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音楽ビジネス×IT・DX トークイベント

エンタメ業界のBtoBtoC型ビジネスのコンテンツをそのままに直販型(BtoC型)にするとうまくいかないという声もお聞きします。D2CなどのECの進化を見ていてもそう思います。

スマートフォンの爆発的な普及により、消費者のエンタメコンテンツとの関わり方や価値観なども大きく変化しています。テレビ離れなど物理的な表現ではなく、アナログコンテンツとデジタルコンテンツとの使い分け(消費行動)の意識が大きく変わっているということではないかと思います。

従来型のメディアの関係者の方々とお話をしていると気づくのですが、コンテンツ制作の考え方やスタッフィングを変えないまま、配信方法だけを変えようとされていることが多いです。コンテンツは素晴らしいモノなんですが、消費者側から見ると最適化されていないという感じです。音楽業界では、音源をダウンロードして視聴する方法からサブスクで聴き放題などのサービスを使い始めて、SNSなどのリコメンドで視聴するコンテンツを決めている視聴者が増えています。一方でアーチストやクリエーター、制作サイドの方々がその変化についていけていないという印象もあります。小さなライブハウスなどではコロナ禍で非常に厳しい経営状況になりライブ配信のオンラインなどにも取り組まれていますが、この消費者行動の変化にうまく反応できれば新しいベンチャー企業的な新ビジネスを作れるかもしれません。

デジタル社会になる前のビジネスモデルはその時代においてはベストなものであったと思いますが、スマートフォンの普及は消費者のデジタル化を進め、コロナで一気に社会全体がデジタル化してしまいました。音楽業界で新しいビジネスモデルをつくるということは、マーケティングとマネタイズの考え方を大きく変化させるということになります。例えば、アーチストの音源を無料で配布するということもマーケティングの最大化を目指すためには正解になるかもしれません。無観客での公演などもデジタル側から見ると無観客ではなくオンラインを通じて目の前の箱の定員の数十倍の観客に対して公演していることになりますので、無料の概念や定員という概念が大きく変わってきます。無料なので今まで興味が無かった層にアプローチできて、そこでファンになるとプレミアムな有料配信やリアル公演に足を運び、結果、以前よりもビジネスのパイは広がったということも望めます。無料で楽曲を提供することはアーチストや業界を苦しめることになるという感覚は分かる気もしますが、オンラインは一瞬にして今までリアルではリーチできなかった地域でのファン開拓や口コミも発生することでアンパサダー的な動きで周囲にリコメンドしてくれる熱狂的なファンつくりも可能にします。

With コロナ   After コロナ  
新型コロナ によるダメージを大きくうけているエンターテイメント業界。密で楽しむのが普通であったライブなどのイベントをどのようにアップデートするのか?

With デジタル After デジタル
本格的なデジタル社会の中でエンターテイメント業界をどのような形でアップデートするのか?

当然ながら、音楽ライブなどは密で楽しむ方が盛り上がるし、楽しいにきまっています。しかしながら、コロナ禍はしばらく続くと考えられるので、デジタルを活用して音楽をもっと楽しむことができないか?を考えています。

同じエンターテイメント業界のデジタルトランスフォーメーションの支援としては、オンラインで観光ツアーなどを企画・運営したりもしています。また、観光業界ではコロナ禍になりオンラインを活用した様々な面白い体験プログラムなども生まれてきています。


音楽配信サービスは数年前からApple Music、LINE MUSIC、Google Play Music、Spotify、YouTube Musicなど定額制音楽配信サービスの参入が相次いでいます。ビジネスモデル的には、ダウンロード型から定額聴き放題(サブスクリプションモデル)へと移っています。

メジャーデビューしている歌手の楽曲などは、このような音楽配信サービスを利用して楽しむ時代になりました。では、インディーズの歌手は? 個人の趣味での音楽配信は?となると YoutubeやSNSのライブ配信になるのかもしれません。音楽の楽しみ方も多様化していく中でクラウドファンディングなども含めて面白いビジネスモデルを考えています。

音楽業界とまったく接点が無かった業界との掛け合わせで新しいビジネスモデルを考えてみたり、アートや音楽に興味を持つ人たちをデジタルの力で増やしたりすることにもチャレンジしたいと思っています。

プロデューサーやデザイナーという仕事もデジタル社会では非常に重要な仕事になっていますので、エンターテイメント業界の方々とのコラボレーションは非常に楽しみです。

デジタルの力で音楽などの楽しさを感じる人たちを増やすというマーケットを拡大するための取り組みもコロナ禍で目立ってきています。

デジタルトランスフォーメーションとは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念です。音楽などエンターテイメントを楽しむことで豊かな生活を送る人たちが増えると社会も良い方向に変化していくと考えています。

