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人に夢を見せる存在になりたいから、全部さらけ出す。 Lunch#76 とーるさん

私自身の人生を振り返った時に、大卒でない人を探すのはとても難しい。頑張って思い出して、高校の時のちょっとした知り合い、小学校の時の知り合いで悪かったいつ、その辺りが、高卒だったかな?ってくらい。

いくらフラットな世界観を持っているつもりでも、そこに限界があるんだよなって、知らない人に会うたびに思い知らされる。そして、そこには親や地域の影響を受けていた自分に出会う旅でもある。

今回お会いしたとーるさんだってそう。学歴でいうと中卒だという彼に、私はこのランチ以外で出会うチャンスがなかったかもしれない。

そして、この出会いは正面から私の価値観をぶっ壊してくれた。最高。


そんなとーるさんのポイントはこちら。

・いつ死ぬかわからないから
・この生活に飽きてきた
・すごいって思われないために


まずは、いつ死ぬかわからないから、です。

とーるさんは、佐賀の母子家庭で育ちました。高校には一度進学するものの、すぐに中退してしまいます。

というのも、中学の時に、幼なじみの仲良しグループで暴走族を結成して、そこからそういう活動へとのめり込んでいきます。

バイクでみんなで走り回ったり、警察に電話した上でバイクとパトカーの鬼ごっこをしたり、あとは、バイクのエンジンをふかす(コールと呼ぶらしいです)の練習をしたり。

そんなふうに遊んでいたのだとか。

中でも一番スリルがあったのは、バイクではなく自転車でパトカーから逃げまくったことで、どうしようもなくなった時は、もう自ら走って逃げ回るそうです。
もう、本当に鬼ごっこなんですが、捕まった時のリスクがでかすぎる鬼ごっこですね。。。。

