もっと見たいし知りたいしやってみたいじゃないか。

ちゃんと話を聞いてなきゃいけないのに、
「かっこいいなー」と思って隠し撮りしてしまった。



写真を撮るようになってから少しずついろんな人に、自分で撮った写真を見てもらって喜んでもらえるようになった。
一番は妻に。
人は人に向けている表情をそのまま見ることはできない。
こんな素敵な表情をいつもしているよと教えてあげたいし、その写真を見たら2人でどんな楽しいことをしていたか思い出せる。
写真を撮れるようになって良かったと思う一番の瞬間だった。

初めて山登りした時。麓のほうにある神社でこっそりお守りを買っていた。あとでそのお守りをプレゼントしてくれた。


きっとワークショップに参加したり本を読んで写真を撮り始めた人と、その周りの人たちに幸せなことがたくさん起こっていると思う。


幡野さんがこれまで培われた膨大な知識と経験や考え方のエッセンスが、
「もっと写真撮る人がこうなったらいいのにな」という想いのフィルターを通して抽出され、「秘伝のタレ」としておすそ分けいただけた。
本当に素晴らしいし、本当にありがたいことだと思う。

僕は唯一無二のこの素晴らしいワークショップに、また参加したいとおもっている。


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