コロナ禍だから緊急避難的にオンラインでサービスを提供するという考えでサービスを作っても従来のオフラインの音楽ライブやコンサート、フェス、舞台と比較されて物足りないサービスと感じてしまいます。オフラインで提供していたコンテンツをデジタル化してオンラインで配信するだけでなく、コンテンツをどう加工するか、インターフェイスはどうするか、コミュニティをどのように再構築するか、マネタイズポイントはどうするかなどもしっかりと考えて産業自体をアップデートすることで、オンラインとオフラインが共存することで新しいマーケットが形成されます。

DXというのは単なるデジタル化ではなく、エンターテイメントの根本から変化させる(変容させる)という覚悟と共に実現されます。オンライン(デジタル)とオフライン(フィジカル)が融合するOMO(Online Merges with Offline)の世界観を意識していかないといけないということになります。

UX(User experience)の視点で考えると、エンターテイメントを楽しむ方々、関わる方々が感じる「体験」の価値向上をデジタルを使ってどのように実現するかということになります。参加者(視聴者)だけではなく関係者(アーティスト、クリエーター、スタッフなど)も含めた皆が、コロナ禍になる前よりもエンターテイメントを楽しむことができるような姿をイメージしていかないといけません。

 本当にできるのか?

それは私にも分かりませんが、多くの方がスマートフォンを手にして、ネット回線は5Gなど超高速回線になるデジタル社会で元に戻すような意識ではなく、もっとエンターテイメントを楽しもう!という意識で新しい体験を創っていくプロデューサーがたくさん生まれてくるのを期待しています。

私たちが講演やセミナーなどをお願いされる時も「コロナ禍なのでオンラインでお願いできますか?」とイベント主催者からお願いされることも3月くらいからは多くなりました。ただ、その時に「オンラインだから安くできませんか?」とは言われたことはありません。ただ、講演やセミナーをオンラインで配信するのであれば、オフラインの講演やセミナーよりも面白いものにしてやろうという気持ちは持っています。オフラインよりもたくさんの方々に視聴してもらうこともできますし、オフラインではできない仕掛けも作ることができます。

オンラインはマネタイズが難しいという話もお聞きします。動画サイトなどには違法アップロードのようなコンテンツもありますので、それと比較されるとお金をとるのは難しいということなのかもしれません。ただ、OMO的にオンラインとオフラインを融合させて考えるとオフラインで会えるというスペシャル感も上がりますし、オンラインでもアーティストと話せる、イベントのスタッフとして関われるなどの価値を作ることもできます。

エンターテイメント産業が提供する価値を以前よりも高めるためには、少人数で直に観てもらうだけでなく、オンラインでたくさんの人たちに観てもらうということを考えながら一部のコアなファンに特別なコンテンツを提供するという設計が必要になるということです。

関係者の意識を変革させることも必要ですし、サービスを提供してもらう側の意識の変革も必要です。その意識変革をコロナが後押ししてくれていると考えるとエンターテイメント業界にとっても最大のチャンスということも言えるのではないでしょうか。

都市部に住んでいた人たちはライブなどを身近に感じていた。しかし、地方に住んでいる人たちはライブなどは身近に感じていないこともありますので、一部の熱狂的なファンだけが交通費などを使って楽しんでいた。と考えるとオンラインは新しいファンの開拓もできます。

推しメンを持ってアーティストを育てていくという体験も、さらにアップデートされていく可能性があります。リアルの握手会もいいですが、オンラインで実際に推しメンと話している動画を保存できる方が価値があるという感覚もデジタル時代には生まれます。また、逆に自宅から自分がつくった楽曲を公開してメジャーデビューできる可能性も広がっていきます。ひとりで作るのではなく、遠隔地のメンバーとオンラインコミュニティをつくって楽曲制作を楽しむ人もうまれるかもしれません。誰にも均等にエンターテイメントを楽しんでもらう可能性をデジタルが提供してくれます。デジタルコンテンツの販売だけでなく、今まで機会を得ることが難しかった人たちにチャンスを提供することで新しい周辺ビジネスが生まれることも意識していかないといけないです。

私のようにエンターテイメント業界には縁遠かった人間も、デジタル社会になりエンターテイメント業界の方々とのコラボレーションも可能になりました。そのような世界を楽しみたいと思っています。