そんなふうに、友達と楽しく遊んでいたのですが、ある時にとーるさんはあるトラブルに巻き込まれます。

とーるさんの行動が大きな問題となり、そこからはもう漫画であるような流れです。呼び出され、連れて行かれて。。。。

そして、逃げ場もなく、どうしようもなくなったとーるさんは、ある橋から飛び降りたのです。

その橋の下には、ほとんど水の流れていない川しかなくて、落ちながら途中で失神したとーるさんは、そのまま救急車で、集中治療室に運ばれます。

次にとーるさんが目を覚ましたのは、5日後。
奇跡的に一命を取り留めました。

全身の骨がボロボロで、体のあらゆるところから点滴などの管が延びていました。そして、目を開けた時に見えたのは、自分の両足がありえない方向に曲がっていることでした。

そして、その後医者から聞かされたのは、両足ともに治らないかもしれない。歩けるほどの回復はしないかもしれない、でした。

一命を取り留めたものの、足が治らなければ、今までやってきた好きなことが何一つできない。バイクに乗れない、友達とも遊べない。

そう思った時に、死んでしまいたい、と思い、とーるさんは自分の体から出ている管を引っこ抜きます。

が、いくら引っこ抜いたところで、異常を知らせるブザーが鳴り、看護士が飛んできます。死ぬこともできないのです。

その後、リハビリなどを経て、奇跡的に両足も回復したとーるさんが思ったことは、人間いつ死ぬかわからない。

ということでした。

そして、だからこそ、自分が今やりたいことを後悔しないようにやろう。と考えたのです。


次は、この生活に飽きてきた、です。


大きなトラブルから奇跡的に九死に一生を得たとーるさんは、自分の命がいつなくなるかもわからない、という事実にぶち当たります。

そして、そこから後悔のない人生を、やりたいことを全力でやる人生をと心に誓います。

このように誓う人って、イメージとしてはそこから更正して、学校や仕事に頑張ってなんてところが、とーるさんは違いました。

生まれ育ってきた環境、遊んできた環境から、やりたいこととして思いつくことが悪いことばかりだったんです。

経験というものが、とーるさんをもう一度、そしてより強く悪の道へと誘いこんでしまいます。そこからは、歯止めが効かなくなってしまったのでしょうか。

18歳で少年院に入ります。
そこから出た後も、更正するのではなく、20歳ではよくニュースで取り上げられるような荒れる成人式の中心的存在でした。


それでも、こんな生活をずっと続けていいのか、とフワフワと思い始めたとーるさん。タイミングよく、母親から一冊の本を渡されます。

これ、読んでみたら、と。

本なんてまともに読んだことのないとーるさんが、何の魔が差したのかこの時は読んでみようと思えたのです。何か変わるきっかけを強く求めていたのかもしれない。

その一冊が、ホリエモンの「多動力」

この一冊を読み終えた時に、とーるさんは衝撃的なほどに影響を受けて、この生き方を真似しようと決めます。

人生で初めて人に影響を受けた、そうです。

そこからの行動はとてつもなく早いです。地元にいてはダメだと、佐賀から福岡に移り、そこで仕事を始めます。


最後は、すごいって思われないために、です。


ホリエモンの本を読んで感動して、行動に移したとーるさんに立ちふさがったのは学歴の壁でした。

中卒という学歴でできることは、日雇いのバイトくらい。就職活動も、普通のアルバイトもとーるさんの選択肢には入ってくれません。

1か100かしか、選択肢は用意されていませんでした。その100が起業。
そう、学歴を問題としないのは、日雇いのような肉体労働、もしくは、社長。この2つしかなかったんです。

そこで、とーるさんは全財産の10万円を持って、東京へと飛び出します。チャンスを求めて。

10万円で東京に来たものの、住むところも働き口もなく、行くあてもないとーるさん。まずは、公園で一週間、野宿をします。

そうしているうちに東京にいる友人の存在を思い出し、その人のところに転がり込みます。そこからとにかく動かなければと、心に決めていたとーるさんは、ツイッターで1ヶ月かけて、100人の人に会う、という企画を始めます。

その時にツイッターを始めたとーるさんなので、会いたいと思ってくれる人なんているはずもないので、とにかくDMを送りまくって、毎日毎日知らない人に会い続けます。

その中で出会った人が、今仕事ないんだったらと仕事をくれたり、今とーるさんが働いている会社に出会ったりと、この1ヶ月でいろいろな出会いを果たしていきます。

そして、とうとう100人目の人に出会えた時、とーるさんは涙が止まらなくなりました。

何も持たずに東京から出てきて、住む場所も働き口もなく、そんなとーるさんと100人もの人が出会ってくれたという事実が、とーるさんの心に深く染み込んできたのです。

こんな得体の知れない自分と出会ってくれた100人の人たちに感謝が溢れてきて、我慢できなくなってしまったそうです。

そこから、ツイッターを通じて、とーるさんはたくさんの人と出会い、いろいろな仕事をしながら、自分の発信力を高めていくのです。


そんなとーるさんにこの先やりたいことって何ですか?という質問をすると、
かっこいい答えが返ってきました。

この先やりたいことが、今やっていることじゃなかったら、もうここにいないと思います。だって、やりたいことはすぐにやるんで。

と。

いつかやりたい、この先やりたい、そんな話をせずに、とにかく行動に移して動きまくる。その行動力はやはり尋常じゃないようです。


そんな想いの中、この先大切にしたいことは、すごいと思われないことだそうです。

とーるさん自身、何もないところからビジネスを始めた。文字通り0からのスタートだった自分をちゃんとさらけ出したい、と。

あの人、すごいなって思われてしまうと、憧れはされるかも知れないけど、その人たちに、「自分もそうなりたい!」と強い夢を見せることはできない。

だからこそ、とーるさんは、自分の失敗もできないことも含めてさらけ出して、0の自分を見せて、さらにこの先の成功も見せていきたい、と。

そうやって夢を見せられるような存在になりたい、と教えてくれました。

最高にかっこいい考え方と生き方を見せてくれたとーるさんでした。


2019.11.18 大崎にて
とーるさん

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