[3DP]印刷失敗事例1
最近の3Dプリントの印刷失敗事例から、特にヒドイものを紹介したいと思います。
印刷前のデータはこちら。
症状
(1) 酷い糸引き
これは一目瞭然ですね。よくある産毛みたいなものではなく、しっかりと生えています。ここまで酷いものは初めてでした。
2部品ありますが、横倒しにしても中の部品は糸で保持されて浮いています。
(2) 層の結合力が弱い
層間の結合が弱く、少し力を加えると、ポキポキ折れます。印刷完了した時点ですでに折れていました。
印刷設定
印刷時の設定がこちら。
プリンタ:FLASHFORGE Adventurer3
フィラメント:FLASHFORGE シルクPLA ブロンズ
ノズル直径:0.4mm
積層ピッチ:0.2mm
ノズル温度:190℃ (にしたつもりだった)
ベッド温度:60℃
引き戻し距離:4mm
引き戻し速度:40mm/s
原因
ノズル温度を190℃にしたつもりが、180℃になっていた。タイプミス。ヒューマンエラー。
糸引きも層間の結合力不足もノズル温度が低過ぎたことで引き起こされた不具合です。
どちらもノズル温度を上げたら解決しました。
想定メカニズム1 ~糸引き~
温度が高すぎて糸引きが起こることはよくあるけれど、今回の事例はその逆、温度が低いことで発生したと考えています。
想定しているメカニズムはこんな感じ。
温度が低い → 融けた樹脂の粘度が高い → ノズル手前の抵抗が増加 → フィラメントがチューブ内で変形 → 引き戻し距離が不足 → ノズル圧力が下がりきらない → 樹脂の吐出が止まらない → 糸引き発生
温度が低いことで糸引きが発生するって記述はあまり見かけませんが、Adventurer3はボーデン式ですし、起こり得るかなと。
想定メカニズム2 ~層間結合力不足~
これに関しては少し調べれば加熱不足が原因と出てきますね。
樹脂の温度は、ノズルから吐出される直前が最も高く、吐出されて冷却され、次の層が積層されて上昇し、再び冷却され、と、上下を繰り返しています。この過程で積層間の結合が強くなるわけですが、ノズル温度が低いと温度の下降が早く、十分な結合力が得られない、という結果になります。
ノズル温度を上げれば解決するので、対応は難しいことはありません。積層ピッチが大きすぎることも原因となりますが、今回はピッチ0.2mmですし、原因からは除外しました。
まとめ
ノズル温度が低すぎる(タイプミス)という、非常に初歩的な3Dプリント失敗事例でした。
途中で何かがおかしいと気が付いたものの、記録として残すために最後まで印刷した代物です。
思い込みは禁物。印刷前に設定を見直しましょう!という教訓です。