そのような話をエンターテイメント業界の方々と11月18日に渋谷のTSUTAYAさんで行う予定です。

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主催は、TOOS CORPORATION
コロナ禍においても、いちはやく音楽業界や音楽ビジネスを支援する活動を始動。バンドtoe主催「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19」/「Save Our Space」への参画、デジタルコンテンツ等を扱うウェブストア開設、オンライン配信プラットフォーム提供などに取り組んでいます。

共催は、SHIBUYA TSUTAYA
1999(平成11)年に開業したビル「QFRONT」のキーテナントとしてオープンしたツタヤの旗艦店。地下2階~地上8階の10フロア約1300坪にわたり売り場を展開している。本年6月に行った3階・4階の音楽レンタルフロアに続き、4階・5階の映像レンタルフロアが拡大リニューアルした。

イベントゲストの紹介です。

<今井了介 氏>

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音楽プロデューサー・作曲家
ごちめし・さきめし 運営 Gigi株式会社 代表取締役
作曲家・音楽プロデューサー。安室奈美恵『Hero』や、TEE/シェネル『ベイビー・アイラブユー』などを手掛ける。また、作曲家・プロデューサーのエージェンシー(有)タイニーボイスプロダクションを創業・主宰。MTVアワード・日本レコード大賞・JASRAC賞など受賞歴多数。
著書に「さよなら、ヒット曲」(ぴあ)
また、2018年に株式会社Gigiを設立し、2019年10月に「ごちめし」をローンチ。2020年3月には、コロナショックを受け飲食店支援「さきめし」をスタートした。

<タイラダイスケ 氏(FREE THROW)>

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新進気鋭のバンドと創り上げるROCK DJ Partyの先駆け的な存在であるFREE THROWを主催。DJ個人としても日本全国の小箱、大箱、野外フェスなど場所や環境を問わず、年間150本以上のペースで日本全国を飛び回る、日本で最も忙しいロックDJの一人。また、過去にはライブハウス「新宿MARZ」の店長を務め、現在はデジタルディストリビューションサービス「FRIENDSHIP.」のキュレーターを務めるなど活動は多岐に渡っている。

<塩塚モエカ 氏(羊文学)>

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​羊文学のギターボーカル
全楽曲の作詞・作曲を務める。2017年に現在の編成となり、これまでにEP4枚、限定シングル1枚、フルアルバム1枚をリリース。2020年8月19日にF.C.L.S.より「砂漠のきみへ / Girls」でメジャーデビュー。12月9日にNEWアルバム「POWERS」をリリース予定。ソロ活動では、時にボーカルエフェクトも使いギター弾き語りで演奏。浮遊感のあるパフォーマンスが特徴的。映画やドラマの劇伴制作、そして透明感のある歌声から他アーティストの作品への客演やCM歌唱、ファッションブランドや広告でのモデルを務めたりと活動の枠を拡げている。


主催のTOOS CORPORATIONと共催のSHIBUYA TSUTAYAからは、音楽・エンタメ業界に精通し、各店舗をとりまとめるお二人が登壇されます。

<清水悠佑 氏>

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SHIBUYA TSUTAYA 店⻑
2003年CCCに入社し、2013年よりSHIBUYA TSUTAYAに着任。2015年より店長。 2016年クリエイターに活躍する場所を提供すべく、渋谷センター街初のゲリラファッションショーを開催したり、2019年には、店舗のプライベート出版レーベルを立ち上げるなど、新しいチャレンジに意欲的に取り組む。

<星野秀彰 氏>

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TOOS Corporation 統括マネジャー
19歳で渋谷のクラブにてアルバイトを始めて以後、約20年、音楽業界に身をおく。下北沢BASEMENTBAR・下北沢THREEで出演バンドの制作・ブッキング担当や店長を経て、2015年、都内7店舗を運営するTOOS CORPORATION統括マネージャーに就任。下北沢や渋谷をベースに活動するバンド事情に精通。2020年6月ローンチの音楽配信プラットフォーム「Qumomee」の開発・システム提供・運営においても、責任者を務める。

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私は産業のデジタルトランスフォーメーションを推進している立場で登壇させていただきます。

<森戸裕一>

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一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会 代表理事
ナレッジネットワーク株式会社 代表取締役社長、総務省地域情報化アドバイザー、内閣官房シェアリングエコノミー伝道師、一般社団法人ネットショップ能力認定機構 理事、サイバー大学 教授、国立大学法人名古屋大学/熊本大学 客員教授、NPO法人学生ネットワークWAN理事長、ビジップ株式会社 代表取締役、PORTO株式会社 代表取締役
著書:「人と組織が動く中小企業のIT経営」日経BP社/「変われる会社の条件 変われない会社の弱点」good.book社






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