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AIにはできない弁護士の仕事とは何だろう?

ChatGPTの衝撃

本日、GVA Tech(株)主催の「ChatGPT」セミナーを受講しました。そのテーマは、「ChatGPTに法律相談をしてみて、どんな回答が返ってくるのか試してみよう!」という斬新なものでした。

ChatGPTの回答は、私の想像をはるかに上回るもので、「これが専門家の回答です」といわれて見せられると、危うく騙されそうなものもありました。

もちろん、"とんちんかん"な回答も少なくありませんでしたが、数年後にはどれほど進化を遂げているだろう?と期待が膨らみました。

ChatGPTはなぜ法律相談に回答できるのか?

ChatGPTが法律相談に回答できる理由は、インターネット上に出回る大量の専門家が作成したコンテンツを学習して、質問に含まれるキーワードと関連性の高い回答文を生成しているからです。

ChatGPTをはじめとするAIは、人間が一生かけても読み切れないような大量の文章を短時間で分析することができます。

ChatGPTは、今後も学習を継続して品質が向上し続けると予想されますので、近い将来、専門家に引けを取らないような回答を出力できる能力を獲得するかもしれません。

AIにはできない弁護士の仕事

人間は、どれほど努力を重ねても、AIのように大量の文献を読み込むことはできません。文献を収集する能力においては、絶対にAIには勝てません。

今後、AIに代替されてしまう弁護士の仕事とは、どのようなものでしょうか。その最たるものは、いわゆる「教科書的な回答」です。

例えば、配偶者との離婚を考えている人に対して、「ご相談と類似の事例では、財産分与はこれくらい認められて、慰謝料は認められないケースが多いです。」という「教科書的な回答」で完結してしまえば、それはもはや、「AIに代替されてしまう仕事」だと思います。単に裁判例や文献の情報を提供するだけであれば、文献を収集する能力に優れたAIに軍配が上がってしまうからです。

では、弁護士でなければできない仕事とは、どのようなものでしょうか。それは、相談者の心情や、相手の性格などを過去の経験から想像し、どうすれば相談者が心情的に納得できる解決につながるかを考察することだと思います。

例えば、「これまでどのように話合いを進めましたか?」「配偶者の方は話合いに協力的でしたか?」「あなたは配偶者の方にどういう思いをお持ちですか?」といった背景事情を詳しく聴き取り、多角的な視点で解決策を見出すことは、AIが備えることの難しい能力であると思います。

人間が得られて、AIが得られないもの、それは、「人生経験」です。弁護士がAIに負けない能力を発揮するためには、「人生経験」を活かして、相談者が納得できるアドバイスを提供することが求められるように思います。

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